Bar酔粋駅近

2017.05.18号掲載

酔粋駅近

4席のカウンターには、相澤さんと話をしながらお酒を飲みたい常連客が肩を並べる。「このお酒にはどの料理が合うかな?」「これを食べるならどのお酒を飲めばいい?」。そんな会話が飛び交うことも多いそうだ


宮城の酒に負けじと腕磨く

[地下鉄東西線 青葉通一番町駅]
山海里(さんかいり) 清(せい)ぼう

街路樹がすっかり青葉に衣替えしても、仙台の晩春はどうかすると肌寒さに震える日がある。そんな4月下旬の夜、いつもの相方と「山海里 清ぼう」に足を運んだ。仙台市地下鉄東西線、青葉通一番町駅の南1出口から徒歩3、4分。南町通に面したビルの地下1階にある店だ。
カウンター席に落ち着き、さっそく今夜の1杯目を注文した。夜桜を思わせるラベルの加美町・山和酒造の季節限定酒は、爽やかな香りとさらりとした口当たり。お通しの「まこがれいの銀あんおろし」との相性も抜群だが、さらに欲張って「このお酒に合うお刺身を」と店主の相澤清治さん(36)にお願いしてみた。出てきたのは、薬味野菜と共に美しく盛り付けられた「みる貝の刺身」。貝ならではの淡い甘みを酒が引き立てる。繊細なおいしさに思わずため息をついた。
相澤さんが料理に興味を持ったのは小学生のころ。「食べるのが好きで、それと同じくらい作ったものがおいしいと言われるのがうれしかったんです」。度々チャーハンなどを家族に振る舞っては喜ばれていたそうだ。調理師専門学校を卒業後は東京や仙台の和食店に勤め、約3年前に独立。「最近やっと肩の力が抜けてきました」と照れながらガハハッと笑う。その相澤さん、日本酒の話になると目が輝く。「宮城のお酒の品質がすごく上がってきている。自分も料理を進化させて地元に貢献したい」。その意気込みが伝わるのだろう。客の7割は日本酒を頼むという。1人で来ていた常連の男性も、ここでは日本酒しか飲まない、ときっぱり。「料理も間違いないし、それと親方の人柄ですね。見かけはちょっといかつい(笑)けど話すと気さくで」。
2杯目は美里町の「橘屋」を選んだ。「ほたるいかマヨチーズ焼き」のこくのある味わいや「山菜の天ぷら」の野性味あふれる香りをしっかり受け止めてくれる。「日本酒に季節を気付かされる時があるんです」という相澤さんの言葉に、しみじみ共感。春の名残から初夏へと移るほんの短い間(あわい)を、料理と酒で感じた夜だった。

文/佐藤陽子
写真/佐藤英

メニューから

牛テールがけ豆腐(690円)

大きな豆腐に2日間煮込みとろとろにほぐれた牛テールをたっぷりかけた。以前は裏メニューだったが、リクエストの声に押されて定番に入った一皿。文中の料理のほか「鯵なめろう」「和カレーうどん」「鳥生姜そば」などを食べ、お酒を1人2、3杯飲み、4人で1万1540円(カメラマンはソフトドリンク)。

山海里 清ぼう

  • 青葉区一番町2-2-8 IKIビル地下1階
    営/17:30~24:00(LO23:00)
    休/日曜、祝日
    ℡022-722-2889

仙台市地下鉄東西線
青葉通一番町駅 最終電車

八木山動物公園行 24:01(金曜24:13)
荒井行      23:57(金曜24:09)

※価格は商品(1点)の総額 (本体価格+消費税)

女性ライター2人が、仙台市地下鉄沿線を中心に、駅近くのすてきなお店を紹介する連載「酔粋駅近」。
毎月1回掲載予定です。

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