Bar酔粋駅近

2019.07.11号掲載

酔粋駅近

店名は亡きご両親の名前からそれぞれ1文字ずつもらって付けたそう。両親が暮らし、自身も生まれた地域に店を出せたことに、不思議な縁を感じていると話す

地域と歩む 愛する“わが家”

[地下鉄南北線 北仙台駅]
芳正(よしまさ)〜酒ト肴〜

夏の気配を含んだ蒸し暑さが続く。梅雨時のもやもやを飲んで食べて吹き飛ばそうと、いつもの相方と「芳正 〜酒ト肴〜」に向かった。県道仙台泉線沿いにたたずむ小粋な店構えの居酒屋、と書けば「そこ、気になってた!」と思う方もいるかもしれない。地下鉄南北線北仙台駅北2出口から、住宅街を歩いて7分。開店時間とともに入店した。
本日の1杯目は、美里町の地酒・黄金澤の夏限定うす濁り酒。よく冷えた日本酒はすべるように喉を通り「ああ、おいしい」と思わず声が出る。相方もビール片手にご満悦だ。外はまだ日が高い。「明るいうちに飲むのは、いいですよね」と店主の畑成彦さん(48)がにっこり。肴も夏っぽくいこうと、「ゴーヤと厚揚げの辛味噌炒め」に「トンゴロイワシの素揚げ」を注文。辛味噌炒めは味噌とごま油の香りが利いたぴり辛で、瞬く間に徳利(とっくり)が1本空になった。
20代の初めから仙台の飲食業界で、和洋さまざまな店を切り盛りしてきた畑さん。昨年8月、「自分1人の目が届く大きさの店で、経験してきたことをアウトプットしたい」と生まれ育った台原近くに店をオープンした。「自宅は店のすぐそばで子供も小学校でお世話になっています。だからこの地域の方々が『今日はいい日だった、明日も頑張ろう』と元気になれる時間を作りたいんです」
その言葉が聞こえたかのように、近くの会社のサラリーマンや仕事帰りのご近所さんたちが次々来店する。友人を連れてきたという女性は「いい店だから、知ってほしいけど知られたくないのよね」と複雑な心境を話してくれた。
店内のテレビは東北楽天戦だ。心の中で声援を送りつつ2杯目の酒を飲んでいると、スパイシーな香りが漂ってきた。相方がカレーライスを頼んでいたらしい。隣の常連さんも「それうまいですよ」とニコニコ顔で太鼓判。なんだかわが家にいるようなリラックスムードを感じながら、締めのカレーを頬張った。
文/佐藤 陽子
写真/佐藤 英

メニューから

「金華サバの干物 半身」(980円)

店の名物メニューの一つ、塩釜の間宮塩蔵謹製の熟成干物。うま味がのった金華サバの半身を、外はパリッと中はしっとりと焼き上げる。2~3人で食べるのにちょうどいい大きさ。1人ならさらに半身にしてくれる。文中の料理の他、ホヤ酢、浅漬けを頼み、お酒もほどほどに飲んで7100円。

芳正 〜酒ト肴〜

  • 青葉区堤町3-1-61 横山ビル1階
    ℡022-703-3083
    営/17:30~24:00
    休/日曜、祝日

地下鉄南北線 北仙台駅 最終電車
泉中央行 24:06(金曜24:18)
富沢行  23:52(金曜24:04)

※価格は商品(1点)の総額 (本体価格+消費税)

女性ライター2人が、仙台市地下鉄沿線を中心に、駅近くのすてきなお店を紹介する連載「酔粋駅近」。
毎月1回掲載予定です。

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