Bar酔粋駅近

2020.01.23号掲載

酔粋駅近

客同士盛り上がり、名刺交換が始まるのも珍しくないそう。「ここからつながって生まれるものが増えていったらうれしい」と志穂さんは笑顔で話していた

頑張る人のくつろぎ空間

[地下鉄 仙台駅]
お菜晩酌 志ほ

正月気分がようやく抜けかけた1月7日。仙台市地下鉄仙台駅西1出口から仙台銀座へ向かった。目指す店は「お菜晩酌 志ほ」。白地にオレンジ色で書かれた看板は、ほっそりした字体が品よく艶っぽい。のれんをくぐって2階への階段を上がる。8席のカウンターと小さなテーブルが1つだけの小さい店だ。店主の古川志穂さん(45)に笑顔で迎えられた。
まずはビール中瓶をもらい、いつもの相棒と乾杯。志穂さんがお通しの煮豆と一緒に七草がゆを出してくれた。季節を感じる心遣いに気持ちがほっこり。カウンターの上の皿には出来たての〝お菜〟の数々。うきうき迷いながら「お菜盛り合わせ3種」を選んだ。ほんのり甘い卵焼き、酸味の効いたししゃもの南蛮漬け、定番ポテトサラダ。大好きなおからも外せない、と追加。ゆっくり飲む準備が整った。
エプロン姿が板についている志穂さんだが、前職はキャリアコンサルタント、さらにその前は大企業の営業職。仕事にやりがいがあるとはいえ、気持ちの張る日々だった。それをホッと緩められる場所があったら…と考えていたのだそう。「働く人の気持ちに耳を傾け、ガス抜きしてもらえる場所、私の今までの経験を生かして作れるんじゃないかと思ったんです」
営業中の調理になるべく手がかからないスタイルにしたのも「お客さんとの会話を大事にしたいから」。志穂さんと話したくて足を運ぶ1人客が多いのは、その思いが伝わっているからだろう。「志穂さんがつくるこの空間が魅力。入った瞬間にくつろぐ」と話してくれた常連客もいた。
カウンターは満席。こうなるとさすがに「全員とお話できなくて」と、すまなそうな志穂さんだが、そこは心得たお客さんばかり。隣り合わせた者同士、勝手に盛り上がる。不思議な一体感を醸し出しながら、小さな店の夜は更けていく。
文/佐藤陽子
写真/貴田則男

メニューから

「お菜盛り合わせ3種」(1045円)

お菜は定番や日替わりを合わせて毎日10種前後。いずれも、常連客の言葉を借りれば「いい感じに手がかかっている」家庭料理ばかり。その中から3種を選べる。文中の料理の他、チーズの味噌漬け、にしんの切り込みを注文し、日本酒をたらふく飲んで(確か1人3~4杯)、2人で8173円。

お菜晩酌 志ほ

  • 青葉区中央3-10-5 2階(仙台銀座内)
    営/18:00~24:00(LO23:00)
    休/日曜、祝日
    ℡080-2818-9497

地下鉄 仙台駅 最終電車
【南北線】泉中央・富沢行き
    23:59(金曜24:11)
【東西線】八木山動物公園・荒井行き
    23:59(金曜24:11)

※価格は商品(1点)の総額 (本体価格+消費税)

女性ライター2人が、仙台市地下鉄沿線を中心に、駅近くのすてきなお店を紹介する連載「酔粋駅近」。
毎月1回掲載予定です。

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