Feature特集

2018.05.31号掲載

酸っぱいは健康のもと

梅干しのお話し

ご飯のお供やおにぎりの具に…と、日本の食卓に欠かせない梅干し。「健康にいい」という話を聞くけれど真相は? 塩分についても気になるところ。そこで、梅干しのあれこれについて、仙台白百合女子大健康栄養学科の小嶋文博教授に話を聞いた。(宇)

疲労回復 食欲増進 効果に期待

クエン酸が豊富

梅干しを思い浮かべるだけで、口の中が何となく酸っぱくなり、じゅわ~っと唾液が出てくるという人は多いはず。「梅干しが酸っぱくなる原因は、実に多く含まれるクエン酸なんです」と小嶋教授。
梅干しを作る際、塩漬けにすると実の水分が浸透圧の効果で外に排出される。その結果、実の中のクエン酸が濃縮され、酸味が強まるそう。長く漬け込んだものや、濃い塩分濃度に漬け込んだ梅干しの方がより酸っぱく感じるのは、ここに要因があるのだ。
クエン酸は疲労回復の効果が期待できる物質として知られている。小嶋教授も「疲労を回復するビタミンB1を多く含む豚肉と一緒に調理するのがお勧めですね」と話す。
梅干しを食べると唾液や胃酸の分泌が促され、消化を助けて胃腸の働きを整える効果が期待できるそうで、結果、食欲増進につながる。これからの季節、夏バテなどで食欲がない時は、食前に梅干しを食べてみるのもいいかもしれない。

多くて1日3粒

いいことばかりに思える梅干しだが、昔ながらの梅干しの塩分濃度は20%前後とされていて、やはり塩分の量が気になってしまう。
「高血圧の人などは、クエン酸などが少し溶け出してしまいますが、塩抜きをした梅干しを食べるといいでしょう。最近は減塩タイプも多く販売されているので、そちらもお薦めです」(小嶋教授)
1日当たりの梅干しの摂取量は塩分を考慮し「減塩・調味タイプでも3粒ぐらいまで」と小嶋教授。梅干しを料理に活用したら、塩分の量を減らすなどの工夫も大切だ。
梅干しは食べるタイミングも重要。糖質を吸収する酵素の働きを抑制し、糖質の消化吸収を遅らせるため、食事の最初に食べると血糖値の上昇を抑える効果が期待できる。
また、梅干しに含まれる酸は口腔環境も整えるので、虫歯予防のためには食事の最後に摂取するのがお勧めだそうだ。
この他、梅干しの殺菌作用は、食中毒の原因となる菌の増殖を防ぐ働きもある。また、梅干しに含まれる「梅リグナン」という成分がインフルエンザウイルスの増殖を抑制するという報告があるなど、さまざまな効果が期待できる梅干しと上手に付き合っていこう。


左から塩分濃度15%の梅干し、蜂蜜漬けの梅干し、カリカリ梅

梅干し風味のさまざまな食品が販売されている

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