Feature特集

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夏の快適温度生活
五感で涼を楽しむ チャプター2

夏の室温コントロールには、エアコン、扇風機、サーキュレーターといった空調家電は必需品だ。とはいえ、冷房が苦手だったり電気代に悩んだりと気になることは多いもの。気化熱の原理を使ったひんやり涼しい空間「クールエアドーム」を考案した宮城教育大教授の菅原正則さんに、冷房に頼りすぎないテクニックをアドバイスしてもらった。

「気化熱」で涼む裏技


菅原さんによると、エアコンは冷房の代わりに除湿(ドライ)機能を上手に利用するのが一つの方法だという。温度を変えずに湿度だけを下げることで涼しく感じられるため、例えば、同じ部屋に寒がりの人と暑がりの人がいる場合も互いに快適に過ごせるのだそう。ただし、湿気を除くためにいったん空気を冷やし、再び設定温度になるまで温めるため、冷房よりも電気代がかかる場合が多いので注意して。

エアコンがない場合も、部屋の窓や扉を開けたり通気性の良いカーテンを使ったりして風の通り道を作り、カーテンやよしず、すだれなどで直射日光を遮れば体感温度は下げられる。


植栽は緑陰をつくる他、蒸散により気化熱が奪われるために涼しさを生む


特に菅原さんが薦めるのは、水が水蒸気になるときに熱を奪う「気化熱」を活用する方法だ。昔ながらの知恵として知られる打ち水や植栽による涼しさも気化熱の原理によるもの。


「クールエアドーム」は東京ドーム同様、空気で天井を支える構造。小さな入り口から扇風機やサーキュレーターで風を送り込む。子どもたちにも大人気


気化熱の効果を明確に感じられる教材として菅原さんが考案したのが「クールエアドーム」だ。人が入れる空間を新聞紙で作り、壁面全体を霧吹きでぬらす。中に入ると、体から出る熱エネルギーを四方八方の壁面が奪ってくれる仕組み。サーモグラフィーで比べてみると、新聞紙が乾いた状態とぬらした状態では、空間全体の温度が大きく違っていることが分かる。


サーモグラフィーで比べてみると、写真左側の乾いた状態のドームと、右奥のぬらした状態のドームの温度差が分かる


「気化熱で涼しさを得るなら、ご家庭では霧吹きを使ってみてはいかがでしょう」と菅原さん。自身も大学の研究室でよく霧吹きをしているそう。水を入れた霧吹きを用意し、日中の暑い時間帯に室内の高い位置であちこちにスプレーしてみよう。湿度の低いときに特に効果が高く、湿気がこもらないように窓を開けて行うのがポイントだ。 菅原さんは「霧吹きの水にハッカ油を加えると、より清涼感が得られますよ」とアドバイスしてくれた。



熱中症といえば、日差しがサンサンと照りつける真夏に起こりやすいと思いがちだが、実は梅雨の晴れ間、梅雨が明けて蒸し暑さを感じる頃など体が暑さに慣れていない今の時季から、熱中症による救急搬送の件数が増加している。仙台市健康政策課健康増進係の保健師、池田絵里さんに熱中症の対策を聞いた。

「屋外はもちろんですが、ガラス越しの日光で室温が上昇する屋内も油断できません」と注意を促す。熱中症患者のほぼ半数は65歳以上の高齢者で、屋内で発生する熱中症が増えているという。「高齢者は特に体内の水分が不足しがち。暑さに対する感覚機能、体温の調節機能が低下します」

熱中症は過度の体温上昇や発汗で脱水が進み、血流の循環不全、脳・臓器の機能障害などを起こして発症。目まいや吐き気、頭痛、一過性の意識消失といった症状を引き起こすだけではなく、最悪の場合は死に至ることもある。

予防にはまず、小まめな水分補給が大事だという。「喉の渇きを感じなくても水分を補給して」と池田さん。カーテンなどで直射日光を遮る、エアコンと扇風機を併用して室内に涼しい空気の流れをつくるなどして、部屋に熱がこもらないように心掛けよう。

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