Feature特集

2018.09.27号掲載

庄内美食旅

食べて体感 山伏の精進

精進料理って何? 山形県の出羽三山(月山、羽黒山、湯殿山)の精進料理は、山伏修行に由来し、海外からも注目される逸品。煩悩に惑う編集部Tが、心身を清めんと羽黒山へ向かった。(T)
※価格は商品(1点)の総額 (本体価格+消費税)


山の恵み 手を掛け美味に


出羽三山の精進料理を代表する料理「手作り胡麻豆腐」。ゴマの濃厚な風味がたまらない

山伏修行に由来

出羽三山神社の宿泊施設・斎館(鶴岡市)料理長の伊藤新吉さん(49)によると、三山の精進料理の大本となったのは、山伏の修行中の食事。山で採れるものだけを口にしたその食事に倣い、今でも麓で採れた四季の「山の恵み」のみを使うことが特徴だ。

また「精進」とは、仏教の考え方で「手間暇惜しまず、結果を期待しない」という姿勢だともいう。

つまり、三山の精進料理とは、山菜やキノコなど「そのままでは食べにくい山の食材」(伊藤さん)に、手を掛け、料理に仕上げたものと言えそうだ。

斎館は350年以上の歴史を持ち、山伏の食の伝統を守る象徴的な存在。一方で、伝統に新たな調理法や味付けを加えた料理の創作にも、2012年から取り組む。

今回、その「新・精進料理」とも言える「涼風膳」をいただいた。季節によって献立内容は変わり、今回は11品の組み立て。

新たな献立は、伊藤さんの欧州での精進料理講演がきっかけといい、西洋のエッセンスも加わる。

例えば今回提供された「青みずのサラダ 長茄子ソースで」は、山菜のアオミズに、炒めたナスのペーストがのる。ミズの爽やかな歯応えに、ナスのねっとりとした感触が加わり濃厚なおいしさ。「蕨と青みずの山掛け」はワラビを刻んで山掛け状にしたりと、新たな一手間によって、より華やいだ印象と味わいに仕上がっている。

そして、その新鮮な味を支えるのは、「変わらない」定番のおいしさだ。

胡麻豆腐に感激

「手作り胡麻豆腐」は年間通じ全ての献立で必ず提供され、三山の精進料理の象徴とも言われる定番の一品という。箸で持ち上げるとぷるりと揺れてプリンのよう。口に運べば口中にゴマの風味・滋味が広がり、甘いあんが絡まって優しい味わい。おいしさでも象徴的と言えるかも。

お膳に並ぶ、さまざまな山菜に山伏修行を想像しつつも、その味わいは厳しさとは正反対の心地よさ。

窓の外には羽黒山の木々の緑が広がり、目からも清いものが満たされる。「伝統と新しさ」「厳しさと優しさ」、双方を感じる斎館の「精進」。すてきです。

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