Feature特集

2018.10.04号掲載

仙台牛生きる

とろける食感、あふれる肉汁、脂肪と赤身の絶妙なバランス…。宮城県が誇るブランド牛「仙台牛」がおいしいのは、畜産農家の皆さんの苦労があってこそ。作り手の思いを聞こうと、仙台牛銘柄推進協議会の副会長を務める大崎市の肥育農家、大友学(しゅう)さんを訪ねた。(巻)


牛舎近くに広がる水田

豊かな自然に囲まれて


牛舎の外観

風通しのいい牛舎内

猛暑だった今夏も活躍した扇風機

稲わらに加えて与える配合飼料。大友さんはうるち米もまぜている

丁寧な体調管理
おいしさに直結

大友さんは現在、75頭の牛を飼っている。牛舎の中は風通しがいいものの、温度や湿度の管理にはかなり気を使う。牛が快適に過ごせる温度は10~25℃。夏は大型の扇風機が欠かせないそうだ。牛の体調も1頭1頭丁寧にチェックする。「この手間暇が肉のおいしさや見た目の美しさといった価値に直結するんです」と話す。

牛舎の周りには昨年、世界農業遺産に認定された大崎耕土(下欄参照)が広がる。「稲作と畜産がうまく循環しながら成り立っている」と大友さん。肉の霜降り度合いが良くなるまで時間をかける肥育には豊富な稲わらが欠かせず、おいしい農作物を育てるためには牛の堆肥が入った良質な土壌が必要なのだ。


県内の和牛を統一
全国区の銘柄に


仙台牛が誕生したのは1978年。農業機械が導入されたことで役割を終えた農耕用の牛を、肉用牛に育てて売ろうとしたのが始まりとされる。

仙台牛は松阪牛や米沢牛に比べて歴史が浅く、知名度も低かった。2001年に起きたアメリカ産牛肉の牛海綿状脳症(BSE)の影響で03年、生産履歴が分かるようにするトレーサビリティーがスタート。「仙台牛の銘柄が統一されたことで頭数が増え、全国にアピールできるようになったんです」

だが、畜産農家の数は減少の一途をたどる。「1人当たりの飼養頭数が増えているから、高まる出荷ニーズに応えられている」と大友さん。後継者不足は深刻で、行政や農業団体が強く後押しするなどして新規就業しやすい環境をつくる必要があると考えている。

大友さんは今、高校生の活躍に期待を寄せている。昨年の全国和牛能力共進会宮城大会では初めて高校の部が設けられた。「次世代を育成する取り組みを増やし、若い人たちを応援していきたい」と意気込んでいる。

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