Feature特集

2019.01.24号掲載

寒さを楽しもう!!!

山形 冬グルメ満喫

1年で最も寒い季節。こんな時こそ、雪景色広がる山形の特集を。冬の山形には、寒さや雪を味方にしたおいしいものがたくさんあるからだ。まずは、村山市に伝わる名物うどん、真冬でも冷たくして味わう河北町のそばの謎を解き明かそう。山形市内のあったかおやつや雪イベントの情報もお見逃しなく。(あ)


ひっぱりうどん用の乾麺と村山市にある缶詰メーカーのサバ缶

納豆、ネギ、生卵、サバ缶が基本の具

そばの名所として名高い村山市。しかしここでは「ひっぱりうどん」という謎の食文化が各家庭に根付いているという。そばどころでうどんとは一体? 疑問を抱えつつ、市内でひっぱりうどんの保存・伝承に取り組んでいる「ひっぱりうどん研究所」を訪ねた。

所長の佐藤政史さんによると、ひっぱりうどんとは「大鍋でゆでたうどんを、各々が鍋から直接ひっぱり上げ、たれにつけて食べる」ものをいう。うどんは必ず乾麺を使う。たれは醬油に「納豆、サバの水煮缶、生卵、ネギ」を混ぜたものが基本で、具を足したり引いたりは自由。最近は粉チーズやバター、キムチ、漬物などで変化をつける人も多いそう。


大鍋を囲んでみんなで"ひっぱり合う"のが基本スタイル


ルーツについて「戦前から戦後の頃、地元の炭焼き職人が『発明』したようです」と佐藤さん。物々交換で手に入れた当時貴重な乾麺を、炭焼きで山にこもる間、大鍋でゆでて食べたそう。やがて家でも食べるようになる。交通網が未発達の頃、雪の多い村山市の農村は冬の間「陸の孤島」になったため、常備品だけで作れる食事は重宝されたのだ。初め山では塩だけ、家では大根おろしに醬油で食べていたが、自家製納豆の広まりや卵の普及によって少しずつたれが進化。そして決定打は、サバ缶の登場だ。

1961年に大手缶詰メーカーの工場が村山市に進出。その工場で働く地元住人を中心に「安くてうまい」ともてはやされたのが、同じ会社の別工場で製造されていたサバ缶だ。「ひっぱりうどんのたれに入れると、納豆や生卵との相性が抜群でブレークしました」と佐藤さん。

こうしてひっぱりうどんは定着。たれの味や具など、各家庭に独自のルールがあり、村山市内にはひっぱりうどんの専門店がない。ぜひ皆さんもご家庭で挑戦してみて。


■ひっぱりうどん研究所 Facebook
https://www.facebook.com/hippariudon.lab/

 



かほく冷たい肉そば研究会オリジナルの「冷たい肉そば」

かつて最上川の舟運で栄えた河北町では、真冬でも「冷たい肉そば」を食べるという。この郷土料理を愛する「かほく冷たい肉そば研究会」理事長の逸見朋愛さんを訪ねた。

「肉そばの始まりは戦前。そば屋のお客さんが、出された馬肉の煮物を盛りそば(丼で提供していた)にかけると思いがけずおいしかったことから、広まったそうです」と、由来を教えてくれた。当時、お酒を飲みに行くのはそば屋。初めは具の馬肉を肴にお酒を飲み、最後に残ったそばで締めるのが流行したとか。冷たいつゆは、時間が経ってもそばがのびないようにとの計らいだった。その後(昭和20年代)、養鶏場で採卵期間を終えた親鶏を馬肉に代えて使うようになったそう。「親鶏は硬いと言われますが、味わい深い上にとてもいいだしが出るんですよ」と逸見さん。客のひらめきと料理人の腕が生み出した料理だ。


白鳥十郎そば本舗の「冷たい肉そば」


研究会の発足は2010年。任意団体としてスタートし、現在では海外出展や商品開発を行うまでに成長。昨年、ついに念願のオリジナルそばも商品化した。


かほく冷たい肉そば研究会はB-1グランプリにも出展している

 
おいしい話におなかがグー。というわけで町内の「白鳥十郎そば本舗」へ。まずは美しく澄んだスープを一口。濃厚な鶏の風味が効いていながら、すっきりとしていくらでも飲める。太めのしっかりしたそば、歯応えがあってうま味の強い鶏肉、たっぷり乗ったネギがベストマッチ。「冷たい」といっても氷を浮かべたような冷たさではなく、真冬でもおいしく食べられる。「ぜひ他の店でも食べてみて」と社長の原田誠さん。町内13店舗で食べられるという。「それぞれの店にこだわりがあって、どれもいい味なんだ」という言葉に地元愛がにじみ出ていた。


■かほく冷たい肉そば研究会
http://www.tsumetainikusoba.com/

■白鳥十郎そば本舗
山形県河北町谷地字月山堂407-1
営/11:00~15:00、17:00~19:30 
休/木曜
問/℡0237-73-2693

 

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