Feature特集

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仙台防災未来フォーラム2019

みんなで知る伝える備える

「仙台防災未来フォーラム2019」では、8つのセッション、15のプレゼンテーション、4つのワークショップ、49団体のブース展示が行われる。うち半数は今回が初参加で、高校生や大学生など若い世代の参加も増えている。その中から3団体の発表をご紹介しよう。

独立行政法人国際協力機構JICA東北


フィリピンレイテ州タクロバン市で行われた住民グループを対象にした自主防災ワークショップ。途上国への協力活動をJICAが支援し、いしのまきNPOセンターが実施する「草の根技術協力事業」の一環

災害復興支援研修で、東松島市大塩市民センター併設の防災備蓄倉庫を視察するJICA研修員


JICA東北は、東日本大震災以降、震災から学んだ教訓や復興への取り組みを、世界の途上国と共有する研修事業を実施してきた。「東北に来て復興を学ぶことは、世界各国の方々にとって特別なことになっています」とJICA東北次長の三村悟さん。海外からは、被災都市の復興プラン作りや、家や職場を失った人々の生計を再建する支援が日本に求められていると話す。一方で、東北が海外の被災地から学ぶこともある。「人の結びつきが希薄になった日本の都市部と比べ、途上国はまだまだ人のつながりが強い。コミュニティーの大切さを学ばせてもらうことも多いんです」


JICA東北の三村悟次長と菅野あゆみさん。「国際協力に興味のある方はぜひお立ち寄りください」


これまでの活動を踏まえ、フォーラムでは「災害経験の共有・伝承と持続可能な開発に向けて」と題したセッションを行い、インドネシアとフィリピンからゲスト登壇者を招く。両国とも災害経験を通じて東北との結びつきが強い。インドネシアからは若手のインフラ関係技術者、フィリピンからは政府の経済関係責任者が来仙する。また、国内では高知県や岩手県から防災の研究者や復興支援の現場で活動する人が登壇する。さまざまな国や立場の人々の経験や考え方を共有していく機会は、今回のテーマ、マルチステークホルダーの考え方にもつながる。

JICA東北はブース展示にも参加。2015年に国連で採択された国際社会共通の目標「SDGs(エスディージーズ)(持続可能な開発目標)」から、防災との関わりが深いものをピックアップして紹介する。「SDGsの17番目の目標が『パートナーシップで目標を達成しよう』です。持続可能な未来のために必要なパートナーシップを、海外と東北の間につくっていくのがJICAの仕事。お互いにどんなことが学び合えるか、ディスカッションの中から生まれてくるといいなと思っています」(三村さん)。


セッション
「災害経験の共有・伝承と持続可能な開発に向けて」
時間/10:00~11:50 
会場/展示室3-B 
定員/250名
※ブース展示は展示室2で9:30~17:30




2017年4月から震災遺構として一般公開されている荒浜小。1・2階には津波の爪痕が残る

高見秀太朗さん(左)と大林要介さん

宮城教育大

宮城教育大教職大学院の高見秀太朗さんと大林要介さんは、震災遺構仙台市立荒浜小学校(仙台市若林区)を防災教育に生かそうと小中学校の教員向け手引書作りを進めている。

きっかけは他の大学院生らと共に、昨年6月に荒浜小を訪れたこと。「荒浜地域の震災前の暮らしに関する展示があり、地域と学校に密接な信頼関係があったことに気付かされました」(高見さん)。手引書は校舎の見学を軸に、荒浜小を活用した授業プランを例示。具体的な活用法として①校舎を見学し自分たちの地域の課題を調べてリーフレットにまとめる②地域の行事や学校行事の中でも荒浜小との共通点を意識させ、防災を多面的に捉えてもらう―などを示す。児童生徒たち向けのワークシートも作成。荒浜小の見学ポイントを記入しまとめられるようにした。


大林さんは「実際に荒浜小で授業をした際のフィードバックや、他地域での活用も視野にいれています」と話す。フォーラム当日は、2人が企画の趣旨や取り組みの内容を説明するプレゼンテーションの他、同大のブースで実物も配布する。「子どもたちや教員にとって学校は日常の中の場所。荒浜小訪問は防災の大切さをより切実に自分事として考える機会になり得るはず」と高見さんたちは期待を寄せる。


1月に仙台市教委の担当者やガイドらが集まり、手引書などについて意見を交換した


プレゼンテーション
「荒浜小学校からつなぐ、わたしたちの防災―震災遺構を通じた『いのち』と『くらし』の学びの手引きの制作」
時間/13:05~13:50 
会場/会議室4-A 
定員/48名 
※ブース展示は展示室2で9:30~17:30


東北工業大


左から髙泉沙知恵さん、浅野陽菜さん、鈴木楓由さん


カートチェアを発案した今野隆哉さん(右)と鈴木尋斗さん。どんな実寸大モデルが完成するかは会場でのお楽しみ

昨今、防災用素材としても注目の段ボール。その段ボールを使って東北工業大の学生たちが作品を製作した。アイデアを出したのは建築学科の学生たち。16の案が出され、このうち2つが実用化に向けた優秀作品として選ばれた。

1つは髙泉沙知恵さん、浅野陽菜さん、鈴木楓由(ふゆ)さんら3人が取り組んだ授乳室「ハニールーム」。東日本大震災で被災した経験から、幼い子どもを持つ女性が避難所などで周囲の視線を気にせず安心して授乳できる空間をという、女性らしい視点から生まれた。入り口を回廊状にし、採光のスリットを上部に入れるなど、のぞかれにくく入りやすい工夫が凝らされている。


▲「ハニールーム」の10分の1モデル。梱包資材会社・今野梱包(石巻市)の協力を受けながら改良を重ねている


今野隆哉さんと鈴木尋斗さんが提案したのは「カートチェア」。支援物資に並ぶ待ち時間と荷物の持ち運びの負担軽減を目的に、既成品の段ボール製椅子にタイヤを付けるなど手を加えた。「工夫したのはどんなタイヤを付けるか、強度をどう上げるか。紙を貼ったり色を塗ったりすれば段ボールの良さをさらに生かせると思う」(今野さん)。

両作品は実寸大で製作したものを、会場に展示する。学生ならではのユニークな視点で作られた防災作品にぜひ触れてみて。


作品展示 大学生考案!
「防災・復興ダンボール製作品」展示
時間/9:30〜17:30 
会場/展示室2


 

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