Feature特集

2019.10.03号掲載

温故知新
しおがま

塩釜といえば、すしやマグロ、蒲鉾をはじめとする海の味と「陸奥国一之宮」の塩釜神社で知られる港町。その歴史や文化は知るほどに奥深い。地元で生まれ育った3人が古くて新しいまちの魅力を語ってくれた。(宇・菊・サ)


国内外の気鋭アーティストを紹介するギャラリーとショップ「ビルドスペース」を塩釜市内で運営しています。

建築巡りは塩釜の魅力の一つです。生涯学習施設「ふれあいエスプ塩釜(エスプ)」は建築家長谷川逸子さんが手掛けた現代建築。「塩釜市杉村惇美術館」は1950年建造の市公民館分室が生まれ変わった建物です。それぞれ発信しているものは違いますが、多様な価値観との出合い、感性を刺激する時間を提供してくれます。

私自身、地元に対する見方が変わったのは写真家平間至さんがきっかけでした。音楽雑誌などで活躍する平間さんが塩釜市出身と公言しているのが誇らしかったんです。漫画雑誌「ガロ」や音楽イベントなどの文化発信を行うエスプや平間さんの存在は常に刺激的です。塩釜では平間さんが手掛ける「塩釜フォトフェスティバル」や「GAMA ROCK FES」も開かれています。

----【プロフィール】----
1980年生まれ。カナダ・バンクーバーの美大の留学を経て、ビルド・フルーガスを設立。イベント詳細はWEBサイトで。
住/塩釜市港町2-3-11 ℡080-3198-4818


塩釜市本町通り商店街にある「渡辺果実店」2代目です。果物や藻塩を使ったジェラート専門店を2016年に開業しました。

父が本町通り商店街で果物店を始めたのは50年以上も前。自宅も店の近くなので、商店街は幼い頃からなじみの場所です。うちの店には利府や多賀城など近隣市町の常連も多かったそうです。東日本大震災をきっかけに、商店街は様変わりしました。津波被害で取り壊した建物が多く、廃業した店もあります。一方で、御釜神社や団子店「おさんこ茶屋」、浦霞醸造元「佐浦」など史跡や老舗は残っている。最近は私と同世代の30〜40代の方々が事業を始め、特にカフェなど個性的な店が増えましたね。私もここで新しい商売ができることを証明したくて、震災後に開業しました。

SNSを見て県外から足を運んでくださる方が多く、よく「塩釜は面白い街ですね」と言ってもらえます。今の塩釜は新旧の店が共存していて、それが面白さだと思います。

----【プロフィール】----
1976年生まれ。地元の商店主でつくる本町通りまちづくり研究会メンバーでもある。
住/塩釜市本町3-5 ℡022-349-4952

ボランティアガイドとして案内するのは、かつて塩釜神社が定番でした。最近は旧ゑびや旅館や浦霞醸造元「佐浦」、御釜神社といった街中まで足を運ぶ方が増えてきました。

大隈重信らも宿泊した旧ゑびや旅館は、昭和期からは茶舗として使われていた建物です。津波被害を受け、解体されることを直前に知って東北学院大の齋藤善之教授(商業史)に相談しながら募金活動などを行い、NPOみなとしほがまで保存を進めた経緯があります。今は「塩釜まちかど博物館」として公開、1階はカフェとして活用されています。

塩釜神社の別当寺「法蓮寺」から慈雲寺本堂に移築され、今は佐浦の玄関の一部になっている「向拝」も慈雲寺の建て替えに伴って解体廃棄される間際に偶然それを知り、保存にこぎつけることができた貴重な建築部位です。

「塩釜は歴史のある建物が残っていていいですね」と言われますが、古い建物は油断するとあっという間に失われてしまいます。利活用しながら残していくことが大切なんですよ。

----【プロフィール】----
1951生まれ。不動産業を営む傍ら、趣味の古文書研究が高じ2003年からNPOで活動。歴史的建造物保存活用部会部会長。ボランティアガイドの会事務局。ガイドの依頼は℡090ー7932ー5476
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