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健康の医学教室

身近な病気や症状について、東北大医学系教授らが最新情報を伝える

東北大大学院医学系研究科
分子内分泌学分野
  教授 菅原 明 さん

1987年東北大医学部卒。同大大学院医学研究科、ハーバード大などを経て、2011年から東北大大学院医学系研究科病態検査学分野教授、12年から現職。17年から保健学科長。医学博士。専門は内分泌・代謝学。

【テーマ】「日ごろ見落とされやすい内分泌の病気」

尿、体重、血圧、だるさ
異常感じたら早めに受診

内分泌の病気はホルモンの異常によって起こりますが、非常に多くの種類があり、必ずしも患者さんの数が多くないことから見落とされがちです。「このような症状があったら、このような病気かも」という例を、①多尿②肥満③体重減少④急な血圧上昇⑤だるさーに分けて見ていきます。

糖尿病は濃い尿が多く

まず多尿(1日3ℓ以上)になる病気です。尿が薄ければ尿崩(にょうほう)症(中枢性)で、抗利尿ホルモンが出ないことが原因です。ホルモンは出るけれども腎臓で作用できないのが腎性尿崩症で、カリウムが低ければ原発性アルドステロン症かもしれません。まれに高齢者にみられるのが偽性アルドステロン症です。漢方薬(甘草)の副作用で起こる多尿で、薬をやめれば治ります。カルシウム値が高くて多尿なら、多くは悪性腫瘍です。濃い尿が多量に出るのは糖尿病です。尿回数が増えて体重が減少してきたら、糖尿病が悪くなったと考えられます。
次に肥満になる病気です。脳下垂体に副腎皮質刺激ホルモンが出る腫瘍や、副腎にコルチゾールというステロイドホルモンを作るような腫瘍ができたなら、クッシング症候群です。赤ら顔で、体の中心は太っているのに手足は細いのが特徴です。

急な体重減にも要注意

急な体重の減少で考えられるのは、悪性腫瘍、うつ病、糖尿病、バセドウ病に代表される甲状腺機能亢進症です。バセドウ病は女性に多く、眼球突出、甲状腺腫、頻脈が見られます。バセドウ病と紛らわしい無痛性甲状腺炎は2~3カ月で改善しますが、後に機能低下症になることもあります。
急に血圧が上がる病気に腎血管性高血圧症がありますが、腎動脈の狭窄(きょうさく)の有無を調べると簡単に診断がつきます。原発性アルドステロン症でも血圧が上がります。高血圧患者のうち、5~10%はこの病気に該当するといわれます。副腎髄質由来の腫瘍、褐色細胞腫でも急に血圧が上昇します。
だるさが起きる理由として、ホルモンの病気がいくつかあります。1つは副腎皮質機能低下症で、有名なのが原発性副腎皮質機能低下症(アジソン病)です。だるい、筋力が低下するなどの症状が出ますが、ストレスがかかるとショック状態を引き起こします。甲状腺機能低下症でもだるさを生じます。橋本病があれば原発性甲状腺機能低下症と診断されます。顔や手がむくむ、便秘がち、物忘れがひどいなどの症状があります。
一般的な病気に内分泌の病気が潜んでいることがあります。異常を感じたら早めに診断を受けてください。
(7月23日講演)