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健康の医学教室

身近な病気や症状について、東北大医学系教授らが最新情報を伝える

東北大大学院医学系研究科
精神神経学分野
  教授 富田 博秋 さん

1989年岡山大医学部卒。同大大学院博士課程修了。米カリフォルニア大アーバイン校精神医学講座研究員などを経て、2012年から現職。東北大災害科学国際研究所、東北メディカル・メガバンク機構教授を兼務する。

【テーマ】心を健康に保つコツ

1人で抱え込まないで
医師や保健師に相談を

「心の健康」について、世界保健機関(WHO)は「①等身大の自分の能力・可能性に気がつき、認めることができる②生活の中で出合う通常のストレスに対処することができる③前向き・生産的に物事に取り組むことができる④周りの人や仲間、社会のために何かをしたいという気持ちになれる」ことと定義しています。心と体は密接につながっていて、心の健康が体の健康に影響しますし、その逆もしかりです。

腹式呼吸でリラックス

私たちは多かれ少なかれ気持ちが落ち込むことがあります。多くの人は何とかバランスを保って生活を送っていますが、バランスを崩して心の病気になる人が少なからずいます。日本人の5.6人に1人は、生涯のうちに精神疾患になるといわれています。回復は可能ですし、有効な回復方法もあるので、1人で抱え込まないことです。相談すれば良くなる問題も、1人で我慢しているとより状態が悪くなります。病気について理解し、医療機関や保健師さんなどに相談すれば解決できることを知ってください。
心の健康を保つには、「体の面」「考え方や習慣面」「社会的な面」の3つのアプローチが必要です。体に関しては十分睡眠を取り、運動し、リラクゼーションの方法を持っておくと良いでしょう。お酒の飲み過ぎもいけません。
私が勧めるリラクゼーションは交感神経を静める「腹式呼吸」です。おなかを膨らませながら1~3と数え、4で止めます。次に5~10まで数えながら息を吐いておなかをへこませます。不安、イライラ、不眠などに効果があります。

「考え方」は変えられる

精神的な面に関しては、自分の感じ方や考え方の習慣に気付いて改善することです。悲観的なフィルターを通して物を見がちな人や、良い面を過小評価し、悪い面を過大評価する人がいますが、肯定的に考え直すことが大切です。意識的に気を付けていくと、考え方は少しずつ変わっていきます。
社会的な面では、人との交流が大事です。自分の気持ちを飲み込んで我慢したり、相手を責めたりせずに、自分の気持ちや立場を言葉にする「アサーティブ」な自己表現法を身につけると良いでしょう。
精神疾患のメカニズムについては、未解明の点が多く残されています。今、私たちは最新の脳画像や血液の情報などを使って、心の病気を理解することに取り組んでいます。心の健康をいかに保てるか。そして、心の病気にかかる人をどのように予防し、治療やサポートをするかは、私たち一人一人に関わる重要な問題です。
(3月26日講演)