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健康の医学教室

身近な病気や症状について、東北大医学系教授らが最新情報を伝える

東北大大学院医学系研究科
内部障害学分野
  准教授 原田 卓 さん

1993年山形大医学部卒。97年東北大大学院医学系研究科修了。東北労災病院リハビリテーション科部長などを経て2017年11月より現
職。専門は内部障害リハビリテーション学。日本リハビリテーション医学会専門医、同指導医、日本腎臓リハビリテーション学会事務局を担当する。

【テーマ】糖尿病・メタボリックシンドロームの運動療法のコツ

「やや楽な運動」から開始
仲間と励まし合い継続を

糖尿病は、膵臓(すいぞう)から出るインスリンが少なくなったり、効きが悪くなったりして慢性的に血糖値が高くなる病気で、1型と2型に大きく分類されます。1型はインスリンを出す細胞が破壊されて起こる糖尿病で、インスリンを外から補充する治療が必要です。2型はインスリンの働きが相対的に悪くなって起こる糖尿病で、糖尿病患者の多くはこのタイプです。治療せずに放っておくと合併症を引き起こします。
合併症は細小血管障害(腎症、網膜症、神経障害)と大血管障害(脳卒中、心筋梗塞など)に大別されます。糖尿病を判別する数値がHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)です。HbA1cが1%上がると細小血管合併症の発症が37%、大血管症が14%増えるといわれています。また糖尿病があると死亡リスクは2~3倍高くなります。

主治医と相談してから

糖尿病の治療目標は、健康な人と変わらない生活の質を保ち、寿命を確保することです。そのためには血糖、血圧、脂質、体重の状態を良好にコントロールすることが大事で、有効なのが運動療法です。急性効果として、ブドウ糖、脂肪酸の利用が促進され血糖値が下がりますし、慢性効果として、インスリンが効きやすくなり、血糖コントロールが良くなります。減量効果や、運動不足による筋萎縮や骨粗しょう症の予防にも有効です。その他、高血圧や脂質異常症の改善、心肺機能の強化、さらに日常生活の質を高める効果も期待できます。運動療法を始める前に、どのくらいまでの運動をしていいか、主治医と相談してから行ってください。低血糖が起きたら、必ず主治医に報告してください。

減量へ食事療法を併用

最近メタボリックシンドロームという言葉を耳にすることが多いと思います。内臓脂肪型肥満に、高血糖・高血圧・脂質異常症のうち2つ以上の症状が該当すると、メタボと診断されます。放っておくと、動脈硬化性疾患(心筋梗塞や脳卒中)が起きるので注意が必要です。
治療は基本的に糖尿病の運動療法と変わりません。ただし、糖尿病患者に比べ、狭心症や整形外科的疾患の既往が多いので、運動療法開始前には医師の評価が必要です。さらに、減量のための適切な食事療法を組み合わせ、筋肉は維持して、脂肪だけ減らしましょう。
継続するには、散歩のような「やや楽な運動」から始め、徐々に「ややきつい」程度まで高めます。そして仲間を作ることです。家族や友人と声掛けしながら運動すると長続きします。
(1月29日講演)