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健康の医学教室

身近な病気や症状について、東北大医学系教授らが最新情報を伝える

東北大大学院
医工学研究科分子病態医工学分野
医学系研究科病態液性制御学分野
  教授 阿部 高明 さん

1986年東北大医学部卒。92年同大学院医学研究科修了。医学博士。米国ハーバード大医学部客員研究員、ヒューマンフロンティア財団長期研究員などを経て、2008年から現職。日本高血圧学会評議員、日本腎臓学会学術評議員。

【テーマ】あまりにも身近な病気「高血圧」と上手に付き合う秘訣(ひけつ)

適正血圧で臓器を守る
135/85mmHg未満目標に

血圧が高いと、なぜ問題なのでしょうか。高血圧状態が長く続くことで動脈硬化を引き起こし、脳や心臓、腎臓などにさまざまな合併症を引き起こすからです。脳卒中や狭心症、心筋梗塞、腎不全などの大きな原因は高血圧です。また、高血圧により腹部の血管に動脈硬化が起こると大動脈解離になります。目の奧にある血管の血圧が高くなって破れると眼底出血を起こします。このような障害を未然に防ぐため、血圧を適切にコントロールする必要があります。

朝食前の測定がベスト

血圧を測る方法は、携帯型24時間連続血圧記録、診察室での外来血圧測定、家庭血圧測定があります。一番大事だといわれているのが家庭血圧です。血圧は1日の中で変動します。一般に睡眠時は低く、起床と同時に上昇します。ストレスや睡眠不足でも変化しますし、夏と冬でも異なるので、自宅での測定値が大事な情報になります。
家庭用血圧計は上腕、手首、指先で測る3タイプがあり、上腕タイプがお薦めです。病院では右腕で測りますが、家庭用の場合は左手用が多いので、取扱説明書をよく読んで使用してください。朝起きてから排尿を済ませ、朝食や薬を服用する前に楽な姿勢で測定するのがベストです。朝が無理な場合は、毎回同じ条件で測ることが大事です。1カ月ぐらいの記録があると、医師は評価をしやすくなります。

生活習慣改善で減薬可

高齢者の治療目標は、診察室血圧が140/90mmHg未満、家庭血圧は135/85mmHg未満とされていますが、高血圧や腎機能障害などの病気があると、より低い数値が求められます。特に朝の血圧を下げることは、脳卒中を予防する大事なポイントです。
薬に関しては、血管を開き腎臓からのホルモンの働きを抑えるACE阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗(きっこう)薬(ARB)、血圧を下げるカルシウム拮抗薬、塩分を体外に出す利尿薬があります。この3種を組み合わせて降圧を図ります。注意したいのは食塩です。ACE阻害薬やARBは塩分を取り過ぎると効き目がなくなります。「薬を飲み続けなければいけないのか」という質問をよく受けますが、減塩などの生活習慣を改善することで、薬を減らすことも、やめることも可能です。主治医と相談して決めてください。
高血圧の治療目的は、脳や心臓、腎臓などの臓器を守って、心臓や血管などの病気の発症を防ぐことです。目標を達成することで生活の質の向上を図ることができ、医療費の削減にもつながります。
(10月30日講演)