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健康の医学教室

身近な病気や症状について、東北大医学系教授らが最新情報を伝える

東北大大学院医学系研究科
てんかん学分野
  教授 中里 信和 さん

1984年東北大医学部卒。米カリフォルニア大ロサンゼルス校研究員、広南病院(太白区)副院長などを経て、2010年から現職。国内の大学病院初の「てんかん科」を設立。てんかん科長、てんかんセンター長などを兼務する。

【テーマ】てんかんと遠隔医療

オンラインで専門的診療
患者負担軽減へ期待大

てんかんは誤解が多い病気です。口から泡を吹いて倒れ、体をがくがくさせている発作を思い浮かべる方がいるかもしれませんが、誰が見ても分かる発作ばかりではありません。ぼーっとして意識がなくなる発作や、聞こえるはずのない音が聞こえる発作など千差万別です。
「てんかんが起きたら、舌をかまないよう口に物を詰める」「遺伝する」などの勘違いもたくさんあります。診断や治療は簡単ではありません。かかりつけ医の治療で1年たっても発作が残っているようなら、てんかんセンターなどで専門治療を受けてください。

地方医師 勉強の機会に

私は以前、発作が止まれば患者さんは幸せになると思っていました。しかし患者さんは世間の偏見など多くの悩みを抱えており、そこを理解しないと真の解決にならないことに気付きました。診察では時間をかけてゆっくり話を聞いているので、東北大病院てんかん科は、受診まで平均3カ月待ちの状態です。患者数に対し専門医は圧倒的に少なく、1人が診る患者数にも限界があります。そこで考えたのが、てんかんセンターを核とした遠隔システムです。
きっかけは東日本大震災です。震災後、大きな被害を受けた気仙沼市立病院と私の研究室を遠隔会議システムで結び、診療を手伝いました。高画質な画像で違和感なく普段通りの診療ができたことで、これからは必要なシステムだと実感しました。
東北大のてんかん科では毎週1回、いろいろな科の医療スタッフが集まって難しい症例の検討会を行っています。ここに遠隔会議システムを導入し、オンライン中継を始めたことで、これまで勉強の機会がなかった地方の医師が、てんかん専門医の資格を取るなど広がりを見せています。年々、海外からの参加者も増えています。

国の制度変える必要も

インターネットを介したセカンドオピニオン外来を5月に始めました。スマートフォンなどに専用アプリをダウンロードしてもらい、画面上でやり取りをします。有料で、診療には現在の主治医の紹介が必要です。結果は主治医に提供されます。遠隔地の患者さんの経済的、時間的な負担の軽減だけでなく、オンラインを通して主治医や医療機関との連携も深められます。
オンライン診療の実現には医師法やセキュリティーの問題など、解決しなければならないこともあります。しかし近い将来、地域医療の切り札となるはずです。私たちは慎重に事例を重ね、国の制度を変えていきたいと思っています。
(5月28日講演)