Kidsキッズ

2017.10.05号掲載

安心運ぶ
子育てタクシー

残業で保育園のお迎えに間に合いそうもない。習い事に通わせたい…。働く親にとって、幼い子どもの送迎は頭の痛い問題。そんなニーズに応えて、仙台市内では10年前から「子育てタクシー」が運行されています。子ども1人だけでも乗車できるというこのサービス。どのように利用されているのか、取材しました。


学童保育や塾への送迎… 
子どもだけで乗車OK

建物内まで同行
午後2時半をまわり、八乙女小(泉区)の低学年の児童が帰宅し始めました。子育てタクシーのロゴマークが付いたフタバタクシーが1台、学校のそばで待機しています。
「お帰り」。ドライバーの中村正美さん(65)が笑顔で1年生の男の子を出迎え、後部座席へ乗せました。車はNPO法人「働くお母さんと子どもを支援する会」が隣の小学校区で運営する学童保育「アフタースクール:キッズベース」(青葉区)を目指します。駐車場に着くと男の子と連れ立ち、ビル2階にある児童クラブへ。「ただいま!」「お帰りなさい」。指導員さんに無事送り届けて任務終了です。
キッズベースには他に4人の児童が、子育てタクシーを利用して近隣の小学校から通っています。中村さんは、次の子が待つ指定場所へ向かって行きました。


共働き世帯の利用増
ドライバー養成が課題

保育実習も修了
子育てタクシーには「全国子育てタクシー協会」が養成したドライバーが乗務しています。登録ドライバーはチャイルドシートの装着法や妊婦体験、小児の応急手当法などの講習と保育実習を修了し、自動車保険ではカバーできない乗車前後の傷害事故、荷物の損壊などを補償する保険に加入しています。
協会には2015年4月時点で28都道府県の129社が加盟。宮城県内では唯一、フタバタクシーが2007年から運行しています。登録ドライバーは8人。日勤で予約に対応し、学童保育や塾、保育園への子どもの送迎、妊婦や子連れママの外出をサポートしています。
社長の及川孝さん(68)によると、入会すると運賃が1割引きになる同社の「子育てタクシークラブ」会員は、1600人もいるそうです。ただし、その多くは陣痛が始まった時の送迎に備えて登録したものの、利用はしなかった妊婦さんたち。実際のリピーターは約30人で、1カ月の利用件数は延べ370件ほど。小学校低学年の子がいる共働き世帯を中心に年々増えているといいます。
小学1年男児をキッズベースまで送ってもらっている母親(36)は、育児休業を取得し、今年6月に職場復帰しようとしたところ、学区内の学童保育に空きがなかったといいます。小学校からキッズベースまでは子どもの足で約1時間。1カ月定額で送迎代4000円がかかっても「安心して任せられる。子育てタクシーが橋渡ししてくれるので職場復帰できました」と話していました。

研修費用2万円
子育てタクシーは放課後などの時間帯に利用が集中しがち。「1社だけだと急な依頼は断らざるを得ません。もっと協会に加入するタクシー会社が増えれば、利用しやすくなるんですが」と全国子育てタクシー協会長も務める及川さん。登録ドライバー養成には1人につき2万円の経費がかかるため、二の足を踏む会社が少なくないといいます。
山形県や秋田県は、社会全体で子育てを支援する環境づくりの一環として、行政が費用を助成しています。及川さんは宮城県にも同様の後押しを要望しています。

子育てタクシーのハンドルを10年間握っている中村さん。保育園に1歳半の幼児を迎えに行き、あやしながら祖父母宅まで送ったこともあるという


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