河北新報特集紙面2023

2024年3月29日 河北新報掲載 
震災伝承新聞完成レポート①中学生がつなぐ記憶と教訓

取材で得た学びの成果を共有

 昨年10月14日、南光台中の1年生10人は、尚絅学院大学の学生ボランティアチームTASKI(たすき)に所属する大学生とともに名取市閖上地区を訪問。名取市震災メモリアル公園で、閖上中央町内会長の長沼俊幸さんの話に耳を傾けました。かわまちてらす閖上の若草寿司では、比佐幸悦さんから営業再開までの経緯について聞き取り。さらに、TASKIメンバーと防災ボトル作りにも挑戦しました。
 震災伝承新聞発行後の2月21日、オンライン形式による発表会を開催。中学生記者たちの報告を全校生徒が各教室で聞きました。長沼さんの話をまとめたチームは「閖上は過去の被災経験が教訓として生かされず、『閖上には津波が来ない』という誤った伝わり方が結果的に被害を大きくしてしまった」と、伝承の難しさと大切さを伝えました。若草寿司の比佐さんに取材した班は「以前のような活気あるまちになってほしい」と願う熱意が印象的だったと話しました。TASKIメンバーと意見交換した中学生記者は「災害に備えて必要なものを入れる防災ボトルの中身は人によって違う。それぞれのオリジナルを考えることが大切」と発表。各教室の生徒たちはみな真剣な表情で聞き入っていました。

仙台市立南光台中学校
スライドを交えながら取材の報告を行う中学生記者

仙台市立南光台中学校
中学生記者

神尾 ひかるさん(1年)

 私たちは名取市閖上を訪れ、津波の恐ろしさ、被災後の暮らしの大変さ、日ごろの備えの大切さを学びました。出来上がった新聞は家族に見せ、私の家で必要な防災用品などを話し合うきっかけにできればと思います。

仙台市立南光台中学校
発表会参加者

高橋 諒伍さん(2年)

  東日本大震災を体験した方々の話には「悲しみや苦しみを繰り返さないでほしい」という思いがこもっていました。中学生にできることは限られているかもしれませんが、大人になってもしっかり次の世代へ伝えたいと感じました。

今回参加した中学生記者全員の「声」

仙台市立南光台中学校
五日市 颯真さん(1年)
驚くばかり 貴重な時間
 閖上を見渡せる小さな丘、日和山の頂上よりも2メートル高い津波が来たこと。寒く、狭く、隣の家の音も聞こえてしまう3畳2間の仮設住宅に一家4人で暮らした大変さ。店が流されても再起し、お客さんを楽しませようと工夫するすごさ。驚くことばかりの、貴重な時間でした。
仙台市立南光台中学校
植松 愛奈さん(1年)
震災ようやく自分ごと
 今までは、震災のことについて、その重要さがよくわかっていませんでした。でも、被災された方から直接お話を聞くことで、自分ごととして考えることができました。同年代、下の世代、東日本大震災を経験していない人にも伝えていく。今回のプロジェクトは、その一歩になります。
仙台市立南光台中学校
大内 健太郎さん(1年)
次世代伝承こそが使命
 今回の震災学習で「この学年だからできることがあるのではないか」と考えました。覚えているかというと覚えていません。でも、皆さんのお話を聞いて、次の世代に教訓を伝えていくことはできます。それが、東日本大震災の起きた年度に生まれた私たちの果たすべき使命と思います。
仙台市立南光台中学校
神尾 ひかるさん(1年)
伝える大切さを学んだ
 震災のことは知っているつもりでした。でも、実際に被災地を見てお話を聞くと、一体どれだけの人がつらい思いをしたのだろうか、たくさんの人、家、物、場所を一瞬で消し去った津波はどれだけ怖く、悲しい出来事だったかと、知らないことばかりでした。伝える大切さを学びました。
仙台市立南光台中学校
上川名 翔大さん(1年)
『復興』に終わりはない
 「復興」という言葉に対する考え方が変わりました。新しいまちができ、生活は震災前よりも便利になったそうです。しかし、震災前に眺めていた景色や、地域でのご近所づきあいは元通りにはなりません。住民の方々の心の中では、震災は終わりのないものだということを感じました。
仙台市立南光台中学校
神 一護さん(1年)
津波の被害 本当に怖い
 TASKIの方から津波に遭った話を聞きました。逃げ遅れ、屋根上に避難したところ、すぐ近くの電柱につかまって助けを求めていた同級生がいて、助けたいけど自分も危ない状況なので行けず、その人は結局亡くなったそうです。年齢の近い方の話は、本当に恐ろしいと思いました。
仙台市立南光台中学校
武田 愛莉さん(1年)
人を思う優しさに感動
 印象に残ったのは「復興に終わりはない」という話です。一見すると普通の生活に戻っていても、心が立ち直れるとは限りません。もう一つは「仕事のやりがいはお客さまの笑顔」と言っていた比佐さん。自分も店がなくなり悲しいのに人のことを優先できるのはすごいと思いました。
仙台市立南光台中学校
武山 莉桜さん(1年)
復興の基準 人それぞれ
 「たくさんの人に聞かれたけれど、復興とはどういうことかわからない」という長沼さんの言葉が心に残ります。復興を辞書で引くと「再び盛んにすること、盛んになること」とあります。盛んになったと感じる基準は人それぞれであいまいで、復興に終わりはないのだと感じました。
仙台市立南光台中学校
守屋 結衣さん(1年)
語り継ぐ意味 考えたい
 江戸時代から続く閖上のまちを一瞬で奪った津波の残酷さ、復興について考える難しさを実感しました。私たちに震災の記憶はありませんが、被災された方のお話を聞き、思いを知りました。この新聞から、なぜ震災を語り継ぐのか、風化させてはいけないのかが伝わればと願っています。
仙台市立南光台中学校
湯目 壮介さん(1年)
繰り返さない努力大切
 つらく悲しい記憶なのに、取材した皆さんは一生懸命に教えてくれました。自分には地震や津波の記憶はありませんが、想像することはできます。こんな思いを繰り返さないようにするには、わからないことをそのままにするのではなく、わかろうとしなければいけないと思いました。

「震災伝承新聞」は、宮城県内186の中学校へ配布したほか、愛媛県今治市の近見中学校と兵庫県西宮市の浜脇中学校などで教材として活用されました。東北各地の震災伝承施設、宮城県外の災害に関する研究を行う大学や団体、東京都・池袋「宮城ふるさとプラザ」、宮城県大阪事務所などでも配布しています。
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今できることプロジェクト事務局(河北新報社営業部)
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