vol.30
働く世代の心身の健康づくりに向け、宮城労働局など4機関が連携し、健康経営の普及促進などに力を入れています。健康経営が広がりをみせる中、就業と健康を一体化した管理や地域とのつながりを掲げたビジョンなど、企業の取り組みも深化しています。先進的な事例を知る機会となる「健康経営勉強会」では、2028年のストレスチェックの全事業場の義務化を前に、「メンタルヘルス」をテーマにセミナーを開催します。


心身ともに健康で安心して働き続けることができる職場を目指し、東北労働金庫は、2017年に「健康経営宣言」を策定し、22年から26年まで継続して「健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されています。
産業医と連携し、健康診断の受診勧奨を積極的に行い、定期健康診断および精密検査対象者の受診率100%を達成しています。また、毎年10月を「健康強調月間」と定め、健康診断の結果などを基に課題に取り組んでいます。課題の一つである運動不足解消に向け、全国の労働金庫、関連会社などを対象とした「WALKING RALLY」に参加するほか、「食」をテーマに、血糖値が高い人向けのメニュー、年代別の食事のポイント、コンビニ食の選び方などに関する動画を制作し、食生活改善にも力を入れています。

良質な睡眠時間の確保に向け、「疲労回復ストレッチ」動画も制作し、全職員に配信
職員を対象にストレスチェックを実施し、分析結果を各所属長にフィードバック。ヒアリングを含め、職場環境改善に向けた取り組みを行っています。セルフケアや職場の上司が部下の心の健康をケアするラインケア研修も行い、メンタルケアへの理解を深めています。
就労と健康の問題は相互に影響し合うことから、今年度より「健康管理方針」と「就業管理方針」を一体化し、健康経営を推進。総務人事部人事課課長の山田さや香さんは「運動不足や食生活の問題も、労務リスクとつながっています。時間外労働を削減する『早帰りチャレンジDay』を実施など、働き方の改善と健康経営を統合することで、よりよい循環をつくっていきたい」と話します。アンケートで職員の課題やニーズを把握するほか、「健康管理室だより」を発行して情報を共有しながら、健康リテラシーの向上も図っています。
ITで社会を支えるNTTデータ東北は、健康経営を社員の健康維持のみならず、地域活性化、東北のAI・DX人材育成などの地域課題までを視野に入れ推進しています。心身ともに健やかに働ける環境づくりを目指し、2024年に健康経営宣言を行い、フィジカル(身体的)健康、メンタル(精神的)健康、ソーシャル(社会的)健康の三つを軸に、26年に健康経営優良法人(大規模法人部門)」に認定されました。
フィジカル面においては、定期健康診断の結果を踏まえて改善につなげる取り組みや、高たんぱく低糖質の総菜を提供する置き型社食を実施。メンタル面では、ストレスチェックや研修などで自身の状態への気づきを促し、保健師や産業医に早期に相談しやすい体制を整えています。
ソーシャル面では、社員同士や上司と部下の会話が自然に増えるよう、さまざまなコミュニーション施策により、社員の孤立を防ぐことに注力しています。また、オフィスでは席を自由に選べるワークスタイルとし、広いフロアの両サイドに憩いの場であるラウンジを設置し、日常的に歩く距離が増えるレイアウトを工夫するなど、健康増進とコミュニケーションを促す職場づくりを行っています。
フレックスタイム制やテレワークなど、ライフステージに応じて働きやすい環境も整備。さまざな環境で働く社員に向け、食生活や運動などに関するセミナーを定期的に実施・配信しています。「大切な人財である社員が活き活きと働き、能力を最大限に発揮することが、地域への価値提供と捉えています」と経営企画部事業企画グループ課長の早坂拓郎さんは話します。パフォーマンスを発揮しやすい環境づくりにも力を入れ、社員の力を地域社会に還元できる健康経営を目指しています。

宮城労働局/協会けんぽ 宮城支部/
宮城さんぽセンター/宮城労働基準協会
宮城労働局、全国健康保険協会(協会けんぽ)宮城支部、宮城産業保健総合支援センター(さんぽセンター)、宮城労働基準協会は、今年3月に連携協定を締結し、健康課題の解決や健康経営の普及促進などに向けて始動しました。4機関による連携協定は全国でも初めて。各機関の特徴を生かし、働く人の健康診断の受診率向上、健康診断の有所見率(何らかの異常・注意すべき所見があった人の割合)の改善、ストレスチェックの推進などを目指します。
資料出所:定期健康診断結果報告
県内で働く人の健康状況をみると、2025年、一般健康診断の有所見率は65・4%と、全国平均の59・7%を大きく上回る結果で、特に、生活習慣病との関連が深い血中脂質、血圧、肝機能、血糖の有所見率が高い傾向にあります。こうした状況を改善するため、定期的に健康診断を受けることや、必要な場合には再検査・治療への働きかけを行うことが重要です。
また、心の健康においても、精神障害に関わる労災保険の請求件数は年々増加。厚生労働省の「令和6年労働安全衛生調査(実態調査)」の労働衛生課による特別集計の結果を見ても、宮城県では、強い不安、悩み、ストレスを感じることがある人の割合が83・4%と全国平均の68・3%を大きく上回り、メンタルケアも課題です。
2026年10月18日付 河北新報朝刊_特集紙面 Vol.30より転載
このページの内容は河北新報に掲載された特集紙面を一部再編集してご紹介しています。
河北新報掲載の特集紙面は以下よりダウンロードできます。