みらいのまちづくり 仙台

TOPIC / 座談会

2026/09/29

~社会課題である人口減・
少子化問題を考える~
こどもの笑顔が咲き誇る都
みらいのまちづくり 仙台

論点
❷
結婚、子育てを応援するために

「こどもが幸せに育つ」
環境づくりを

―仙台市は自然豊かで都市機能も整い、生活環境が充実しています。ライフステージごとの希望を実現し、より住みやすいまちにするために必要なことは何でしょうか。

郡 結婚を望む人が結婚できる、こどもを産み育てたい人が安心して子育てができる。そうした環境を整えることが大切です。
本市では、若い世代の将来設計から、出産・子育て期にわたる切れ目のない支援に力を入れています。具体的には、若い世代のライフデザイン支援、妊産婦健診や産後ケア、乳幼児健診などの拡充を図ってきました。また、「経済的な負担が大きい」という声が多く聞かれることから、昨年10月に独自の出産育児支援金制度を開始したほか、今年4月から、こども医療費助成の対象年齢を高校3年生までに引き上げ、9月からは第2子以降の保育料を無償化しています。
さらに、女性にご自身の健康について、早くから意識していただける施策も大切なことから、先ほどご紹介のあった「ルナルナ」も含めフェムテックなどの取り組みも重要であると認識しており、自らのライフプランに合わせて、望む生活をすることができるよう、しっかりと支援していかなければならないと考え、取り組ませていただいています。

令和8年度版 子育てが楽しいまち・仙台
せんだいことぐらむ(Instagram)
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𠮷田 仙台市の次世代育成に関する経済的支援は高く評価できます。ただ子育て経験者に聞くと「必要なのはお金だけではない」というのが本音です。労働環境の整備や子育てに専念できる時間の確保、精神的なサポートも大切です。社会福祉の先進国といわれるノルウェーでは、国が「The Rights of Parents with Small Children」(幼いこどもを持つ親の権利)について具体的な施策を打っています。仙台市にも率先して取り組んでいただきたい。企業は、3年ほどの「子育てモラトリアム休暇」の制度をつくると良いのではないでしょうか。結果的に長く働いてもらえれば将来への投資になります。
「こどもが幸せに育つ環境」も重要な視点です。私は仙台こども財団の理事でもありますが、行政にはこどもの意見にしっかり耳を傾けてほしい。こどもが「毎日が楽しい」「ずっと仙台市に住みたい」と思えるまちづくりに期待します。

郡 こどもが「生まれてきてよかった」と感じ、やりたいことを思う存分できる社会をつくることは、行政の使命です。こどもは遊びながら心身ともに成長しますから、「遊び環境の充実」には特に力を入れて進めています。また𠮷田先生に参画いただいている仙台こども財団をはじめ、こどもの意見を反映する多様な取り組みを行っています。今年3月には、若い世代の意見を聞く場として「仙台若者会議『せんだいユースカウンシル』」を設置しました。
子育て環境は行政だけでなく、社会全体で支えることでより良くなります。企業による仕事と子育ての両立支援もその一つです。本市では、企業が社員の子育て支援を行う際に活用できるサポートプログラムを、さまざまな形で展開しています。

一人で抱え込まないよう 
社会全体でサポート

―宮城・仙台の結婚事情や、結婚を望む人の思いについてお聞かせください。

橋爪 全国の平均初婚年齢は男性が31歳、女性は29歳ですが、実際に最も多く結婚する年齢は男性27歳、女性が26歳です。ツヴァイを含む結婚相談所や婚活サービスを展開するIBJグループでは、この5年で20代の入会者が大幅に増えており、若い世代にも結婚相談所が選択肢の一つとして定着してきたように感じます。宮城県は女性が年上のカップルが26.1%、同年代のカップルが14.9%といずれも全国トップクラス。この数字からは、年齢だけでなく、価値観や相性なども重視して相手を選ぶ傾向がうかがわれ、誕生するカップルに多様性が見られます。また成婚率も男女とも全国上位5位以内で、結婚しやすい土地柄とも言えるのではないでしょうか。
「IBJ結婚みらい研究所」の調査で、結婚後の不安としてもっとも多かったのは「経済面」で32.8%です。結婚後に望む働き方は男女とも「夫婦ともフルタイム」がトップ。結婚する上で価値観の一致は重要な要素ですから、年齢や年収といった条件だけでなく、働き方やこどもについての希望、家事・育児の分担など具体的な生活面についてイメージし、話し合っておくことをおすすめしています。

―女性のライフプランに関する貴社の取り組みについて、那須さんにお聞きします。

那須 エムティーアイは、仕事と子育ての両立支援において厚生労働大臣から「くるみん認定」を受けています。ユニークな取り組みとしては、最大2年の「不妊治療休職」や不妊治療通院のための休暇制度があります。妊活のほか、介護や子育ての支援も行っています。会社が制度をつくるだけでなく、「みんなで支え合う」がモットー。「当事者に一人で抱え込ませない」「周囲が一丸となってサポートする」という意識が社員に浸透しています。
「支え合う」の精神はサービスにも反映しています。ルナルナは女性の人生に長く寄り添うツールですが、企画開発のキーワードは「みんなで妊活」。「一緒に妊活しよう」という押しつけではなく、「産む・産まない」「いつ産むか」といった希望をユーザー同士や社会全体でサポートすることを目指しています。妊娠を望む人が孤独に陥らず、ルナルナを通して社会とつながってほしい。アプリを開けば必要な情報に簡単にアクセスできる、同じ悩みを持つ人とつながれる、パートナーと体調やタイミングを共有できるなど、みんなで支え合う場として活用していただきたい。将来は自治体などと連携し、一人でも多くの方への支援につながることが理想です。

妊娠を望む人を孤独にさせない!「みんなで支え合う妊活」を 株式会社エムティーアイ ルナルナ事業部長 那須 理紗 氏

―皆さんの発言を聞き、新しい気づきや印象に残る言葉はありましたか。

村越 早い時期から体に関する正しい情報や知識を得て、自分の人生を考えることの大切さを感じました。また仙台市でこれほど手厚い支援が受けられることを知って、安心しました。
今回、印象的なキーワードは「みんなで支え合う」でした。行政や企業、地域社会が私たちに寄り添い、課題に向き合い、「みんなで一緒に進もう」と手を差し伸べてくださっていることを、心強く感じます。ただ、制度が充実していても必要な人に届かなかったり、本人に気持ちの余裕がなく活用に至らなかったり、ということも現実だと思います。今後さらに、情報へのアクセスのしやすさや悩みを気軽に相談できる環境、支え合う温かさがまちに広がってほしいと願います。