2018年 入賞作品

東北の風景

特選・河北賞

作品画像
「舞姫」

佐藤 賢悦 撮影地:岩手・九戸村

審査員コメント

一目見て断トツに良かった。飛び交う無数のヒメボタルが発する黄色い明かりと、林の中に群生するアジサイの青い色がとても幻想的な作品を作り出した。構図の設定も素晴らしい。何度も現場に足を運び、気象条件の良い時に撮影したのだろう。

準特選

作品画像
居久根の幻想・冬

斎藤 清 撮影地:名取市

審査員コメント

風よけの屋敷林「居久根(いぐね)」が朝もやの中で浮島のように見える。まるで日本画のようだ。居久根の周囲にあるはずの景色が隠れて生まれたグラデーションがいい。太陽の光量を抑えたのが良く、受賞の決め手となった。場所や時季を知る地元の方ならではの作品だ。

宮城県知事賞

作品画像
月夜の松島

松本 隆 撮影地:宮城・松島町

審査員コメント

ゴールドの月明かりが海面に反射してとてもきれいな作品になった。松島を題材とする作品は他にもあったが、色合いが最も良かった。何としても撮影したかったという意志が強くにじみ出ている。

青森県知事賞

作品画像
渡りの季節

小住 正吾 撮影地:登米市

審査員コメント

色は浅くモノトーン調で、優しい感じの作品になっている。手前に枯れたハスの葉があり、朝もやが広がる後方は白っぽく奥行きが出ている。葉が水面(みなも)に映り、上下に対称を成しているのも良い。

岩手県知事賞

作品画像
幽寂

川下 トシ 撮影地:仙台市太白区

審査員コメント

木々の上に雪がうっすら乗り、初冬の雰囲気が良く出ている。渓谷の間にできた手前の波紋が効いている。輪郭が大きくてきれいで、現場で最も良いシャッタースピードに合わせる技術が優れている。

富士フイルム賞

作品画像
残雪に咲く

横澤 千晶 撮影地:山形・西川町

審査員コメント

「日本の風景」と言える作品だ。サクラの根元に残雪があるが、開花時期の違いで毎年撮れる風景ではないだろう。真新しい緑の木々や、朝もやが掛かった山の色合いも合わせて、早春の雰囲気が出ている。

ペンタックス賞

作品画像
蔵王のつぼ滝

大條 幸宏 撮影地:宮城・蔵王町

審査員コメント

滝を写した複数の作品の中で一番だった。コケの緑色が良く撮れている。光の間を水が筋状に流れるようにシャッタースピードを調節しており、バランスも良い。見ているだけで爽やかさが伝わってくる。

ニコン賞

作品画像
魔女の贈り物

金原 聡美 撮影地:福島市

審査員コメント

沼の一部を切り取り、大変に迫力がある作品になっている。こんなブルーな色は見たことがない。気象条件、太陽の角度によって異なるだろうが、日本なのかと思えるほどに珍しい光景といえる。

東北の暮らし

特選・河北賞

作品画像
夫婦船-海の幸を求めて-

先﨑 康人 撮影地:石巻市

審査員コメント

冬の朝、石巻市でアワビ漁をする夫婦。夫が箱めがねで海をのぞき、妻が櫓(ろ)をこぐ。海鳥の群れが2人を見守るように、小舟に舞い降りるように近寄る瞬間を捉えた。物語性が感じられる。空を大きく切り取った構図が秀逸で、朝焼けと海の色の対比も良い。

準特選

作品画像
田植えのころ

伊勢 勝太郎 撮影地:宮城・川崎町

審査員コメント

田んぼで代かきするトラクターとそばで見守るサギを切り取った面白い作品。野鳥と人間が隣人のようで、東北の田園風景の良さを伝える。かすんだ空から近景になるにつれ、山々、田んぼ、トラクターの赤、サギの白と色合いがクリアになるのもきれいだ。

秋田県知事賞

作品画像
ハゼ焼き

竹内 邦昭 撮影地:石巻市

審査員コメント

石巻市長面の伝統の焼きハゼ作り。高い位置から、吊したハゼを大きく写し込んだユニークな構図が一番のポイント。暗がりの中、炎が手前のハゼを照らすのも幻想的。香ばしさが伝わってくるようだ。

山形県知事賞

作品画像
収穫

角山 芳晴 撮影地:山形・朝日町

審査員コメント

3世代の家族だろうか。稲刈りをする祖父と父、そばで遊ぶ子どもたち。人物が対角線の位置に配置され、面白い。作品上部は田んぼで直線的なのに対し、下部はあぜ道が曲線的なのも対比が効いている。

福島県知事賞

作品画像
霧幻峡の渡し

本郷 彦左エ門 撮影地:福島・金山町

審査員コメント

川面に深い霧がかかり、舟の形もぼんやりしているが、船頭の姿だけはくっきり。とにかく美しい写真だ。福島・只見川の観光渡し船を写したが、かつて東北にあった生業(なりわい)を幻想的に追体験できる。

キヤノン賞

作品画像
養蚕農家の生業

小檜山 裕行 撮影地:宮城・丸森町

審査員コメント

養蚕が宮城県内で続いていると気付かせてくれる、ある意味、報道写真だ。この後、どんな作業をするのだろう。若い人が跡を継ぎ、窓からは陽光が入っている。生業(なりわい)が存続するという希望を感じさせる。

東北の鉄道

特選・河北賞

作品画像
五月晴れ

鈴木 彦三 撮影地:福島市

審査員コメント

田植えが真っ最中というのどかな風景の中を新幹線が走る。その姿が水田に映り込んでいる構図が素晴らしい。田植え機の位置、扇状に広がるように見える苗もバランスがよい。シャッターチャンスを逃すまいと、やきもきしながら撮影したのではないか。

準特選

作品画像
初冬の歓迎風景

亀 修一  撮影地:喜多方市

審査員コメント

鉄道好きにとってSLを撮影する有名なポイントであるため、逆に作品化は難しいと言える。この1枚は両サイドに柿が残り、大雪の中を走るSLの姿がとても良い。風向きに左右されるSLの黒煙や雪煙も、流れ方のバランスが取れている。

東北電力賞

作品画像
旅立ち

嶋原 文雄 撮影地:仙台市青葉区

審査員コメント

見慣れているはずの新幹線が、ホームの屋根の下で雨にぬれた状態で暗く光っている。そのせいか、メタル系の異質な物体に見えてくる。新幹線だと言われなければ、何だか分からない不思議さがある。

震災からの復興

JAL賞

作品画像
夢をのせて

芳賀 和代 撮影地:仙台市若林区

審査員コメント

仙台・荒浜の追悼イベント。震災遺構になった旧荒浜小の内側から狙った構図が良い。津波で破壊された校舎と、空に風船を飛ばす人々。震災からの復興を描いた7年目の思いがダイレクトに伝わる。

東北放送賞

作品画像
未来へと続く鉄路-気仙沼線

及川 俊弘 撮影地:登米市

審査員コメント

向こう側から近づく列車を正面から捉えた。写真としての質が高い。こちら側は未来を象徴し、復興が進む様子を表す。舞う雪は震災直後の雪を連想させ、トンネルは山あり谷ありの復興を連想させる。