第67回

第67回 河北書道展(2020)

総評・部門講評

 墨象や少字などの部門で常連ではなかった若い人が出てきた一方で、委嘱作家を目指す会友の一部で低迷が見られた。ただ、今年は新型コロナウイルスの影響があった。1点の作品だけを見て、レベルが上がった、下がったと論評するのは無理がある感じがする。

 コロナがなければ、出品減も、一部の作品の低迷もなかったと思う。公共施設などが使えなかったため、漢字などでは練習不足が響いたようだ。先が見えない不安感が作品の熟成を阻んだことは間違いない。そんな状況を考えれば、よく健闘したといえる。応募点数は133点減ったが、書道展を目指し、懸命に頑張って出品した書家たちが顧問や審査員らも含め900人以上いたことは貴重なことだと思う。

 困難を乗り越え、書道展を開催した意義は大きい。来年は東日本大震災から10年の節目を迎える。今年の書道展が来年へのステップになったことは、大収穫といえる。書をやめようか迷っている人がいるかもしれないが、継続が大事。来年はぜひ挑戦してほしい。

審査委員長 加納鳴鳳

第1部 漢字

 開催の日程が変更になるなど、書道展に向け、意識を高く保つのが難しい中、作品の練度が分かれた感は否めない。入賞した作品は完成度が高く、古典を基によく表現されている。一方、書き込み不足の作品もあった。今後の精進を期待する。(渋谷青龍)

第2部かな

 出品者は少なくなってきたが、長い間出品してくれている人の作品が良かった。高齢者が頑張る姿は素晴らしく、心を打たれる作品が多かった。基礎を勉強して楽しさが分かってくると伝統書も続く。若い人もかな文字に親しんでくれることを願う。(森草苑)

第3部 墨象

 コロナ禍で、それぞれの思いが作品ににじみ出ていた。紙の中で墨が舞い踊るような造形や濃墨で重量感と迫力に満ちた作、スピード感あふれる線が目立ち、見応えがあった。構成で類似した作品もあったが、新しい傾向も見られ、今後が楽しみだ。(太田蓮紅)

第4部 近代詩文

 大変な時に熱意ある作品を出品したことに深く感謝したい。出品作はレベルの高い作品が多く、審査員を悩ませた。構成は多様で墨色が美しく、詩情豊かな書に心を揺さぶられた。今後の課題としては、可読性に注意し、制作することを望みたい。(建部恭子)

第5部 少字

 コロナが流行する中、書道展が開催されたことに感謝したい。例年並みの勢いが感じられうれしかった。若い年代の作品が斬新な表現を試みていて目を引いた。線の勢い、墨色の美しさ、余白の効果などから書いた人の人間性まで見えてきて面白い。(高橋如水)

第6部 篆刻・刻字

 篆刻と刻字の割合が篆刻6、刻字4。他部門と異なり、墨色の黒ではなく、篆刻は朱色、刻字は彩色を施す。会友秀逸賞は西周金文を駆使し、大胆に2文字「楽寿」に金箔を施した。河北賞は4文字で白文、印面全体にしっかりと文字を収めている。(後藤大峰)

第7部 一行書

 コロナで世の中が苦しんでいる時に、多数の出品があったことは素晴らしい。ただ、会友は年齢が高くなり、出品者は減った。一般の部での若手の躍進を期待する。一方で練習不足の作品もあった。来年は良い作品ができる環境になることを望む。(阿部翠麗)