河北書道展

総評・部門講評/第70回(2023年)

審査風景
審査の様子

総評

各部門に特徴のある作品が多かった。20代の入賞や高校生の出品と、若手の参加が目立ち、将来につながる明るい材料があった。全国的に書道展の出品がなかなか増えない中、第70回記念展の出品数がわずかでも増えたことはうれしい。
河北書道展が第1回から墨象を取り入れるなど、宮城は元々新しい現代書が盛んだが、伝統書のレベルも高くなった。漢字は、隷書の作品などが古典回帰を感じさせた。かなは流れが一貫した作品が多く、墨象は淡墨からオーソドックスな濃墨に戻った。篆刻・刻字も原点に戻った印象だ。一行書も篆書や金文など古い字体に取り組んでいた。
まとめるのが上手なベテランに対し、若い人は冒険心があり、新鮮な作品が見られた。10年後に向けて次の人材を育てる努力をしたい。70回の節目に改めて、一般の人に書の面白さと魅力を伝えたい。

審査委員長 後藤大峰


第1部 漢字

出品数が伸び、古典に基づいた作品が多く充実していた。入賞作は3~5行の縦作品、多文字の横作品と多様で、技術的に錬磨を重ねた見応えある作品が並んだ。高校生の出品も多数あった。若い人が書に興味を持ち、継続することを願う。

渋谷青龍

第2部かな

20~40代の若手による新規出品が多く、作品がバラエティーに富んでいた。昨年まで力強い作品が多かったが、今年は筆の運びの流麗な作品が目立った。全体としてバランスの良い仕上がりだった。今後もさらに新メンバーの参加を期待したい。

森 草苑

第3部 墨象

新型コロナウイルス感染拡大で閉塞していた気分を一掃する力強い線で、前へ進もうとする意気を感じさせる作品が多かった。制作者の思いと、墨象だからこそ表現できる墨のバリエーションや筆の妙を見た。若い人による新鮮な風に期待している。

太田蓮紅

第4部 近代詩文

淡墨の美しさと濃墨の力強い線が詩文の魅力を引き出し、心を揺さぶられる作品群だった。昨年から若い人の出品が増えた。若者らしく明るく楽しく表現されており、成長に期待する。白を生かし、これまでにない構成や表現を探究してほしい。

千葉紅雪

第5部 少字

漢字の意を真摯に受け止めた作品群に圧倒された。淡墨作は墨色、にじみ、余白の美しい作品が多かった。一瞬の動きで表現された文字は絵のようで、心を映す醍醐味がある。今後も古典を踏まえて筆勢、躍動感のある創作に取り組んでほしい。

二野瓶雅人

第6部 篆刻・刻字

篆刻・刻字ともに作家それぞれの意気込みが表れ、研さんの成果が発揮された優秀な作品が多かった。会友の部の河北会友賞は刀痕が効果的に配置され、新鮮な印象の表現が面白かった。一般の部の河北賞は小篆の伸びやかな線が目を引いた。

中塚 仁

第7部 一行書

新しい時代に入り、生命の喜びを表現したような生き生きとした線の作品が多く、勇気をもらった。現代性と表現の自由を十分に生かした作品が多く見られ、うれしい限りだ。会友の作品の充実感が不足気味だったことが課題と言える。

鈴木智翠