コラム:ジェンダー、洋の東西

 男と女に関する西洋の根本思想は次の聖書の記述にあるようです。

 God said, " It is not good that the man should be alone; I will make him a helper suitable for him. "
 また主なる神は言われた、「人がひとりでいるのは良くない。彼のために、ふさわしい助け手を造ろう」(第2章18節)

 「助け手」は helper と英訳されていますが、ヘブライ語の原典では「面と向かって存在する者」「支え合う者」と牧師さんから教わりました。

 以前にこのコラムで記したように、英語で「男性」は man 、「女性」は woman と言いますが、 woman は wo+man と分解できます。この wo- はどのような意味か、以前から不思議に思っていました。オックスフォード英語辞典によると wo- の語源は wife 「妻」と記されています。つまり man のパートナーということ。

 ただ、一つ気になるのは、英語で man は「男性」の他に「人」を表すことです。「マンパワー」という言葉を最近よく聞きます。「労働力」ということですが「ウーマンパワー」とは言わないですね。「ウーマン・リブ」( Women's Liberation )の原点はここにあるように思いますが。

 「男尊女卑」は我が国の独自のありようかと思っていました。調べてみると中国の律令制にあったようです。近世にはそれが定着し、明治政府は家父長制的な「家」制度を通して国民を統治しようとしました。したがって日本社会の隅々まで深く浸透したのです。

 平等・博愛を掲げる西洋にもあるというのは驚きでした。性差別に見られる人間の「業」は果てしないですね。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)