コラム: 英語の諺(2)

 前々回に続き、英語の諺(ことわざ)を紹介します。

 " Better late than never. "
  遅くてもやらないよりはまし。

 どれだけ時間がかかっても、あるいはどれだけ始めるのが遅かったとしても全くやらないよりは良いだろうという意味です。私たちは「遅れること」に対していい知れぬ嫌悪感を抱きがちですが、ことに引きずられて本来の目的を見失ってはならないと思います。目標のためなら、いくら遅くなっても構わないくらいの気持ちでいることが肝要ではないかと、この諺が教えているように思えます。

 " Too many cooks spoil the broth. "
  船頭多くして船山に登る。

 直訳では「料理人が多すぎるとスープの味がだめになる」で、意見を言う人が多いと上手くいかない、ボスは2人いらないといった戒めの一句です。

 " All is well that ends well. "
  終わりよければすべてよし。

 シェークスピアの戯曲のタイトルにもなっている有名な諺です。途中で困難があっても、結果が良ければよしとしようという前向な言葉。結果が出た後だけでなく、何か物事に取り組んでいる最中にも使えます。その場合、「結果が良ければOKなのだから、今は大変だけど頑張ろう」と仲間を励ますフレーズとして使います。

 " proverb "

 「プロバーブ」は「諺」や「格言」を意味する英単語です。ラテン語の「 pro (前)」と「 vebrum (言葉)」を組み合わせた「前に言われた言葉」を意味します。口伝えで受け継がれてきた知恵や言葉に由来することを示しています。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)


「石巻かほく」あす発行

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 あす15日(月)は振り替え発行し、16日(火)は休刊とします。

三陸河北新報社


短歌(9/14掲載)

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【斉藤 梢 選】


パックとて麦茶香りて祖父祖母のおもざしとやかん琥珀に透ける   石巻市開北/ゆき

【評】夏の歌。昭和の時代、各家庭での麦茶作りは夏の厨仕事の一つだった。種類の豊富な冷たい飲み物が買える現代ではあるが、昔はやかんで煮出して麦茶を作っていた。<麦茶パック>で作る時にもあの独特の香りがして、作者は杳(とお)い夏の日を思い出す。「祖父祖母のおもざしとやかん」が心の印画紙に映し出されるかのように見える。この一首は感覚的に捉えた結句が独特。「思い出しおり」とか「われの記憶に」の表現にせずに「琥珀に透ける」としたところが優れている。


食事すみ親子で薬のむなんて今更に子の齢を知りぬ   石巻市羽黒町/松村千枝子

【評】長い年月を生きてきたと思う作者が、わが子もまた歳を重ねて今に至るのだと気づく。食後にそれぞれの薬を飲みながら、あらためて知る「子の齢」。日常生活の中での気持ちの揺れの「親子で薬のむなんて」。この二句、三句の口語調の実感をともなう表現がいい。文語調のみで構成されている一首と、口語調をあえて加える一首とでは、印象が違うと思う。


今日もまた自分に向き合い短歌詠む本音吐露して心洗わる   石巻市あゆみ野/日野信吾

【評】かつて、与謝野晶子は「まことの心をうたはぬ歌に、何のねうちか候べき」と記した。声に出して言うことのない本音をも、短歌という定型の器は受けとめてくれる。「自分に向き合い」という姿勢をつらぬいているからこその「心洗わる」だろう。


引き揚げの地獄知ってる我なれば終戦の記事読まずにとばす   東松島市赤井/佐々木スヅ子

【評】戦後80年のこの8月。<戦争の真実>を語り継がなければという記事が多かった。下の句で、作者は本心をあえて言う。それほどの「地獄」だったのだ。


古古米に力もらって古古の種少し多めに畑に下ろす   石巻市桃生町/佐藤俊幸

「なかよし」の題名で描くぬいぐるみ娘(こ)らのぬくもり染みつきし色   石巻市湊東/三條順子

予科練に兄を送りしあの日思い黙禱ささぐる追悼式に   石巻市南中里/中山くに子

朝顔の蔓は枝と枝結びおり庭木に架かる虫達の道   東松島市赤井/茄子川保弘

あの時のB29の空襲で田圃に大きい爆弾の穴   東松島市矢本/奥田和衛

生きものの生きる運命を想いいる昭和の戦争(いくさ)かえりみながら   石巻市駅前北通り/津田調作

日が落ちて暗くなりゆく空みつめただありがとうを一言だけど   東松島市矢本/畑中勝治

葦原の一面の生の輝きよ風にざわめき風を惑わす   東松島市矢本/田舎里美

来たる盆戸惑いいるか母の霊 震災知らず移転地知らず   東松島市矢本/門馬善道

彫刻の朝顔管に花が咲くわがサクソホンに息吹きこめば   東松島市赤井/志田正次

あじさいの剪定息子にしてもらい来年またねと葉っぱを撫でる   石巻市西山町/藤田笑子

一歳児餅を背負いて二、三歩を二十年後は老人背負うか   石巻市蛇田/菅野勇

八十路坂戦後の苦難乗り越えて平成令和生きる喜び   石巻市不動町/新沼勝夫

たちあおい遠い夏の日よみがえるひまわりと同じ見上げし花なり   石巻市大街道南/後藤美津子


川柳(9/14掲載)

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【水戸 一志 選】


猶予中野放し再犯救われず   石巻市大街道東/岩出幹夫

【評】神戸市のマンションで、仕事帰りの女性が尾行され殺害された事件。逮捕された男は、過去に犯した類似事件で刑の執行猶予中だった。何故、防げなかったのか。塀の外での更生や再犯防止活動に地道に取り組んでいる関係者のショックも大きい。


古里は海と鯨と金華山   郡山市下亀田/本間勝子

旅に来て朝のルーティン置き去りに   東松島市大曲/定川太郎

値上がりに負けじポイント貯めまくる   石巻市須江/遠藤由美子

スズムシが秋知らせるもかすり声   東松島市矢本/畑山講也

石破さん早くほしいな2万円   石巻市山下町/ヒロシ

戦禍から希望の星の安青錦   石巻市蛇田/菅野勇

モディ首相関税法に肘鉄砲   石巻市二子/小松道男


俳句(9/7掲載)

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【石母田 星人 選】


夕立に勇気授かる野辺の草   多賀城市八幡/佐藤久嘉

【評】庭先の草花は涼しい夕刻に水をもらえるが、野辺の草花は雨を待つしかない。水は命の生命線だ。頃合いよく夕立。暑さでしおれていた草花は、背筋を伸ばし洗いたてのように立ち上がる。その姿を「勇気授かる」と表した。当然、作者も勇気をもらった。


炎天下捨て値の花の底ぢから   石巻市開北/ゆき

【評】昨年、捨て値で買って育てた花がこの猛暑に立派な花を咲かせた。歯切れのいいリズムに好感。


濃墨を筆たっぷりと鑑真忌   石巻市丸井戸/水上孝子

【評】「濃墨を筆たっぷりと」には波の音が潜む。鑑真が危険な航海で聞き続けたであろう波の音だ。


苔清水崖の仏の目の優し   石巻市渡波町/小林照子

八月や六日の鶴を折りにけり   石巻市桃生町/西條弘子

地の果ての「静かに餓死」よ天高し   石巻市流留/大槻洋子

嬰児にながきひと世や天瓜粉   石巻市蛇田/石の森市朗

今日の秋風が息する二度三度   石巻市流留/和泉すみ子

遠雷やいっせいに穂の静まりて   東松島市矢本/田舎里美

職にする畑は広いぞ蓼の花   石巻市桃生町/佐藤俊幸

父に勝ち譲る息子や鯊の秋   石巻市新館/高橋豊

朝霧のしずくしている鴎の嘴   石巻市中里/佐藤いさを

山の風湖水の上を走り来る   石巻市小船越/芳賀正利

雲晴れて水天一碧夏木立   石巻市元倉/小山英智

島畑にオリーブ繁る旱星   石巻市中里/川下光子

大方は雲にかくれて秋の虹   石巻市広渕/鹿野勝幸

青時雨奏でる森や風そよぐ   石巻市湊/斎田流雲

星涼し青き糸引く夜航海   石巻市門脇/佐々木一夫

合歓の花寺の水面は花踊り   石巻市のぞみ野/阿部佐代子

炎昼や野積みのままの貸倉庫   松島町磯崎/佐々木清司

夏の雲洗いざらしのジーンズや   東松島市赤井/志田正次

一人居の慰めなるや遠花火   石巻市蛇田/櫻井節子

氷塊に包まれ来たる初秋刀魚   石巻市駅前北通り/津田調作

朝靄の遠くにかすむ金華山   女川町旭が丘/阿部重夫

復興地区ようやく涼し盆おどり   石巻市二子/小松道男


川柳(9/7掲載)

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【水戸 一志 選】


何となく会話をしたい石破様   石巻市蛇田/鈴木醉蝶

【評】覚悟を決めたような、そうでもないような。テレビに写る石破総理の仏頂面を見ていると、気の毒で「元気出せよ」と一声掛けたくなる。作者を含め、優しく騙されやすい人は世に多い。世論調査の追い風も似ている。どれも「なんとなく」なのだ。


妻誕生日はがき贈って背中押す   東松島市矢本/菅原信之

初サンマ感想よりも食べつくす   石巻市蛇田/佐藤久子

小分けして取っておきたいこの暑さ   東松島市大塚/石垣久子

「水をくれ」畑の野菜死ぬ間際   石巻市新栄/堀内ひろ子

高校の選手の名前ああ読める   東松島市矢本/奥田和衛

天国へ行こうよプーちゃんトラさんと   石巻市蛇田/喜寿郎

もう一度元祖チラ見せリクエスト   石巻市向陽町/大渡清


コラム: ソフトクリーム

 ふとしたことから見たテレビで、ジョン・レノン( John Lennon )一家の夏休みのことをやっていました。軽井沢の万平ホテルに滞在し、時折街に出てはソフトクリームを買ったとのこと。息子のジュリアン( Julian )と母のオノ・ヨーコはキリマンジャロ・コーヒー味のソフトを、ジョンは普通のソフトを食べたようです。

 このソフトクリーム...私たちにはおなじみですが、調べてみると、どうも英語ではないようです。

 英語では " soft serve ice cream " およびこれを略して " soft serve " または " soft ice " などの名称で、「ソフトクリーム」は和製英語です。

 日本では第2次世界大戦後の1951(昭和26)年、米占領軍が明治神宮外苑でアメリカ独立記念日を祝ってカーニバルを開催。メーカーがコーンスタイルのソフトクリームの模擬店を開いて販売したのが始まりとされています。

 ジョン・レノンに代表されるビートルズ( The Beatles )は、まさに僕たちの青春でした。大学時代、ふとしたことから英語劇のサークルに属したのですが劇の上演が終わると、その「打ち上げ」に大学の安食堂で「コンパ」をするのが常でした。その時、安いラジカセから流れていたのがビートルズの曲。一人一人、食堂の中央に立って何かしらの芸を披露するのですが、上京して間もない僕は「エンやドット」と「大漁唄い込み」をやったのを覚えています。今からおよそ半世紀も前のことですが、今でも「エンやドットのオオツ」として仲間たちの間で知られています。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)


短歌(8/31掲載)

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【斉藤 梢 選】


ひび割れたアスファルトから草伸びて生きる強さにエールを送る   石巻市桃生町/佐藤俊幸

【評】猛暑というよりは酷暑の日々。畑の作物の育ち方にも影響するこの暑さに、宮沢賢治であれば「ナミダヲナガシ」ているだろうか。作者は、アスファルトのひび割れたところから伸びている草に心を寄せて「生きる強さ」を感じている。人は、木や草や花を見て、その姿に励まされることがある。自分自身が元気になることを詠む歌や、その植物から受ける印象のみを表現する歌が多いけれど、作者は草に「エールを送る」のだ。この気持ちは、農を営み土を慈しむ作者ならでは。「生きる強さにエール送る夏」とする方法も。


天空に蓋あるような蒸し暑さ盆地にくらす子の日々を思う   石巻市流留/大槻洋子

【評】盆地で暮らす子のことを案じている作者。この日の蒸し暑さを「天空に蓋あるような」という感覚的な言葉で表している。きっと、子はもっと暑い日々を過ごしているのだろうと思うのは、母心。「天空の蓋」は、気候変動をも思わせて、人の力ではどうにもできないことをも示しているよう。「子のこと思う」ではない「子の日々を思う」に、思いの深さを知る。


夕空がまだ明るいのに三日月が体細めて中空にそっと   東松島市矢本/畑中勝治

【評】この一首を読んで、感じることの大切さを思う。「体細めて」「そっと」在る三日月。夜の月ではなく夕の月を見ての感受が優れている。雑念のない心の目で見ているからこそ生まれた表現を、味わいたい。


立秋を合図に始まる大合唱 季節を守る鈴虫の声   東松島市赤井/佐々木スヅ子

【評】立秋を過ぎても、まだまだ暑い日が続く。けれども虫たちは「季節を守る」。鈴虫の声を聞き、心には涼やかな風が。季節感をずっと育んできた作者。


干涸びて葉を巻き縮む岩ヒバや日照りの夏も生きるバネとす   石巻市門脇/佐々木一夫

街の顔港の姿変われども川面彩る花火変わらず   東松島市赤井/茄子川保弘

待ち侘びし蟬の初鳴き八月五日逝きし妹の米寿の日なり   石巻市中央/千葉とみ子

生き居るに何を想いて飯を食う歳の重みにたえつつ今日も   石巻市駅前北通り/津田調作

ゆううつな些細なことにはおさらばし今宵のパジャマは娘(こ)と色違い   石巻市湊東/三條順子

両親が若き日住みにし小石川テレビに映れば温もり覚ゆ   石巻市蛇田/菅野勇

トキヤ草網代編みしたパナマ帽インカの歴史今も息づく   東松島市赤井/志田正次

鬼百合に黒蝶舞って優雅なり猛暑に耐えるひとときくれる   石巻市不動町/新沼勝夫

暑ければ歩みをゆっくり朝夕にかすかな秋の匂い探して   東松島市矢本/川崎淑子

早朝の窓にミンミン聞こえ来る今日の晴天告げるがごとく   石巻市南中里/中山くに子

山百合の咲き乱れたる奥松島船で巡りし友を偲べり   石巻市渡波町/小林照子

大空に描くハートの巧みなり気分スッキリブルーインパルス   東松島市矢本/奥田和衛

八十一の仲間集いてアダナ呼び向日葵のごとく丸く達者で   石巻市水押/小山信吾

日曜日クロスワードと数独を楽しみながら悩トレタイム   石巻市大街道南/後藤美津子


川柳(8/31掲載)

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【水戸 一志 選】


初サンマ高値も今日は誕生日   石巻市垂水町/かとれあ

【評】サンマの不漁が続き、今季の予測も芳しくなかったが、なんと、シーズン早々に優等生サイズでやってきた。魚市場の笑顔と店頭の買い物客の反応がテレビニュースにも流れた。値段は日替わりでも、豊漁はうれしい限り。作者のお祝い気分に乗る。


振り向いて礼をする子の休み明け   石巻市流留/大槻洋子

孫とハグ ガールズからは断られ   東松島市赤井/志田正次

何だっけ自分に聞いて探し物   石巻市東中里/後藤佳代子

もらい泣き高校野球身に染みて   東松島市大塩/小野よし

辞めなそう田久保市長の薄笑い   石巻市流留/和泉すみ子

つい購入「社長安い」のきめ台詞   石巻市広渕/きよし

秋恋し夏のおまけはもういらぬ   石巻市西山町/藤田笑子


俳句(8/24掲載)

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【石母田 星人 選】


緑陰に入りてつくづく命抱く   石巻市駅前北通り/小野正雄

【評】あえぎながら緑陰に逃げ込む。「つくづく命抱く」には安堵とともに、命からがらのイメージさえある。今夏の尋常でない暑さをうまく捉えている。


ジャズを聴き青き日想う夕端居   石巻市新館/高橋豊

【評】お気に入りの曲をかけ、風の通る所に一服の涼を求めた。夕端居とジャズの取り合わせが新鮮。


涼しきは蠍座射手座山の国   石巻市桃生町/西條弘子

【評】厳しい暑さが収まらない。こんな異常気象は地球だけで星座の運行には影響がない。南天に見えていたさそり座の赤星が山の端に消え、天の川を挟み、いて(射手)座が昇ってきた。星々はすっかり秋だ。


終戦日みえて届かぬ海の底   石巻市流留/大槻洋子

北からの津波の上を雲の峰   石巻市小船越/芳賀正利

揺れもせず遠地津波のおそふ夏   石巻市広渕/鹿野勝幸

艪も櫂もまとめてありぬ盆休み   石巻市中里/佐藤いさを

にんげんに輪廻転生月涼し   石巻市蛇田/石の森市朗

灯を待てり蛍袋のまろき部屋   石巻市丸井戸/水上孝子

「八の字よ」と娘につき茅の輪三世代   石巻市開北/ゆき

立葵曲がりくねった子等の道   松島町磯崎/佐々木清司

夕蛍導く如し八十路坂   石巻市門脇/佐々木一夫

音声に従ふ不安溽暑かな   石巻市中里/川下光子

ATMが係員呼ぶ酷暑かな   石巻市小船越/堀込光子

枝先の空蝉見つめ澄ます耳   石巻市湊/斎田流雲

夏山やさらさら雨に緑溶け   石巻市流留/和泉すみ子

ひまわりや陽へまっすぐに熱視線   東松島市矢本/田舎里美

夕涼や正座の猫は舟を待つ   石巻市元倉/小山英智

水羊羹さっきのうさをもう忘れ   石巻市渡波町/小林照子

人熱れ一時しのぎや夏氷   東松島市赤井/志田正次

日照り草眠れぬ夜の夢遠く   石巻市桃生町/佐藤俊幸

絢爛と侘しさ残し花火終え   石巻市蛇田/櫻井節子

夏草や推しのCDつひに買ふ   東松島市矢本/菅原京子

掃除終へ空へ極暑の深呼吸   東松島市あおい/大江和子

水打てばはね返りくる生臭さ   石巻市向陽町/成田恵津美