短歌(11/9掲載)

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【斉藤 梢 選】


秋天に光を曳きて銀やんま羽根たをやかな秋のカンバス   石巻市開北/ゆき

【評】「秋天」は秋の季語。晴れわたった澄んだ空をゆく「銀やんま」の姿を、丁寧に描写している「光を曳きて」。短歌は何を詠むかを定めることが大切だけれど、どのように表現したらいいかを熟考することで独自な作品になる。今年の秋は短いだろうから<秋>を詠み残すには心が動いたら即、心のシャッターをきるといいと思う。この作品は、「銀やんま」が銀の光の線を曳いている空を「カンバス」に見立てているところが良い。「羽根」を「翅」とする方法も。日本の秋ならではの美しい光景を味わいたい。


我が庭の小粒で香しい花じゅうたん踏むにも踏めぬ金木犀の   東松島市矢本/奥田和衛

【評】「金木犀」の甘い香りは人を立ち止まらせる。<やさしい金木犀の香り>のハンドソープが新発売になるくらいだから、この香りは多くの人に愛されているのだろう。作者は、小さな花が散って「じゅうたん」のようだと詠み「踏むにも踏めぬ」という花を慈しむ心の裡を述べている。結句に至って「金木犀」の花だとわかる言葉の置き方が優れている。


「米送れ私は元気」の末っ子も今は堂々三児の母ちゃん   石巻市湊東/三條順子

【評】「末っ子」の成長を限られた三十一文字の中で表現していて、応援している作者の気持ちも伝わる。「三児の母ちゃん」という言葉を選んだことで、逞しく懸命に生きている子の姿を詠み残せたと思う。


萩咲いて風にコスモス遊ぶ秋ビニールプールをたたむ園児ら   東松島市矢本/門馬善通

【評】コスモスが風に揺れるとせずに「遊ぶ」として秋を告げる。下の句の具体により、園児らの姿が想像でき、一つの季節を見送ることへの寂寥感も漂う。


終戦後食糧不足のひもじさにやみ米背負いし糟糠(そうこう)の妻   女川町旭が丘/阿部重夫

アルペジオ水面(みなも)に映る月光の静と動とのコントラストや   東松島市赤井/志田正次

我が空は障子を開けただけの空狭いながらも地球の果てまで   東松島市矢本/畑中勝治

一樹より礫(つぶて)のように落下してくるや雀の再びを飛ぶ   東松島市矢本/田舎里美

人住まぬ家の軒端にひっそりと置き捨てられし牛乳の箱   石巻市あゆみ野/日野信吾

波風は思いもよらずうねり出し転覆しそうだ心の船が   東松島市矢本/菅原京子

少しずつかがやきを増す立侍の月と歩けば無心となりぬ   石巻市流留/大槻洋子

山の辺の息(こ)の家に進む秋を知る虫の音はげし十六夜の夕   石巻市南中里/中山くに子

幸せな人生だったね妹よ安堵の涙で静かに葬(おく)る   東松島市赤井/佐々木スヅ子

あと五年百歳までの年月をペンを頼りに短歌(うた)を詠みゆく   石巻市駅前北通り/津田調作

逃げ場在り余裕の持てるいい塩梅息はゆるりと健康マージャン   石巻市桃生町/佐藤俊幸

北上川の流れはつねと変わらねど心は寒し秋の夕暮   石巻市三ツ股/浮津文好

山や野の道ばたに咲く小(ち)さき花見て歩きたや若き頃のように   石巻市中里/のの花

久しぶりにサンマの豊漁賑わいて行列に並ぶ大漁祭り   石巻市門脇/佐々木一夫


川柳(11/9掲載)

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【水戸 一志 選】


新組閣秋刀魚の小骨ひっかかる   東松島市赤井/小池とも子

【評】高市首相の初陣は外交から。幸いなことに内閣支持率は跳ね上がった。問題はこれから本格化する国会論戦だ。派閥の影や裏金隠しをつつかれるだろう。首相の喉にひっかかった小骨とはいかにも川柳。ちなみに、御飯と一緒にごっくんは危険だという。


クマ騒動木彫の熊も怖くなり   石巻市向陽町/佐藤功

Z世代離れた郷に熊が来た   石巻市美園/ひらやん

初冬なり烏賊捕れすぎてギブアップ   石巻市二子/小松道男

上皇后様右手をいつもつながれる   石巻市蛇田/大山美耶紀

金華鯖しめて今夜の酒のあて   石巻市水押/阿部磨

墨がとぶ清水寺で「米」を読む   東松島市赤井/片岡シュウジー

就任の祝い一発ミサイルで   石巻市開北/安住和利


俳句(11/2掲載)

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【石母田 星人 選】


山粧ふ谷にこぼるる女声   石巻市桃生町/西條弘子

【評】山頂から見下ろしたのだろう。見事な紅葉が谷間を彩る。女性たちの歓声がキラキラと輝いた。


電線を揺らして並ぶ秋つばめ   石巻市蛇田/石の森市朗

【評】この時季は、カモやガン、コハクチョウなど北方から渡って来る鳥たちがいる一方、南方へ帰って行く鳥もいる。子育てを終えたツバメもそうだ。半年ばかり過ごした石巻の風景を、目に焼き付けているのだろうか。長旅へ挑む前の儀式のようにも見える。


曼珠沙華やんちゃなゴンが見えかくれ   石巻市渡波町/小林照子

【評】実際には犬なのだろうが、新美南吉の童話のキツネが浮かぶ。日常に出現したメルヘンの世界。


片足の遮光器土偶草紅葉   石巻市中里/佐藤いさを

闇の濃き方よりせまる虫の声   石巻市小船越/芳賀正利

海面に満月の影くっきりと   女川町旭が丘/阿部重夫

万葉の和歌の小径に桔梗かな   多賀城市八幡/佐藤久嘉

朗読の八雲怪談蘆の花   石巻市中里/川下光子

読み通す震災詩集冬隣   石巻市流留/大槻洋子

秋の海静まりゆきて十四年   石巻市流留/和泉すみ子

無花果や自分の命包み込み   石巻市桃生町/佐藤俊幸

白鷺や刈田に寡黙個々の貌   東松島市矢本/田舎里美

駅で逢い駅で別れる良夜かな   松島町磯崎/佐々木清司

ででぽぽのこゑの運びし秋の朝   石巻市丸井戸/水上孝子

木犀や姉が筆持つ書道塾   石巻市新館/高橋豊

老木にそっと寄り添う萩の花   石巻市のぞみ野/阿部佐代子

しばらくはとんぼの群れと土手を行く   石巻市向陽町/成田恵津美

病む親の耳目となりて胡桃割る   石巻市元倉/小山英智

酔芙蓉みつめてをれば酔ひにけり   石巻市門脇/佐々木一夫

日帰り湯疲れをほぐし夕苅田   石巻市湊/斎田流雲

残菊や古稀祝いたる同期会   東松島市赤井/志田正次

親不知抜く日のほほに秋の風   東松島市矢本/菅原京子

秋盛る大漁祭りのつかみ取り   石巻市駅前北通り/津田調作

町煙る炭火秋刀魚に人集う   石巻市水押/阿部磨

十月や二尺の鰻釣れにけり   石巻市三ツ股/浮津文好


川柳(11/2掲載)

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【水戸 一志 選】


背高泡立草(あわだちそう)ちゃっかり鉢をわが家にし   東松島市矢本/田舎里美

【評】生命力旺盛な帰化植物のセイタカアワダチソウが野原を占拠している。自宅の植木鉢もまんまと狙われた。黄色の花を切りたくもあり、切りたくもなし。上五の字余りを作者はルビで読ませて、音数を減らした。川柳でこの手はありだが、乱用は禁物。


ブルー機を見上げ一日励まされ   石巻市真野/麻糸

紅葉とグルメ温泉プラス熊   東松島市小松/浅野まき子

独り居の心の隙に詐欺電話   石巻市向陽町/すみれ

米離れ価格暴落夢に見る   石巻市大街道東/岩出幹夫

ひねもすの何か足りない休刊日   石巻市井内/酔雀

新米で格別映える栗ご飯   石巻市西山町/藤田笑子

手を休めキンモクセイに深呼吸   東松島市赤井/くどうさきこ


コラム: 英語の諺(3)

    You can lead a horse to water, but you can't make him drink.
    「馬を水場まで連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」

 私は石巻市の「住吉」で生まれ育ちました。当時は車も少なく、住吉山から住吉小学校の「住吉通り」は格好の遊び場でした。北上川も近く、川開きの花火も真近に見られたのですが、今でもよく覚えているのは、馬を川の中まで連れて行って水浴びをさせたことです。借家住まいでしたが「住吉通り」から北上川まで通して望むことができました。車よりは馬が通りをポッカポッカ歩いていたのを覚えています。馬といえばこの光景を思い出すのです。

    Fortune favors the bold.
    「幸運は勇敢な者を好む。勇気を持って行動する人のほうが幸運が巡ってくる」

 「 bold 」には「勇敢」、「大胆」、「果敢」といった意味があります。

    There is no place like home.
    「家に勝るところはない」

 英語国民にとって home という言葉ほど大切なものはないと思います。映画「ビルマの竪琴」での兵士たちの合唱に象徴されるように、「 Home Sweet Home 」は感動的な歌です。

    Beauty is in the eye of the beholder.
    「美は見る人の目の中にある。人それぞれ美的感覚が違う」

 学生時代に「 The Eye of the Beholder 」という一幕物の英語劇をやったのを覚えています。

 今回紹介したのは数多い英語の諺(ことわざ)( proverb )のほんの一部です。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)


短歌(10/26掲載)

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【斉藤 梢 選】


異世界にのまれるように逆光の朝の空き地に人影消える   石巻市流留/大槻洋子

【評】作者が見た、ある朝の光景を想像する。「空き地」に居たはずの人が突然消えてしまったように見えたのだろう。一瞬「あらっ」と思ったのでは。「消える」を、どのように表現したらいいかを模索した後に、この一首が成る。「逆光の」として、現況をしっかりと詠んだことで「異世界にのまれるように」という感覚的な捉え方が無理なく伝わる。何を詠むかは自由であり、大切なのは納得のゆく作品にするために言葉を選ぶ労を惜しまないことだと、この作品に出合って思う。


形見にと甥に貰いし義姉の指輪年古りてなお吾が手に宿る   石巻市桃生町/千葉小夜子

【評】亡くなった人の身につけていたものは、その人が生きていたことを思わせてくれる。作者は形見にもらった指輪を今も自分の指にして、亡き人を偲ぶ。長い年月が経ったことをしみじみと感じているからこその「年古りて」だろう。静かだけれど深い亡き人への思いが「吾が手に宿る」にはある。「宿る」の一語にこめた作者の心持ちに、寄り添いたくなる。


小窓から見上げる空は枠の中 心もようが瞳に映る   女川町浦宿浜/阿部光栄

【評】部屋の小窓から空を見る。その空は、大きくもなく広くもなく「小窓」の「枠」におさまっている。窓に映る「瞳」に映っているのは今の自分の「心もよう」。「瞳」は鏡のようでもある。自画像を描くように詠んでいる一首で、独特な雰囲気を纏っている。


夢十夜ふと本棚の漱石に「こんな夢みた」と話しかけたし   石巻市渡波町/小林照子

【評】『夢十夜』は夏目漱石の短編集。「こんな夢を見た」の書きだしが印象的だ。作者はふと懐かしくなって話しかけたくなる。漱石と作者の<ある夜>。


赤とんぼコスモス畑の花の上飛び交ひをればひと色ならず   石巻市あゆみ野/日野信吾

妻と居て日々幸せの歌詠むも三十一音に想いがあまる   石巻市駅前北通り/津田調作

庭木伐る痛みとともに「感謝離」とふ名言湧きて秋の日に立つ   石巻市開北/ゆき

秋彼岸旬の果物供えたし先祖に口説く物価高の世を   東松島市矢本/門馬善道

稲荷寿司妻の手作り口に合う五十余年を添いいる証か   石巻市不動町/新沼勝夫

大切な物はそれぞれ違うのに捨てたらと言う言葉の寂し   石巻市蛇田/櫻井節子

芋虫を二匹つぶした草むしり何やら心ざはめきてをり   石巻市門脇/佐々木一夫

コロコロと鈴の音のごとひびきくる虫の音清し秋の朝明け   石巻市南中里/中山くに子

テレビ観てゾンビ体操してるわれ黄泉より夫はなんと見るらむ   東松島市野蒜ケ丘/菊池はま子

繰り返し腰を伸ばして鍬握る九十三本の皺のわが手で   東松島市矢本/奥田和衛

新米は離れて暮らす孫達へ銘柄値段と楽し気な妻   石巻市蛇田/菅野勇

憂い事ありて世話せぬ朝顔の地を這うを見て心のいたむ   東松島市赤井/佐々木スヅ子

木の柵のなかにて草を食む子馬競争馬にてその脚ほそし   女川町旭が丘/阿部重夫

厚い雲空を覆って動かない太陽出れずにもがいているか   東松島市矢本/畑中勝治


川柳(10/26掲載)

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【水戸 一志 選】


ゆらゆらと複雑政治決着を   東松島市大塩/小野よし

【評】7月の参院選で与党が大敗した後、政界の混迷が長々と続いた。9月に石破首相が退陣表明、その後、与野党全参加の駆け引きが延々と続いた。擬態語を上手に使った「ゆらゆらと複雑」は、時事川柳をやわらかな感性でつくる見本になる。


墓参り熊はいないか手をかざす   石巻市築山/及川政美

自然エネ丹頂の里奪うとは   石巻市須江/原田まちこ

もういいよ印籠返す公明党   石巻市須江/遠藤由美子

熊に羽つけてあげたいエサ不足   石巻市向陽町/大渡清

座右の銘「一つ一つ」でノーベル賞   石巻市蛇田/菅野勇

もう一度帆を掛け進めサンファン号   石巻市鹿又/角張のり子

特殊詐欺記事の金額足してみる   石巻市広渕/きよし


俳句(10/19掲載)

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【石母田 星人 選】


ガザの子に天の涙か流れ星   石巻市元倉/小山英智

【評】流星への願いが届いたのだろうか。ハマスが生存の人質を解放した。ガザの和平へ一歩前進だ。


刈りあとに火照りあづけて稲刈機   石巻市広渕/鹿野勝幸

【評】作業を終えたばかりの刈り田を眺める作者。「火照りあづけて」がうまい。この火照りは、農家の労働の熱気をさす。収穫後の喜びと安堵(あんど)感が伝わる。


騒がしく大河の空を鳥渡る   石巻市小船越/芳賀正利

【評】今年もガンやカモなどの冬鳥がやって来た。何千キロもの長旅をして、無事に目的地の大河・北上にたどり着いた。騒がしく感じられた声だが、鳥たちにとっては、渡りを終えた歓声だったのかもしれない。


銀河濃し長きホームの停止線   松島町磯崎/佐々木清司

銀漢の牡鹿の海へ真珠生む   東松島市あおい/大江和子

秋出水養殖の棚揺るがして   石巻市門脇/佐々木一夫

雷神や実りのちから穂に注ぐ   東松島市矢本/田舎里美

年寄の日に抗うて紅をひく   石巻市丸井戸/水上孝子

八十は洟垂れ小僧鰹釣る   石巻市蛇田/石の森市朗

恋ひとつ棄てた零れた天高し   多賀城市八幡/佐藤久嘉

山粧ふ農夫農婦や日帰り湯   石巻市新館/高橋豊

灯火親し二十五時よりわが宇宙   石巻市開北/ゆき

西日差し読みかけの本古くなる   石巻市駅前北通り/小野正雄

仲秋のジャズこだまする楽都かな   東松島市赤井/志田正次

母のいぬ部屋は広くて鰯雲   東松島市野蒜ケ丘/山崎清美

だんご粉をこねる細指秋彼岸   石巻市中里/佐藤いさを

ふるさとは深き海霧エトランゼ   石巻市流留/大槻洋子

曼珠沙華あふるる丘の古刹かな   石巻市小船越/堀込光子

戯れる子猫の行方曼珠沙華   石巻市中里/川下光子

東屋に囁く新涼里の風   石巻市湊/斎田流雲

チャージして明日は通院照紅葉   石巻市蛇田/櫻井節子

秋の風素足にそより触れてゆき   石巻市流留/和泉すみ子

年老いて夫婦で歩く秋の風   石巻市二子/小松道男

秋立ちて風の匂ひも替はりけり   石巻市向陽町/成田恵津美

丸くなる月に合わせてすすきの穂   石巻市須江/遠藤由美子


川柳(10/19掲載)

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【水戸 一志 選】


連立の和製サッチャーもどかし気   東松島市赤井/片岡シュウジー

【評】決選投票を制した直後の高市早苗新総裁は勇ましかった。和製サッチャーの面目躍如。次は、野党のどこかと手を組んでも、という時に公明党離脱の計算外が起きてしまった。NHK「どうする家康」はひどい低視聴率だったが、こちらは目が離せない。


秋刀魚買い生きた刀にみとれけり   石巻市二子/小松道男

里に下り味を覚えて熊グルメ   石巻市水押/阿部磨

うっかりと散歩できない熊怖い   石巻市鹿又/毛利みゑ

神の子が悲願果たしたバンザーイ   東松島市大曲/後藤悦子

適正な価格が見えぬコメ事情   石巻市水押/佐藤洋子

喜寿迎え喜ばかりではいられない   石巻市伊原津/福原伸行

順調に加齢している処方箋   石巻市あゆみ野/日野信吾


コラム: アントニウスの演説

 映画「クレオパトラ」をみる機会がありました。圧巻は何と言ってもアントニウスの演説です。

 妻のクレオパトラ(正式名称はクレオパトラ7世)は、世界三大美女の一人で世界の歴史上で最も有名な女性。エジプト・プトレマイオス朝の最後のファラオ(王)です。カエサル( Caesar =英語での読み方はシーザー)、アントニウス( Antonius )というローマ帝国の2人の英雄と結婚したことでも知られています。英雄2人を惑わせたのだから魅力的な女性であったことは確かでしょうが、絶世の美女であったかどうかは議論されたまま謎に包まれています...。

 シーザーの演説は世界史の教科書にも載るくらい有名ですが、それが本当かどうかは不明です。

 まず、シーザーを殺した理由をローマ市民に向かってブルータスが演説します。それは群衆の理性に訴えるものでした。群衆は納得します。

 そのあと壇上に立ちアントニウスが語ります。

   Friends, Romans, countrymen, lend me your ears;
   わが友人、ローマ市民、同胞諸君、耳を貸してくれ。

   I come to bury Caesar, not to praise him.
   わたくしはシーザーを葬るために来た、たたえるためではない。

 以下、省略しますが、この演説でアントニウスは人々の心をしっかりと掴むのです。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)