俳句(1/18掲載)

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【石母田 星人 選】


風花とおりるインターチェンジかな   石巻市蛇田/石の森市朗

【評】晴天の高速道路の出口。緑の標識に導かれて減速すると、風に舞う真っ白な雪片が現れた。家族の笑顔が待つ家はもうすぐだ。風花と人工物のインターチェンジの取り合わせは新鮮。また動詞「おりる」が雄弁。動きとともに期待などの感情を詰め込んだ。


障子貼る母の隣に四姉妹   石巻市流留/和泉すみ子

【評】障子を貼る母親を囲む4姉妹。家族の温かい情景だ。一人一人に目を配る母の優しさが見える。


深夜勤の眩しき星や風冴ゆる   石巻市湊/斎田流雲

【評】過酷な深夜労働から解き放たれた作者。街の灯は消え、光害なき空には凍て星がぎらついていた。


輝きや八十路を照らす初日の出   石巻市門脇/佐々木一夫

沖へむかう海鳥一羽クリスマス   石巻市流留/大槻洋子

一枚の海図わくわく初暦   石巻市開北/ゆき

冬ざれや手擦れ艪櫂の髄に滲む   石巻市中里/佐藤いさを

冬晴れのこの道ゆけば大河あり   石巻市小船越/芳賀正利

吹奏楽の子等に喝采冬温し   石巻市桃生町/西條弘子

去年今年弥勒菩薩の半跏思惟   石巻市丸井戸/水上孝子

マフラーの動画のやうに結ぶ恋   石巻市中里/川下光子

福寿草七つの芽吹く日和かな   石巻市二子/小松道男

初売りの大間の鮪血が騒ぐ   女川町旭が丘/阿部重夫

年惜しむ書架に聳える全句集   松島町磯崎/佐々木清司

平和こそ掴み直さん年明けて   石巻市広渕/鹿野勝幸

かやかやと田んぼの白鳥食事中   石巻市小船越/堀込光子

小春日や精米機搗く縁故米   石巻市新館/高橋豊

冬晴れや背筋伸ばして深呼吸   石巻市向陽町/大渡清

忽然と鴨水底へ刻静か   東松島市矢本/田舎里美

連結の軋む貨車行く枯野原   石巻市元倉/小山英智

発芽せぬ大根見ては深呼吸   石巻市桃生町/佐藤俊幸

露天風呂竹垣過ぎる虎落笛   東松島市赤井/志田正次

鵯も忙しく啼くか暮の朝   石巻市のぞみ野/阿部佐代子

冴えざえと空に輝く冬の月   石巻市三ツ股/浮津文好

あいさつに吐く息白し遊歩道   石巻市わかば/千葉広弥


川柳(1/18掲載)

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【水戸 一志 選】


走り出す誰しもみんな走り出す   石巻市開北/安住和利

【評】年始めの投句に駅伝、快走の句がたくさん来た。ニュースでは新成人が抱負を語っていた。そこへ、高市首相の解散総選挙サイン。内容はそれぞれ別ものだが、みんな走り出すと思って眺めると、人の世が何かに追い立てられている気がしてしまう。


区間新ラッシュに沸いた箱根路や   東松島市赤井/志田正次

物価高正月料理ままならぬ   石巻市鹿又/毛利みゑ

初夢に愛犬逢いに来てくれず   東松島市大塚/石垣久子

初夢を見るの忘れて夜が明けた   石巻市向陽町/大渡清

慰霊碑の友の名探す冷えた指   石巻市のぞみ野/阿部佐代子

中国の最終兵器パンダかも   女川町浦宿浜/阿部光栄

三姉妹256の齢に感謝です   石巻市東中里/後藤佳代子


コラム: ベネズエラ

 今年、最初のコラムです。タイムリーで読み応えのある文章を心がけたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 今話題の国、ベネズエラ( Venezuela )という名の由来には諸説があります。その中で有力なのはイタリアのヴェネツィアに由来するというもの。

 1499年この地を訪れた探検者アメリゴ・ヴェスプッチが、グアヒーラ半島に並び建つインディヘナたちの水上村落を、水の都ヴェネツィアに見立て、イタリア語で「ちっぽけなヴェネツィア」( "Venezuola" )と命名した事によるとされています。

 だいぶ前ですが私はこのヴェネツィアを訪れたことがあります。英語ではヴェニス( Venice )と表記します。シェークスピアの「ヴェニスの商人」でよく知られていますね。

 地中海の小都市に過ぎなかったこの街が果たした役割を想う時、感慨深いものがあります。その一つは、この地があのマルコポーロを産んだことでしょう。

 彼の著した「東方見聞録」に出てくる日本はまさに「日出る国」そのもので今読んでも新鮮さが伝わってきます。日本、とりわけ黄金文化は奥州・平泉の煌(きら)びやかな佇まいに呼応して、私たちにより身近なものとして存在します。私たちは狭い国土に身を置き日々の暮らしを営んでおりますが、決して恥じることはない、「日出る国」に生きていることを忘れずにいたいものです。

 マルコポーロ、そして彼の著した「東方見聞録」のことを考えながら奥州に暮らす我が身のことを振り返ってみました。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)


短歌(1/11掲載)

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【斉藤 梢 選】


「おはよう」といえば顔あげ「ざいます」と少年一人ストレッチする   石巻市流留/大槻洋子

【評】少年に挨拶をする朝。この時にかえってきた言葉が「ざいます」。「おはようございます」ではなく、作者の言葉に即反応しての「ざいます」。それでも、二人の間に交わされている思いがあることが「顔あげ」という行為でわかる。作者の声の「おはよう」と少年の声の「ざいます」の連なりで生まれる独特な言葉の化学反応。現代短歌の言語は日々変化してきているし、日常会話での<省略>も多い。それでも顔をあげた少年の一言は、作者の朝の心を明るくしたのだと思う。


弱火でも農が続くは温かいほのぼの照らす畝は美しい   石巻市桃生町/佐藤俊幸

【評】「弱火」であっても「農」の「火」を絶やさずにいることは温かい。「火」は作者の農への思いであり、作業そのものだと読み取る。<強火>の時もあったのだろう。それでも「弱火」が照らす畝もまた「美しい」のだ。結句の「畝は美しい」は、土に触れている作者だからこその感慨だろう。「温かい」と思える実感が読者の心を打つ。今の世で「美しい」と感じることができるものは何か。新しい年の初めに考えてみたい。


冬空を窓から眺め庭見れば寂しき色の南天の赤   石巻市須江/遠藤由美子

【評】冬の庭に彩りを添える南天の赤。「難を転ずる」縁起の良い木とされている「南天」。「冬空」と「寂しき色」が呼応していて、この「赤」を「寂しき色」と感受した作者。心情を表した「赤」だったのかも。


新米が出たのに今朝もパン屑かと雀が嘆く米の高値を   東松島市赤井/佐々木スヅ子

【評】雀も嘆く「令和の米騒動」。新米が出たのに値が高いという現実。嘆いているのは人だけではない。この詠みぶりが「高値」の切実さを伝えている。


大根の天日干し掛け老夫婦潮風痛し入り江の畑   東松島市赤井/茄子川保弘

年重ね行動範囲狭まれど心の翼大空に舞う   石巻市あゆみ野/日野信吾

またなのか地震知らせる奇妙な音願うは無事に新たな年を   東松島市矢本/畑山真弓

助手席は愛犬ポン太の指定席逝きて七年いまでもそこに   東松島市矢本/畑中勝治

強き赤どうだんの傍つわぶきの小さき黄花 晩秋の彩   東松島市矢本/門馬善道

また暗い歌ねと我に我が言う明るい歌を詠みなさいよね   東松島市野蒜ケ丘/山崎清美

おかげさまおたがいさまとありがとう「縁(えん)」を大事に新たな年も   東松島市矢本/菅原京子

置いていた長女の手荷物送るなり空いたその場に静寂すわる   東松島市矢本/川崎淑子

良くはなき検査結果を聞くために甘すぎるケーキ二つ用意す   石巻市開北/ゆき

羅針盤と夫を偲びし友の歌ひと筋の光我をみちびく   東松島市矢本/田舎里美

今朝早く鳴く鳥に覚めて窓あける親を呼ぶのか寂しく聞こゆ   石巻市桃生町/千葉小夜子

此の年も師走となりて歳重し遠山の雪真白く光る   石巻市駅前北通り/津田調作

早起きし寒さに負けず年重ね震後(しんご)十四年驚くばかり   仙台市泉区/千葉咲子

里山の杣道ゆけば冬枯れの道に一輪菊咲きにけり   石巻市三ツ股/浮津文好


川柳(1/11掲載)

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【水戸 一志 選】


贈りますパンダに添えて熊百頭   石巻市水押/小山信吾

【評】日本のジャイアントパンダ園は最初が上野で最後も上野となる。借り物とは言え、中国には血も涙もないのか。腹いせに?目下困りものの熊を百頭まとめて付けてやる。過激なギャグのようだが、クマにはクマを。元々近縁の動物だというから。


物価高正月そっとやって来た   石巻市蛇田/鈴木醉蝶

大掃除自己満足がキーワード   石巻市須江/原田まちこ

お正月おせち並べて迷い箸   石巻市須江/遠藤由美子

孫が来て川柳づくりひと休み   石巻市山下町/ヒロシ

働いて働いて腰おじぎする   石巻市須江/阿母礼

温泉に入って治すかばね病   石巻市中島/門間みえ子

ライバルをせめて超えたい父の年   東松島市赤井/片岡シュウジー


短歌・俳句・川柳 投稿規定

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 明けましておめでとうございます。本年も石巻かほく文化面をよろしくお願いします。日ごろ、積極的な投稿ありがとうございます。係より改めて投稿規定の注意点を申し上げます。

   ◇

■短歌、俳句、川柳ともはがき1枚にそれぞれ3首・句までです。

■1枚のはがきで同時に短歌、俳句、川柳に応募することはできません。自作の未発表作品に限ります。

■作品と同じ面(はがき裏面)に氏名(筆名の場合は本名も)を記載してください。切手を貼る面に氏名を書く人がいますが、規定違反となります。はがき裏面に氏名、住所、年齢(学年)、電話番号を記載してください。

■宛先は〒986-0827 石巻市千石町4の42三陸河北新報社編集部の「短歌係」か「俳句係」か「川柳係」です。係を明記しない人や「短歌・俳句・川柳係」と書く人がいます。特に俳句と川柳は判別しにくい場合があります。必ず明記してください。

■連絡先は0225(96)0321です。作品は返却しません。

■姉妹紙河北新報を含め、他紙(誌)との二重投稿、盗作、類似作品の投稿は固くお断りします。

   ◇

 皆さまの作品を心待ちにしております。投稿よろしくお願いいたします。

俳句(12/28掲載)

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【石母田 星人 選】


冬麗や背伸びして拭く窓ガラス   石巻市桃生町/西條弘子

【評】冬麗の穏やかな空や庭を見るため窓ガラスを拭く。いつもは届かない場所も「背伸びして」一心に清める。その行為を通して心をも磨いている作者。


ポケットの中にも枯野古着市   松島町磯崎/佐々木清司

【評】<雲の峰給湯室に小さき窓>の先行作がある作者。この句も構造は同じで、狭い入り口から広がる不思議な大空間が詩的な奥行きを感じさせる。寂しい枯野の雰囲気と、古着に潜む温もりの対比も魅力的。


PK戦枯芝に泣き崩れたる   多賀城市八幡/佐藤久嘉

【評】勝敗を決めるPK戦は残酷でドラマチック。「泣き崩れたる」で選手の気持ちが痛いほど分かる。


寒暁や水脈拡げゆく舟の反り   石巻市中里/佐藤いさを

初雪や遠慮がちなる朝の顔   石巻市丸井戸/水上孝子

冬の虹消えてつながる萬画館   石巻市門脇/佐々木一夫

何処より風を操り朴落葉   東松島市矢本/田舎里美

蒼翠を思い描くや冬木立   東松島市赤井/志田正次

冬天や島へ二便の鯨町   石巻市中里/川下光子

月光やくぢら切裂く大庖丁   石巻市蛇田/石の森市朗

天空を突くか白鯨雲砕く   石巻市向陽町/大渡清

冬耕の掘つては掘つて日暮れたり   石巻市広渕/鹿野勝幸

置き配は濡れて時雨は静かなり   石巻市流留/大槻洋子

AIが本読み上げる浅き冬   石巻市小船越/堀込光子

木守柿右に左に揺らす風   石巻市小船越/芳賀正利

連れられて院にゆく日や冬の蝶   石巻市開北/ゆき

テキパキとシュロのこも巻き冬支度   石巻市流留/和泉すみ子

冬耕の鍬は上下に凝りほぐす   石巻市桃生町/佐藤俊幸

木の葉散るひそひそ話してさうな   東松島市矢本/菅原京子

抱きしめて看取る愛猫小夜時雨   石巻市元倉/小山英智

初雪や手術を終えてもう十年   石巻市新館/高橋豊

しがらみを解きて軽きマフラーよ   石巻市小船越/三浦順子

降霜に草木眠りて声もなく   石巻市渡波/阿部太子

初冬やコーヒーの香と配膳車   東松島市野蒜ケ丘/山崎清美

しもやけの疼き子どもの頃のまま   石巻市向陽町/成田恵津美


川柳(12/28掲載)

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【水戸 一志 選】


お正月なるべく妻の手を減らし   石巻市向陽町/佐藤功

【評】年越しから新年にかけ、一家の主婦は超忙しい。それは昔のことと言われるかも知れないが、作者の意識は変わらない。だからこの句である。お互い年も年だ。なるべく負担を掛けないようにと思いやる。声に出さず、この句を3回唱えたいものだ。


今年ほど女が強い年はない   石巻市向陽町/大渡清

時間切れ使う自民の演技力   東松島市赤井/片岡シュウジー

忖度は上にならえとパンダまで   石巻市蛇田/菅野勇

クリスマスサンタが熊に乗って来る   石巻市美園/ひらやん

追悼歌うまい下手より大きな輪   仙台市太白区/金野正郎

祈ること最後はやはり神だのみ   東松島市大塚/石垣久子

鯰(なまず)さん年末年始寝ていてね   石巻市伊原津/福原伸行


コラム: gift と present

 今年も Christmas がやってきます。日本には元々ないものですが、今や国民的行事になってきました。贈り物をやったり取ったりする習慣は日本にもありましたが、それは静かなやりとりで、 Christmas のように人と人の間に「神」が存在するものではなかったように思われます。

 英語には「贈り物」を表す言葉は二つあります。 gift と present です。これについて考察してみましょう。

 まず gift 。これは「与える」を意味する動詞 give の名詞形とでも言いうるものです。アメリカの短編作家オー・ヘンリー( O.Henry )の代表作に「 The Gift Of the Magi 」というのがあり、「賢者の贈り物」として日本でも広く知られています。

 新約聖書の、東方の聖者がキリストの誕生を祝って貢ぎ物を持ってきたエピソードを下敷きに、贈り物をめぐる行き違いを描いたものです。貧しい夫婦がお互いを思いやり、最も大切なものを犠牲にして贈り物をし合う物語です。一見無駄に見える贈り物が、実は最も賢明な愛の行為であったと結ばれています。

 そう言えば天分のことを「天賦の才」とも言いますよね。 gift はこれに近い言葉です。

 present は「現在」という意味も表します。「今、目の前に差し出す」という点で gift と一脈通じるものがあります。

 今年も本コラムを読んでいただき、ありがとうございます。どうか良き年をお迎えください。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)


短歌(12/21掲載)

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【斉藤 梢 選】


離れ住む息らを案じぬ仏壇のリンゴ突然ころがりし朝は   石巻市高木/鶴岡敏子

【評】心配したり気遣うということは、多くは心の中でひっそりと行われる。この一首の「案じぬ」は、心を寄せて思い、相手の普段通りの生活を願うことだろう。離れて暮らしている子らのことを案じる母の気持ちが、とてもよく伝わってくる。今の時代は、LINEで「大丈夫?」「ちょっと心配になって~」と、言葉にして直ぐに相手に届けることもできる。でも、この歌の作者の「案じぬ」は、母から「息ら」への深くて奥床しい気持ち。突然リンゴが仏壇からころがった朝の、母親の祈りと願いが込められている「案じぬ」。


風に立つほおの木の葉よ空中に吹きつけられて落ちる声、声   石巻市湊東/三條順子

【評】今年の秋は短かった。木の葉があっという間に散り敷く光景に、木も酷暑の日々を耐えて力尽きたのかと思われて、木を愛しんだ人もいたのでは。ほおの木の葉は大きいので「落ちる」。その葉が空中に吹きつけられる光景を見た作者には、この時「声」が聞こえた。音ではなく「声」。「風に立つ」木を見て、聞いた「声」に何を思ったのか作者と語り合いたくなる。


絹さやの寒さに向かう小さき芽に籾殻かける春までですよと   石巻市羽黒町/松村千枝子

【評】小さな芽を寒さから守るために籾殻をかけつつ「春までですよ」と、話しかけている姿が見えるよう。育てるということは、愛情をそそぐことなのだと、あらためて知る。「芽」と一緒に春を待つ作者。


罪を負うものの如くに岸壁の廃船はあかき鉄錆まとふ   女川町旭が丘/阿部重夫

【評】「あかき鉄錆まとふ」廃船を見て佇む作者の思いが、初句二句で的確に表現されている。この回顧と現状。作者でなければ詠めない「廃船」の歌。


風立てば寒さ厳しく出不精のこころ湧くのは老いの守りか   石巻市桃生町/佐藤俊幸

小雪(しょうせつ)のひかりと風に残菊の黄いろはタクトのごとき愉しさ   石巻市開北/ゆき

庭にひとり佇む我に秋の風共に行くかと声が聞こえる   東松島市矢本/畑中勝治

八十路坂泰然自若我が道をゆっくり歩む老いを受け入れ   石巻市不動町/新沼勝夫

新聞に知人の不幸載っていて脈速くなり涙止まらず   石巻市西山町/藤田笑子

昭和期の人手頼りの魚獲り身体一つで荒波越えて   石巻市水押/阿部磨

追いつけぬほど遅れてもけんめいに走ればいつか拍手聞こえる   石巻市流留/大槻洋子

神木の老樹は四季を繰り返す森に聳えて歴史を刻む   東松島市赤井/茄子川保弘

銀杏の実落ちて踏まれて疎まれてあわれ冷たき雨に打たれる   石巻市あゆみ野/日野信吾

渋柿の皮剥きすれば目に浮かぶ夜なべの煙と家族のわらい   石巻市須江/須藤壽子

津波時の支援のタイツこの冬もまたはく我を温かく包む   東松島市赤井/佐々木スヅ子

夜の床逝きし友の顔懐かしく鳥にも虫にも生死あるのね   石巻市渡波町/小林照子

寒い朝何することもなき一日(ひとひ)焼き芋しよういい匂いする   石巻市流留/和泉すみ子

ウオーキング踏まれて強し雑草は四つ葉となりて我を慰む   東松島市矢本/奥田和衛