コラム:どんと祭と銭湯

 冬、まっただ中。小学3年まで住吉で過ごした僕には忘れられない思い出があります。

 一つは「どんと祭」。正月の7日、北上川の住吉神社で催されます。松飾を川岸の燃えさかる火の中に投げ入れるのです。仙台の大崎八幡神社の火祭りは全国的に知られています。

 「火」は英語で fire ですので「どんと祭」は fire festival となるのでしょうが、どうも...。

 その理由の一つに fire の意味があります。 fire は「火」を表すことは間違いありませんが、「解雇する」という意味もあるのです。 You are fired ! と言えば「お前はクビだ!」になります。

 この時期、忘れられないのが銭湯です。夕方になると家に風呂がないので毎日のように出かけました。風邪を引かないように、しっかり身支度をして歩いて10分ほどのお風呂屋さんに。

 さて、「銭湯」を英語でどう表すか... public bath という訳が浮かびましたが、「銭」が表せません。銭湯は庶民の知恵から生まれたものでしょう。調べてみると Japanese communal bath が最も適切な英訳に思えます。

 また、イングランド西部、サマセット州にあるバース( Bath )は、湧出温度45度の3つの源泉から供給される古くからよく知られた温泉地です。

 寒い夜、あったかいお風呂に浸って暖まりたいというのは洋の東西を問いません。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)