コラム:別れと出会い

 学校における教育課程を全て修了したことを認定し、卒業証書を授与することで門出を祝う式典...卒業式の定義です。英語では一般的に graduation ceremony と言います。

 石巻専修大学では3月20日に行われますが「学位記授与式」が正式名称です。小中学校などとは違い、大学ではこのように呼ぶようです。

 また、卒業式を commencement とも言うことにも魅力を感じます。動詞 commence (始める)の名詞形。儀式・裁判などの開始という意味。

   The factory will commence operation next month.
   (その工場は来月操業を開始するだろう)

   At the age of eighteen he commenced studying [ to study ] law.
   (彼は18の年に法律の勉強を始めた)

 「卒業」は終わりではなくこれからの社会生活に向けての始まり...こういった考えには頷けるものがあります。「卒業式」とはそういった儀式と考えると厳粛に思えてくるのです。

 入学式は entrance ceremony が一般的。 entrance は動詞 enter (入る)の名詞形です。桜の花咲く4月、真新しい制服に身を包み学校の門をくぐる...「ピカピカの一年生」...日本の春の風物詩の一つでしょう。

 数十年前の私の大学の入学式。高名な英学者である学長が式辞の中で強調したのは「いい友を得なさい」。亡き母はその言葉に感じ入ったようです。実際、私は生涯の友に出会いました。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)