俳句(8/24掲載)

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【石母田 星人 選】


緑陰に入りてつくづく命抱く   石巻市駅前北通り/小野正雄

【評】あえぎながら緑陰に逃げ込む。「つくづく命抱く」には安堵とともに、命からがらのイメージさえある。今夏の尋常でない暑さをうまく捉えている。


ジャズを聴き青き日想う夕端居   石巻市新館/高橋豊

【評】お気に入りの曲をかけ、風の通る所に一服の涼を求めた。夕端居とジャズの取り合わせが新鮮。


涼しきは蠍座射手座山の国   石巻市桃生町/西條弘子

【評】厳しい暑さが収まらない。こんな異常気象は地球だけで星座の運行には影響がない。南天に見えていたさそり座の赤星が山の端に消え、天の川を挟み、いて(射手)座が昇ってきた。星々はすっかり秋だ。


終戦日みえて届かぬ海の底   石巻市流留/大槻洋子

北からの津波の上を雲の峰   石巻市小船越/芳賀正利

揺れもせず遠地津波のおそふ夏   石巻市広渕/鹿野勝幸

艪も櫂もまとめてありぬ盆休み   石巻市中里/佐藤いさを

にんげんに輪廻転生月涼し   石巻市蛇田/石の森市朗

灯を待てり蛍袋のまろき部屋   石巻市丸井戸/水上孝子

「八の字よ」と娘につき茅の輪三世代   石巻市開北/ゆき

立葵曲がりくねった子等の道   松島町磯崎/佐々木清司

夕蛍導く如し八十路坂   石巻市門脇/佐々木一夫

音声に従ふ不安溽暑かな   石巻市中里/川下光子

ATMが係員呼ぶ酷暑かな   石巻市小船越/堀込光子

枝先の空蝉見つめ澄ます耳   石巻市湊/斎田流雲

夏山やさらさら雨に緑溶け   石巻市流留/和泉すみ子

ひまわりや陽へまっすぐに熱視線   東松島市矢本/田舎里美

夕涼や正座の猫は舟を待つ   石巻市元倉/小山英智

水羊羹さっきのうさをもう忘れ   石巻市渡波町/小林照子

人熱れ一時しのぎや夏氷   東松島市赤井/志田正次

日照り草眠れぬ夜の夢遠く   石巻市桃生町/佐藤俊幸

絢爛と侘しさ残し花火終え   石巻市蛇田/櫻井節子

夏草や推しのCDつひに買ふ   東松島市矢本/菅原京子

掃除終へ空へ極暑の深呼吸   東松島市あおい/大江和子

水打てばはね返りくる生臭さ   石巻市向陽町/成田恵津美