【石母田 星人 選】
木の芽風動き出したる耕土かな 東松島市あおい/大江和子
【評】4日は二十四節気の立春。よく見ると樹木の芽吹きも始まっている。膨らんだ芽を揺らす柔らかな風が、春の訪れを告げる。眼前には孫兵衛の手がけた耕土。その土の輝きに目覚めの息遣いを感じた作者。
薄闇の交換駅や受験の子 石巻市流留/大槻洋子
【評】上五の薄闇が巧み。ここは早朝とか夕暮でも分かるが、受験の子の心情につながる言葉で詠んだ。
どげんしたと博多のナース冬暖か 東松島市野蒜ケ丘/山崎清美
【評】「どげんしたと」は博多弁で「どうしたの」くらいの意。親しみやすく優しい響きでこのナースの人柄も分かりそうだ。季語「冬暖か」もぴったり。
冠雪の山々はるか冬銀河 石巻市小船越/芳賀正利
国訛両手で包む雑煮椀 松島町磯崎/佐々木清司
たてがみは忍の一字や寒立馬 多賀城市八幡/佐藤久嘉
作為なき文字の有様初硯 石巻市丸井戸/水上孝子
さつきまで孫らの声やごまめかむ 東松島市矢本/菅原京子
見得を切る寄り目掛け声初舞台 石巻市元倉/小山英智
朝まだき餅花ゆらぐ農はだて 石巻市桃生町/西條弘子
受験子の握るお守り青の色 石巻市流留/和泉すみ子
初挽きのモカの香りに包まれて 東松島市あおい/下山慶子
すりくるみ添へて賑はふ雑煮もち 石巻市渡波町/小林照子
初写真小さく丸く元気です 石巻市中里/川下光子
大国の攻撃またぞ三日かな 石巻市広渕/鹿野勝幸
ひとつ老いジムにマシンの初日の出 石巻市新館/高橋豊
鍬ふるう野生のごとく冬の空 石巻市桃生町/佐藤俊幸
山茶花の一花鎮もる千の蕾 石巻市開北/ゆき
早梅や思ひのままに綻びぬ 東松島市赤井/志田正次
公園のブランコに乗る春の風 石巻市蛇田/石の森市朗
お互ひに鱈の口して師走かな 石巻市二子/小松道男
成人の金襴緞子冬うらら 石巻市小船越/三浦順子
初詣産土神よ風の声 石巻市駅前北通り/小野正雄
獅子頭優雅な舞で春を呼ぶ 石巻市水押/小山信吾
偉大なる樹氷溶け出し山に春 石巻市清水町/日陰のわらび