俳句(3/1掲載)

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【石母田 星人 選】


おぼつかぬ足裏くすぐる春の土   石巻市広渕/鹿野勝幸

【評】足裏(あうら)から伝わる春の土の感触を詠んでいる。「おぼつかぬ」で、踏み込んだ土の表面の頼りなさを語り、「くすぐる」で足裏からはい上がってくる心地よさを表現。春先の土の息遣いを五感で捉えた。


上品山へ冬耕の畝立てにけり   石巻市桃生町/西條弘子

【評】寒起こしの後、畝を立てたのだろう。厳寒のなか大変な作業だ。「上品山( じょうぼん )へ」が深い。そこにある山が見守ってくれているという土着性の濃い句だ。


春隣光の中で喋り出す   仙台市泉区/会津かよ子

【評】擬人化の「喋り出す」が想像を膨らませる。雪解け水、芽吹き、鳥の声など大自然の目覚めだ。


十五年祈り続けし春の波   石巻市駅前北通り/津田調作

寒明けや大河は歓喜あげ流る   石巻市小船越/芳賀正利

春立つや萱原戦ぐ追波川   石巻市新館/高橋豊

昼下がりワルツを刻む雪しずく   多賀城市八幡/佐藤久嘉

どれを蒔くか心の揺らぐ種袋   石巻市桃生町/佐藤俊幸

極大の太陽フレア寒鴉   石巻市小船越/堀込光子

春泥やご神木からお社へ   石巻市流留/大槻洋子

このごろの聲のちひさき鬼やらひ   石巻市丸井戸/水上孝子

離郷あり帰郷もありて卒業歌   松島町磯崎/佐々木清司

うなずきも言葉のひとつ春隣   東松島市あおい/下山慶子

かじかむ手とびきりの夢握りしめ   東松島市矢本/菅原京子

山越えて海鳴の村春近し   石巻市蛇田/石の森市朗

天に舞う冬季五輪の大ジャンプ   石巻市元倉/小山英智

節分や拾はれ残る豆ひとつ   石巻市二子/小松道男

春暁やさへづり抱いて床の中   石巻市門脇/佐々木一夫

西窓を満たせど佗し冬茜   東松島市矢本/田舎里美

冴ゆる月一人ぐらしの頼りなき   石巻市流留/和泉すみ子

春近し野山に香る息吹かな   東松島市矢本/山田昭義

如月やライトグリーンの細字ペン   石巻市中里/川下光子

春便りラジオ体操晴れやかに   石巻市湊/斎田流雲

ばぁばと言いうんうんと言い日向ぼこ   石巻市開北/ゆき

カーテンに影絵写りし南天葉   塩釜市新浜町/佐々木夏子