俳句(6/7掲載)

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【石母田 星人 選】


チューリップまるで混声合唱団   東松島市矢本/菅原京子

【評】赤白黄と多くのチューリップが並んでいる。その様子を混声合唱団のようだと詠む。素朴な比喩のようだが、「混声」の表現が巧み。色彩を聴覚で感受して、それぞれの色に女声と男声を充てているのだ。


春陰や耳に新たなやまひ入る   石巻市丸井戸/水上孝子

【評】自身の体調の変化とも読めるが、ここは時事句とみた。ハンタウイルス感染症など、新たな病名を耳にした心情を、季語「春陰」を用いてうまく表現。


朝日浴び我の足音柿若葉   石巻市桃生町/佐藤俊幸

【評】柿若葉の透き通るようなみずみずしさは見る者に元気をくれる。朝の散歩の足取りも軽くなる。


人の世は覚めてはかなき春の夢   石巻市門脇/佐々木一夫

駅ピアノ桜の国へ行く途中   石巻市渡波町/小林照子

雑踏を抜ければ友の笑みや春   東松島市矢本/田舎里美

廃校の決まりし校舎麦の秋   石巻市蛇田/石の森市朗

大空へ深き呼吸の花水木   東松島市野蒜ケ丘/山崎清美

おだやかな曲線となり田植終ゆ   石巻市広渕/鹿野勝幸

サーファーにジャンボ機の腹迫りくる   多賀城市八幡/佐藤久嘉

投票の朝の茅花のゆれうごき   石巻市流留/大槻洋子

文庫本どれも百円夏落葉   松島町磯崎/佐々木清司

石楠花や欄干のなき橋渡る   石巻市中里/川下光子

薫風や朝のあいさつ通学路   東松島市あおい/大江和子

青き風受けてあまたの五月鯉   石巻市小船越/堀込光子

万緑や遠くの山をつれて来る   石巻市湊/斎田流雲

万緑や病室の中一輪花   石巻市新館/高橋豊

小鳥鳴き仰ぐ大樹や青時雨   石巻市元倉/小山英智

青笹や雨の粒落ち海近し   石巻市二子/小松道男

おぼろ夜の認知症なる横顔よ   石巻市開北/ゆき

聞こえ来る山ほととぎす里の朝   石巻市向陽町/大渡清

友来たる竹の子ごはんタッパ詰め   石巻市流留/和泉すみ子

逃水を搦め取れない歯痒さや   東松島市赤井/志田正次

五月晴れ鼓笛浮き立つ村まつり   石巻市わかば/千葉広弥

田植機の後追い鳥は白鷺か   石巻市水押/小山信吾