俳句(7/5掲載)

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【石母田 星人 選】


黙すれば麦茶の氷よく鳴りぬ   東松島市矢本/田舎里美

【評】会議が一時止まり一斉に麦茶を飲む。氷の音だけが場を支配。臨場感ある「よく鳴りぬ」が巧み。


腰伸ばし夏風の道作りけり   石巻市駅前北通り/津田調作

【評】短い俳句は物が言えない文学と言われるが、言えないのではなく言わない文学。全部言わず大切なことだけを言う。俳句の「省略」とはそういうこと。ここは草刈りを省略。腰伸ばしで草との格闘を描き、その後に生まれる「夏風の道」に詩的感性をこめる。


炎天に草はしたたか陽を食す   石巻市桃生町/佐藤俊幸

【評】暑過ぎると弱るが、草は陽光が好物。貪欲に取り込む姿を「陽を食す」と擬人化でうまく表した。


新緑の山に生れし山の闇   石巻市小船越/芳賀正利

年毎に居場所取り換へ麦の秋   石巻市新館/高橋豊

走り梅雨青き匂ひの厨かな   石巻市小船越/堀込光子

更衣母の匂ひの溢れをり   石巻市流留/和泉すみ子

雲海に浮ぶ帆船風まかせ   石巻市向陽町/大渡清

沖縄へ帰る象亀風薫る   石巻市流留/大槻洋子

卯の花腐し高台の新駅舎   石巻市中里/川下光子

花盛りけふも明るき医院かな   石巻市門脇/佐々木一夫

ドーナッツの穴の存在蝉しぐれ   東松島市野蒜ケ丘/山崎清美

信仰の薬萊山に山法師   多賀城市八幡/佐藤久嘉

青空と対話するかな山ぼうし   塩釜市新浜町/佐々木夏子

大海にストレスのあり夏怒濤   石巻市広渕/鹿野勝幸

若葉風朴の葉裏の白きこと   石巻市桃生町/西條弘子

幼子もバザーの店主夏木立   松島町磯崎/佐々木清司

金髪の少女もまじり藍浴衣   石巻市渡波町/小林照子

幾度もルアー巻き上げ夏帽子   石巻市元倉/小山英智

長靴を二足並べて梅雨の入り   石巻市湊/斎田流雲

万緑を干して海原深みどり   石巻市開北/ゆき

一面の千住博の滝の音   石巻市丸井戸/水上孝子

野茨や白き五弁の散歩道   東松島市赤井/志田正次

浜茄子にそつと顔寄せ夫偲ぶ   石巻市のぞみ野/阿部佐代子

形代に穢れ託して軽やかに   東松島市小松/阿部貞子