俳句(9/13掲載)

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

【石母田 星人 選】


最上川舟唄に乗る赤とんぼ   石巻市渡波町/小林照子

【評】舟下りの船頭が唄う最上川舟唄。聴きほれていると舟に赤とんぼが現れた。調子を合わせるようにホバリングしながら、とんぼもうっとり聴いている。


朴島の端から端へ蝉しぐれ   多賀城市八幡/佐藤久嘉

【評】松島湾の浦戸諸島にある朴島は周囲約2キロの有人島。タブノキの原生林がある。その古木を舞台に蝉が鳴く。「端から端へ」がうまい。島全体が鳴いているようにとれる。固有名詞で句の奥行きが増した。


霊棚や指さしかぞへ離れ見て   石巻市流留/大槻洋子

【評】先祖の霊を迎え、安置する棚をこしらえた。動詞四つを重ねた効果で立派な出来栄えと分かる。


列島のいつもどこでも秋出水   石巻市広渕/鹿野勝幸

よろけても大地に立つや裸足の子   石巻市小船越/芳賀正利

夕凪やハサミ広げて汐だまり   石巻市元倉/小山英智

蒼穹に雲くっきりと今朝の秋   石巻市流留/和泉すみ子

秋の雨糸筋刺さる露天の湯   石巻市新館/高橋豊

掃き浄め御霊の道や盆の風   石巻市湊/斎田流雲

いくつもの楽しみ植えて盆支度   石巻市桃生町高須賀/佐藤俊幸

盆三日仏の飯の献立表   石巻市桃生町寺崎/西條弘子

盆灯籠遠い記憶の蘇る   石巻市桃生町寺崎/西條和江

夕焼雲戦火いつ止むこの地球   石巻市蛇田/石の森市朗

夏色の開幕戦の校歌かな   東松島市矢本/菅原京子

食む命天の川へと問いかける   石巻市二子/小松道男

トンネルをくぐり終へればつたすだれ   塩釜市新浜町/佐々木夏子

巻貝の耳に海より秋の声   松島町磯崎/佐々木清司

甲高き蚊の音去りて耳軽し   東松島市矢本/田舎里美

海鳴りを浴びに帰省子明けの空   石巻市開北/ゆき

狭庭よりこゑかぎりなき秋の蝉   石巻市丸井戸/水上孝子

この夏を一気呑みする星の下   石巻市門脇/佐々木一夫

音もなく落ちる点滴遠花火   石巻市向陽町/大渡清

撤下せし供花に秋の蚊の一撃   東松島市赤井/志田正次

「しおがま」の塩梅こそや新走り   東松島市あおい/木皿ゆきこ

金婚や虹をくぐりて海の宿   白石市堂場前/伊藤多恵子