俳句(9/27掲載)

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

【石母田 星人 選】


過疎村をかじり尽くすか蝉時雨   石巻市開北/ゆき

【評】過疎の村を覆い尽くす蝉声。うるさいほどの迫力だ。その景を「かじり尽くすか」と、聴覚を飛び越えた表現。まるで村が侵食されてゆくようだ。この句はそのイメージで、深刻な過疎化に警鐘を鳴らす。


井戸水の大玉西瓜子らを待つ   石巻市湊/斎田流雲

【評】帰省してくる子らを待つのは作者なのだが、この句では西瓜が待っているように読めて楽しい。


フルートの少女涼しく構へをり   石巻市桃生町寺崎/西條弘子

【評】夏の季語「涼し」は気温だけでなく、比喩としても使う。ここでは演奏前の少女の姿を表現した。会場の雰囲気と清らかな少女の緊張感がよく伝わる。


天の河渡る地球の宇宙船   石巻市小船越/芳賀正利

宇宙船クルーズのごと銀河ゆく   東松島市矢本/田舎里美

原点に立ちてくらみぬ原爆忌   石巻市駅前北通り/小野正雄

鹿よけの網の分かつや里と山   石巻市新館/高橋豊

さるすべり音なき風に揺られをり   東松島市あおい/大江和子

月白に今日の一日の静かなり   石巻市流留/和泉すみ子

十五夜や茶の間全開月招く   石巻市二子/小松道男

酒を酌む今宵は月を友として   石巻市前谷地/砂金静枝

山小屋の星を肴に酒を酌む   多賀城市八幡/佐藤久嘉

山小屋の岩魚骨酒夜が更ける   東松島市あおい/下山慶子

台風来高層ビルに孤島の灯   松島町磯崎/佐々木清司

流れゆく雲の行方や稲の花   石巻市蛇田/石の森市朗

葦原の揺れて抱くや秋つばめ   石巻市小船越/堀込光子

痩せ腕の縮緬皺や曼珠沙華   石巻市門脇/佐々木一夫

満席のペット供養や秋扇   石巻市流留/大槻洋子

秋の蚊の手中に掴む心地かな   石巻市中里/川下光子

秋霖や読書日和と決め込みて   東松島市赤井/志田正次

背を反らし天を仰いで秋日和   石巻市元倉/小山英智

ジャズフェスの音の膨らむ秋の街   石巻市丸井戸/水上孝子

鉄橋を一両列車秋夕焼   石巻市向陽町/大渡清

サツマイモ手塩かけねどつる返し   石巻市桃生町高須賀/佐藤俊幸

空蝉が茗荷葉裏にひっそりと   石巻市須江/佐藤明実