河北新報特集紙面2025
2026年2月22日 河北新報掲載
都市型災害に備えるスキルを磨く防災・減災ワークショップ
都市型災害に備えるスキルを磨く
防災・減災ワークショップ
仙台市危機管理局減災推進課の協力の下、
災害リスクへの理解を深めながら、
大規模な自然災害の発生時に推奨される
在宅避難や帰宅困難者とならないための備えなどを学ぶ、
実践型ワークショップを2回開催。
第1回目は、「豪雨災害編」と題して昨年11月18日に実施し、
会場に集まった37人が豪雨災害ハザードマップや
VRゴーグルなどを活用して理解を深めました。
第2回目の「地震災害編」は、1月22日に開催。
1人が避難所の仕組みや在宅避難などについて学び、
防災意識の向上を目指しました。
- 仙台市防災・減災アドバイザー
早坂 政人さん - 地震だけでなく幅広い災害への備えを伝えるため、平成30年4月より「仙台市防災・減災アドバイザー」がメディアや講座などで情報を発信中です。

- 第1回
- 豪雨災害編
誰もが大切な命を守れるように
身近なリスクを予測し、備える力を身につける
豪雨災害を疑似体験し
「備える力」を身に付ける
洪水や土砂災害、住宅への浸水など、さまざまなリスクをはらむ豪雨災害。ワークショップ第1回は、仙台市防災・減災アドバイザーの早坂政人さんが登壇し、近年、豪雨災害が全国各地で相次いでいる背景や、なぜ毎年のように犠牲者が出てしまうのかを解説してくれました。「地震を経験したことがある人はいても、洪水や土砂崩れに実際に巻き込まれたことがある人は、ほとんどいないのではないでしょうか」。豪雨災害の恐ろしさを体験できていないことが、逃げ遅れにつながっている可能性を指摘します。そこで参加者全員に配られたのが、洪水・土砂崩れを疑似体験できるVRゴーグル。360度映像の中で、河川の水位が一気に上昇する様子や、膨大な水で瞬く間に屋内が浸水する光景などが映し出され、地球温暖化により、これまでの常識が通用しなくなりつつある現実に、会場は静かな緊張感に包まれました。
「豪雨災害は事前に予測し、備えることができる災害です」。VR体験後、早坂さんは、まず自分のまちの「ハザードマップ」を確認し、どのような災害が起こりうるのか把握することが大切だと、参加者に語りかけました。

予想以上のスピードで浸水する様子をVRで体験

ハザードマップの見方を学び、浸水想定区域を確認
自分と家族の命を守るために
今できることを
地域の危険性を確認した後は、「マイ・タイムライン」を作る重要性を説明してくれました。マイ・タイムラインとは、避難時の持ち物や避難開始のタイミング、避難先など、豪雨災害から命を守るために、家族一人ひとりが取るべき行動をあらかじめ決めておく避難計画のこと。ワークショップでは、参加者全員が自分の暮らす地域や家族構成を思い浮かべながら、避難行動を具体的にシミュレーション。事前に計画を立てておくことで、いざという時も落ち着いて行動できるのだと学ぶことができました。
「今日学んだことを、ぜひ家族や身近な人にも伝えてください。災害は“いつか”ではなく、“いつどこでも起こりうるもの”。その意識を持つことが大切です」。
最後に、身近に潜む豪雨災害のリスクを「自分ごと」として捉え、日頃から防災に備えることの重要性を呼びかけ、豪雨災害編のワークショップを締めくくりました。

いつ・誰が・何をするのか、時系列で整理する
マイ・タイムライン
マイ・タイムラインはこちらから
参加者の声

- 私は災害時言語ボランティアに登録しているので、いざという時に少しでも役に立ちたいという思いで参加しました。ハザードマップを確認する中で、住み慣れた仙台市内にも、内水氾濫をはじめとしたさまざまな災害リスクが潜んでいることを知り、災害を予測し、防災対策を講じておく大切さを実感しました。有事の際には、支援を必要とする海外の方々の力になれるよう、今回の学びを生かしたいです。
賛同企業の声

- 防災・減災に関わる業務を担当しています。社内の安全対策を見直す中で、より詳しい知識を得たいと思い、今回参加しました。VRを通して大雨による被害の怖さをリアルに体感し、防災への危機意識が一層高まりました。キューアンドエー株式会社では、今回得た学びをこうした災害を経験していない方々にも伝えながら、地域全体の防災意識の向上につながる取り組みを続けていきたいと考えています。
- 第2回
- 地震災害編
自宅のある地域の地震災害リスクを確認して
災害時に正しい行動をとるため、日頃からの備えを
地震ハザードマップで知る
連動型地震が及ぼす地域の脅威
第2回も、VRゴーグルによる映像体験からスタート。低層の集合住宅と思われる一室で料理をしている女性の目線で映像が始まり、テレビが報じる警報とともに揺れが大きくなりました。棚が倒れたりガラスが割れたり、本物と見まがうほどリアルな演出。約4分の短い時間ながら、思わず手を握りしめる参加者もいたほど緊迫感のある体験となりました。その興奮も冷めやらぬまま、早坂さんの講義が始まり「今回は、家庭人の目線で、地震発生時の行動などについて考えてください」と参加者を促しました。
能登半島地震に関わる災害派遣活動の経験談を語った後、スクリーンに仙台市青葉区の地震ハザードマップを投影。「能登半島地震は、複数の断層が連動して被害が大きくなりました。令和5年に宮城県が公表した資料によると、宮城県沖地震の連動型が発生した場合、県内では最大震度6強、最大8mの津波が発生する地域があると想定されています。仙台市ではこのほかにも、想定される地震別の震度や被害想定をマップで掲載していますので、ぜひお住まいの環境を確かめてみてください」と、自宅がある地区の地震リスクの確認を呼びかけました。

VRゴーグルを装着してバーチャル映像で震災を体験

仙台市地震ハザードマップ(青葉区版)
避難時の声がけや安否確認で
救助や復旧に役立つ情報を集積
後半は、地震発生時にとるべき正しい行動について解説。「地震の際は、揺れを感じている間、自分の体を守ることを第一にしてください」と語気を強めます。自身の安全を確保できたら、隣家や近所に住む高齢者などに、声がけや安否確認をすることも勧めました。さらに「皆さんは、地震時にご近所同士で集合する“いっとき避難場所”を知っていますか」と会場に問いかけます。「いっとき避難場所とは、地域の被害状況や住民の安否を確認するために集合する場所のこと。だから皆さんも、いっとき避難場所を事前に確認しておき、災害時は情報を集めながら向かってください。それが、地域の防災力を必要な場所に集中させることになります」と語ると、参加者はみな深くうなずいていました。
指定避難所の仕組みや運営主体ごとの役割、在宅避難に関しても言及。非常食のローリングストックの有効性や災害に備えた家づくりについて、資料を使って紹介してくれました。早坂さんは、「非常時に適切な行動をするためには、日頃からの反復練習が大事です」と結びました。

仙台市のサイトからダウンロードできる
在宅避難のススメ
在宅避難のススメはこちらから
参加者の声

- 仙台市に長く住んでいますが、災害に関するホームページの情報がとても充実していることに驚きました。特に地震ハザードマップがとても詳細に作られていたので、データを読み解きながらこれから独自に勉強していきたいと考えています。いっとき避難場所などのお話を元に、家族と一緒に防災に関する意識を高めるきっかけにして、災害に備える暮らしを心がけていきたいと思っています。
賛同企業の声

- 東日本大震災の発生時、石巻市で勤務していました。避難所の資料写真を見て、以前より設備や運営などが改善されていることを知り、関係者や地域の努力を感じました。避難所運営訓練も参加してみたいと興味が高まっています。今回のワークショップに参加し、自助の大切さを改めて確認しました。どのように自助の力を高められるか、これから考えてみたいと思います。
