賛同企業の取り組み2015

2015年9月25日 河北新報掲載 第2回高校生のためのエコツアー

尚絅学院大学×今できることプロジェクト 第2回高校生のためのエコツアー 実施/2015年8月10日・11日 ツアーレポート

「環境」は未来を考えていく上で重要なキーワードのひとつです。
未来を担う高校生が「自然と人とまち」のつながりを知り、
環境について考えるツアーを実施しました。

(主催:環境構想学科)

ツアー詳細は大学HPからもご覧いただけます。
http://www.shokei.jp

協力:

  • キリンビール仙台工場/
  • 南蒲生町内会復興部/
  • 仙台市建設局 百年の杜推進課/
  • NPO法人都市デザインワークス/
  • 花と緑の3.11プロジェクト/
  • みちさき/
  • 仙台市危機管理室防災計画課 避難施設整備室/
  • NPO法人川崎町の資源をいかす会

復興まちづくりと自然との共生を考える

1日目

地元企業の復興支援

最初に訪れたのはキリンビール仙台工場。震災時の対応やその後の復興支援、防災体制の強化、環境負荷低減の工夫が紹介され、学生は地域の防災と活性化、そして環境問題に企業が深く関わっていることを学び、視野が広がりました。
みちさきでは6次産業化に取り組む農作物の養液栽培施設を見学。高校生たちは熱心に話を聞き、津波による塩害を受けた被災地での新しい農業の可能性について学びました。

有事に備えた対策

中野五丁目津波避難タワーで記念撮影

今後の防災を考える上で重要な施設が津波避難タワーです。今年2月に完成した仙台市発のタワーはおよそ300人が避難できるようになっており、備蓄品も充実。大学生からは「施設・備蓄品を適切に使用するためには定期的な訓練が必要」という感想がありました。

連携による復興

江戸時代から「居久根」と呼ばれる伝統的な屋敷林があった南蒲生地区。まち歩きをしながら震災前後の写真を見比べ、津波被害を知りました。集会所では「あたらしい居久根のかたち」を模索し、豊かな緑がある景観を取り戻すために、地域・住民・行政・NPOが一体となって取り組んでいる復興まちづくりの説明を受けました。

2日目

自然と生きる知恵

訪れたのは川崎町。ここでは実際に山に入り、樹木の再生能力を生かした「皆伐萌芽更新」によって森林が守られていることを学びました。「木を切ることは良くないことだと思っていたけれど、実際は違った」と、数年前に伐採された切り株から萌芽し、生長した若木を見た高校生は驚いた様子。切った木の活用方法も学びました。
その後は農業用水路を活用して2013年に設置された手づくりの水車発電装置を見学。自然との共生を目指し、楽しみながら取り組んでいることを知りました。そしてバイオマスや水力といった再生可能エネルギーの重要性も実感しました。

住民による手作りの水車に感嘆

2日間で得たこと、課題として感じたことを高校生と大学生が共に意見を出し合い、振り返りました。まちづくりも自然との共生も、様々な立場の人が力を合わせ、取り組んでいることを知ることができました。

グループワークで振り返り学習

尚絅学院大学入学試験日程

参加者の声 高校生

会津若松ザベリオ学園
高校3年
吉野 碧さん

初めて知った 地域を守る企業の姿

ツアーで驚いた点は、企業が地域住民に寄り添い、住民を主体とする地域活性化に向けた活動を行っていたことです。また、地域が行政と手を取り合い、一体となってまちづくりを行っている姿も知ることができ、復興や環境について考えを深めることができました。

塩釜高校3年
渡邉 直人さん

楽しみながら 活動する人たちに感動

森と人が共存するために資源を大切にし、水車発電のように再生可能エネルギーの開発にも力を入れ、自分たちの仕事に誇りを持ち楽しみながら活動していた川崎町の方々が印象的でした。これからは身近な企業や地域の活動にも関心を持っていきたいと思います。

参加者の声 大学生

尚絅学院大学2年
小坂 舞さん

高校生たちと 共に学んだ2日間

今回のツアーは、現在の宮城県の復興状況や、環境に対する活動について知る良い機会となりました。ディスカッションでは初めてファシリテーターを務めましたが、思った以上に難しく、人の意見をしっかりと聞き、取り入れることの大切さを学びました。

今回の「賛同企業の取り組み」の紙面をPDFで見る

「今でき」ライターのつぶやき

未来の復興・まちづくりを担う若い世代と共に歩いた2日間

昨年の「高校生のためのエコツアー」からあっという間に1年。今年も尚絅学院大学環境構想学科のご協力をいただいて、エコツアーを実施することができました。今年もツアーに同行したライターSが、紙面でご紹介しきれなかった部分をつぶやきます。

宮城・福島県の高校生10人が参加したエコツアー。大学生の6人も同行し、1日目は仙台市宮城野区の沿岸部エリアを回りました。東日本大震災で津波被害を受けた地域では、震災から4年半がたち、どのような変化があったのでしょうか。
まずはキリンビール仙台工場へ向かった一行。仙台工場では震災時、多くの地域住民が屋上に避難し、一夜を過ごしました。工場も大きな被害を受けましたが、その復旧の様子や、避難経路の見直しなど、次の災害への対策を伺い、高校生たちは熱心に話を聞いていました。また、地域住民が避難した屋上へも案内していただき、当時の様子を振り返りました。

キリンが取り組む環境負荷軽減についても話がありました

次に向かったのは南蒲生地区。仮設住宅での生活の中で話し合いを重ね、これからの「まちづくり」に取り組んできました。多くの住民が現地再建・移転再建を果たした今も、地域住民・行政・NPOが一緒になってまちづくりを模索しています。お話しを聞いたほか植樹も体験。木が生長したころ、どんなまちができあがっているのか、楽しみですね。

大きく育つよう願いを込めて植樹

お昼を挟んで向かったのは震災後、養液栽培に取り組む「みちさき」。養液栽培は土を使わずに肥料を溶かした水で栽培するため、津波で塩害を受けた土地でも影響を受けないのが特徴です。高校生たちは葉物の生育状況などを間近で観察し、「新しい農業」について理解を深めていました。

養液栽培の説明を受ける高校生たち

1日目の最後は仙台市が建設した津波避難タワーの見学です。国連防災世界会議でも各国の参加者が見学しました。車いすの方でも避難できるようスロープが設けられたタワーの上まで行き、避難場所にあった組み立て式のトイレや備蓄品を見せてもらったりしていました。

組み立て式トイレを実際に広げてもらいました

2日目。朝から川崎町に向かい、山歩きをしながら「皆伐萌芽更新」について説明を受けました。「あえて木を切ってほかの木の生長を促す」ことに初めは驚きましたが、現場を見て納得。高校生・大学生たちは森を散策しましたが、急で細い道を前に、私は途中で断念してしまいました・・・。山歩きの後は手づくりの水車発電装置も見学し、自然と人との共生についても学びました。

森に入って木の再生能力を目で見て確かめました

大学に戻ってからは、2日間のツアーを振り返り。大学生がファシリテーターとなって、高校生をリードしていきます。感じたこと、疑問に思ったことをそれぞれ付せんに書き、テーマごとにまとめていきました。初めは戸惑っていた高校生たちも、大学生と一緒に考えることで意見を出し合っていたようでした。

長かったようであっという間だった今年のエコツアー。高校生も大学生もびっしりと感想を書いるのが印象的でした。それから、実は昨年のツアーに来た高校生が4月に尚絅学院大学環境構想学科に入学し、今年は大学生として参加していました。今回参加した高校生が「環境」に関心を持ち、環境構想学科に入ってさらに知識を深めてくれるとすてきですね。

なお、エコツアーの様子は尚絅学院大学のホームページにも掲載されています。ぜひご覧ください。

http://www.shokei.jp/faculty/university/environment_planning/information/detail.php?p=25