賛同企業の取り組み2019

2020年01月26日 河北新報掲載 食べて元気にみやぎの復興。

食べて元気にみやぎの復興。
村井県知事からのメッセージ
 宮城県は、肥沃な大地、豊かな森、澄んだ海により、四季折々の多彩で豊かな食材が育まれる「食材王国」です。
 東日本大震災からまもなく9年が経過いたします。令和元年台風第19号の豪雨により、本県も大きな被害を受けましたが、県民の皆様一人一人が「創造的な復興」を実感できるよう、復興の総仕上げ、さらには災害に強い県土づくりに取り組んでまいります。
 生産者の愛情に育まれた食材と加工品をぜひ御堪能いただき、皆様の力で「食材王国みやぎ」の復興を応援していきましょう。

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津波に負けず再生を果たした真っ赤な南国のフルーツ。

果樹栽培と加工品製造 伊藤正雄さん(亘理町)

 豊富な栄養素を持つスーパーフルーツ、アセロラ。気温5度以下では枯れてしまう南国原産のこの果実が、亘理アセロラ園のハウスで鈴なりの実を付けています(収穫期は年に3回)。園主の伊藤正雄さんが、25年前、ブラジルへ行った親戚が持ち帰った10本の苗木で、手探りで栽培を始め、2000年には東京市場に出荷するまでの生産量に達しました。
 加工設備も設け、さらに躍進を見せようとしていた時、震災による津波で壊滅の危機に。悲嘆にくれる暇もなく、身内で片づけを進めていた5月半ば、ハウスの残骸の中に小さな新芽を発見。挿し木で増やす地道な作業を繰り返し、今では3分の2まで生産量を取り戻すことができました。伊藤さんは「慶長津波を乗り越えた先祖のように、忍耐と努力を重ね、農業を続けていければ」と、頼もしい笑顔で語ってくれました。

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ビタミンCを多く含み、甘酸っぱい味わいが口に広がる生のアセロラ。

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伊藤正雄さん、あけみさんご夫妻。

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地域の名産として定番人気を誇る健康飲料の「アセロラで酢」をはじめ、
ジャムや出雲生姜とのコラボレーション商品なども開発。

お問い合わせ

亘理アセロラ園

亘理町逢隈高屋字前原66 TEL.0223-35-3918

https://ryoujisatou.wixsite.com/acerola

◎自宅直売のほか、おおくまふれあいセンター、鳥の海ふれあい市場、オンラインショップ「みんなの亘理」などで販売。

2
海の恩恵を誇りをもって次世代へ受け継ぐために。

カキの養殖 後藤清広さん(南三陸町)

 志津川湾の自然環境を見つめ直し、2016年3月に日本初の二枚貝養殖におけるASC(海洋管理協議会)国際認証を取得した宮城県漁協志津川支所戸倉出張所カキ部会。当初、生産量の減収を危ぶまれましたが、部会長の後藤清広さんによる先導で取り組みが進められ、3年後、良質な一年子のカキを安定的に産出することに成功。そして昨年10月、農林水産祭水産部門で天皇杯受賞に輝きました。
 以前は、過密な養殖環境で、誰もが収穫量を増やすことに専念していた状況でしたが、現在は品質を高めるため、生産者同士が対話を重ねながら現場の改善に邁進。それに若い世代が共鳴し、カキ部会の層も厚くなりました。「若い漁師たちが、カキ養殖にやりがいを得られる場所にしたくて」と語る後藤さんの目は、浜の明るい未来を見据えていました。


第58回農林水産祭の授賞式で贈られた表彰状と賜杯、受賞者名簿。


養殖筏の設置位置をGPSで管理するなど、さまざまアイデアを実現してきた部会長の後藤清広さん。


みやぎ生協「めぐみ野」ブランドのカキとして人気も上々。

お問い合わせ

宮城県漁業協同組合 志津川支所戸倉出張所

南三陸町志津川戸倉字津の宮1 TEL.0226-46-9211

https://umisagozain.com/

◎みやぎ生協各店、オンラインショップ「たみこの海パック」「ポケットマルシェ内後藤海産」などで販売。

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品種の特性とおいしさを見直し地域で愛される定番の野菜に。

野菜の栽培 遠藤淳一さん(東松島市)

 戦前、中国から伝来した種子を浦戸諸島(塩竈市)で栽培したことがルーツという「仙台白菜」。昭和初期まで出荷量日本一を誇りましたが、葉が傷みやすいなどの理由から、改良品種に主流を奪われてしまいました。震災後、JA全農みやぎがその塩害に強い特性に着目し、沿岸エリアで復活プロジェクトを推進。現在では、やもと蔬菜(そさい)組合の組合長、遠藤淳一さんを中心に、東松島市の農家数軒で大切に育てられています。
 昨年11月、遠藤さんが手掛けた仙台白菜が、大嘗祭の献上品に選ばれました。また、この品種ならではのおいしさに惚れ込んだ県外の加工業者からもラブコールを受けるなど、静かに認知度が高まりつつあります。遠藤さんは、「他品種より手間が掛かりますが、より多くの人に食べてもらえれば」と願望を語ってくれました。


宮内庁からの依頼で、自ら仙台白菜を持参しに行ったという遠藤淳一さん。


生で味わうとやさしい甘みを楽しめるので、みずみずしい歯ざわりが味わえるサラダにも最適だそう。


例年の収穫時期は10月下旬〜12月上旬頃。

お問い合わせ

JAいしのまき 営農部 東松島営農センター

東松島市矢本字上河戸25-1 TEL.0225-82-2370

https://www.ja-ishinomaki.or.jp/

◎みやぎ生協各店、ザ・ビッグ各店、JAいしのまき管内の農産物直売所などで販売。

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港町が誇る豊かな水産資源を世界を視野に広く魅力発信。

水産加工品の製造 内海晃一さん・大山智彦さん(女川町)

 長年、鮮魚の冷蔵冷凍事業に携わってきた「石森商店」と、地域の鮮魚店として信頼と実績を積み重ねてきた「岡清」がタッグを組み、2013年に設立された「鮮冷」。女川水産加工団地に展開する本社工場には、細胞を壊さずに冷凍できるCAS凍結トンネルフリーザーなどの導入をはじめ、国際的な食品安全マネジメントシステムFSSC22000の取得、海外研修生の受け入れなど、高い付加価値を生み出すハイレベルな製造現場を実現しています。
「女川の海産物の素晴らしさや食文化の発信を大切にしながら、消費者目線で考えた魅力的な商品開発など、新しいチャレンジをいろいろ実践中です」とは、営業課の大山さん。品質管理を担う内海さんも、「海外への輸出先拡大を目指し、〝女川のうまい! を世界へ〟を合い言葉に、もっとチャンスを広げていきたいですね」と意欲十分です。


常温で長期保存が可能な上、電子レンジで温めるだけという手軽さもうれしい「金華さばの水煮」。


徹底した衛生管理の下、活気にあふれている工場内。


品質管理室室長の内海晃一さん(写真左)営業課課長の大山智彦さん(右)。

お問い合わせ

株式会社 鮮冷

女川町石浜字高森25-1 TEL.0225-25-5100

https://www.onagawa-senrei.co.jp/

◎仙台駅2階・東北めぐり いろといろ、藤崎、明治屋仙台一番町ストアー、地元市場ハマテラス、鮮冷オンラインショップ「女川さかな手帖」などで販売。

みやぎの食のために、今できること。賛同企業の取り組み。

絆のテーブルを囲む仲間たちと新しい東北の創生へ

キリングループ

 キリングループは、2011年の東日本大震災以降、グループ各社が一体となって復興支援活動「キリン絆プロジェクト」に取り組んできました。2019年からは、新たな取り組みとして、プロジェクトの支援先に加え、東北応援の志を共にするパートナー企業も加えて発展させた「東北絆テーブル」を発足させました。キリングループは、「テーブル」を囲む仲間から生まれる“つながり”が東北の魅力を、日本、そして世界へと広げていけるようチャレンジしていきます。

キリングループ
昨年11月に開催した「東北絆テーブルカンファレンス2019」の模様

海外も視野に販路拡大を目指す東北発の食ブランド

みやぎ生協・株式会社東北協同事業開発

 2015年に震災復興と東北地方の経済活性化(主に販路拡大)を目的に「古今東北」ブランドを立ち上げ販売開始しました。「古今東北」の商品は東北のポテンシャルが秘められた商品ばかりです。その想い「良し」とするリピーターが増えることで、作り手の収入が安定し、雇用や収量の拡大につながります。そのような取り組みが評価され「令和元年地産地消優良活動表彰」食料産業部門「農林水産省食料産業局長賞」を受賞しました。今後も「古今東北」は作り手の皆さんを応援していきたいと考えています。

みやぎ生協
現在は、約175品目まで拡大した「古今東北」ブランドの商品

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