賛同企業の取り組み2020

2021年02月28日 河北新報掲載 食べて、元気に、みやぎの復興。

食べて、元気に、みやぎの復興。

みやぎの食で復興を実感

村井県知事からのメッセージ

 宮城県は、肥沃な大地、豊かな森、澄んだ海の恵みにより、四季折々の多彩で豊かな食材が育まれる「食材王国」です。
 東日本大震災からまもなく10年が経過いたします。新型コロナウイルス感染症の拡大により、本県の食産業には大きな影響が生じておりますが、感染症対策に万全を期しながら、復興完遂とその先の更なる躍進を目指してまいります。
 生産者の愛情に育まれた食材と加工品をぜひ御堪能いただき、皆様の力で「食材王国みやぎ」の復興を応援していきましょう。


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水害に負けず丸森農家の技と誇りをもって豊穣の明日へ。

米作りー小野 良則さん(丸森町)

 一昨年10月の台風19号による冠水で、甚大な被害を受けた丸森町。かつてこの地で盛んだった養蚕の歴史とも深い関わりがある名産のコシヒカリを育む土壌にも、深刻な影響を与えてしまいました。「田んぼに流れ込んだ氾濫水の成分によって、土質が変わってしまいました。詳しい成分分析を実施して、土壌回復を目指すのが急務です」と意気込むのは、丸森町産直ふるさと米部会の小野良則部会長です。
 みやぎ生協と地域の生産者が「めぐみ野米」に取り組んで30年以上。試行錯誤を繰り返して品質向上を実現した先輩たちの姿を思い浮かべながら、「丸森では、これが当たり前の米の作り方になりました」と語ります。そして、「より栽培しやすい品種もありますが、丸森ではコシヒカリのおいしさにこだわっていきたいんです」と、強い意志を示してくれました。

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生産者が店舗の売り場に立ち、消費者の生の声を聞くことがモチベーションになると語る小野良則さん。

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丸森小の子どもたちが、米作りを学ぶ場となっている小野さんの水田
めぐみ野ブランドのコシヒカリは、県外の人からも人気が高く、贈り物にする組合員も多いそう。

お問い合わせ

みやぎ仙南農業協同組合

柴田町西船迫1-10-3 TEL.0224-55-1590

https://www.ja-miyagisennan.jp/

◎みやぎ生協各店で販売

2
同じ理想を持つ地元企業の知恵を結集した石巻の新ブランド。

加工食品の製造ー平塚 隆一郎さん(石巻市)

 石巻市内の食に携わる10社が手を結び、高い付加価値を持つ共同ブランドの商品を製造、販売するために設立された石巻うまいもの株式会社。その立ち上げの先頭に立ったのが、山徳平塚水産株式会社の平塚隆一郎社長です。「独自のノウハウや販路を持つ者同士が知恵を出し合う関わり方が、良い結果を生んでいます」と、成功の理由を語ります。
 新商品のアイデアを実現するために、各社の設備や加工技術をシームレスに活用する独自のシステム「バーチャル共同工場」を考案。キリン絆プロジェクトや復興庁などの支援を得ながら開発を進めた石巻金華茶漬けシリーズは、現在も好セールスを続けています。今後は、「パスタソースやパエリアの素など、家庭で気軽に味わえる洋食の分野でラインアップを広げていきます」と、新たな展開についても教えてくれました。


釜飯やふりかけなど新アイテムが続々と登場している「石巻金華シリーズ」。


日本中の魅力的な小規模食品会社の発掘やコンサル業務にも意欲的な平塚社長。


「石巻おでん」など各社自慢のアイテムがズラリと取り揃う石巻うまいものマルシェの店内。

お問い合わせ

石巻うまいものマルシェ

石巻市魚町2-12-3石巻市水産総合振興センター1F(石巻魚市場前) TEL.0225-25-4363

https://umaimono-ishinomaki.com/

◎石巻うまいものマルシェ、東北自動車道SA、仙台駅お土産売り場などで販売

3
浜の伝統を受け継ぎながら漁師の未来を広げていくために。

漁業ー小野寺庄一さん(気仙沼市)

 船のへさきに立ち、5メートルに及ぶ銛〝突きん棒(つきんぼ)〟で巨大なメカジキを仕留める三陸伝統の漁法。気仙沼市唐桑町の漁師・小野寺庄一さんは、その技を受け継ぐ貴重な担い手の一人です。
 突きん棒漁は7〜9月と漁期が限られ、冬から春にかけてはワカメ養殖がメイン。さらに最近では、大型魚の活餌になるカタクチイワシ漁にも着手しました。「浜の高齢化が進んでいるので、漁師の仕事が収入面でも働きがいがあるものだと、地元の若い人たちにアピールできるようにしたくて」と話します。また、幼稚園の子どもたちに地元の海産物を知ってもらう食育にも熱心で、「目の前で魚をさばくと、尊敬の眼差しを集めるんですよ」と照れ笑い。「これからの漁師は、魚を獲るだけじゃなく、その先の販路についても考えなければいけない。そのために、より多くの仲間を募っていきたいですね」と語ってくれました。


ワカメ養殖で活躍する漁船の上で、養殖縄の巻き揚げ機について説明する小野寺さん。


地元小学校で、メカジキ漁について学ぶ特別授業の講師も務めているそう。


春直前の限られた時期にしか味わえない、唐桑産メカブの千切りがたっぷり詰まった「春つげ華めかぶ」。

お問い合わせ

漁徳水産

気仙沼市唐桑町鮪立174 TEL.0226-32-3915

◎鶴亀食堂ショッピングサイトなどで販売

4
地域資源に新たな可能性を求めより多くの人に愛される農産物を。

野菜栽培と農産加工品の製造ー高橋博之さん(大崎市)

 大崎市岩出山の里山で、お米や野菜などを手がけるよっちゃん農場の高橋博之さん。畑の主役という無農薬栽培のトウガラシを使ったオリジナルの醗酵調味料「よっちゃんなんばん」シリーズは、古くから醗酵文化が培われてきた岩出山の新たな魅力として、ますます人気を高めています。
 最近、先輩農家から教えを請い、6、7人の若手で挑戦しているのが伝統の竹細工。「竹林に入って材料を切り出し、竹ひごから手作りするので難易度が高く、脱落者も多いんです」と苦笑い。さらに、竹林整備によって得られるタケノコの活用にも情熱を注いでいます。「先日、仲間を募って〝竹やぶ会議〟を開き、そこで国産メンマを作るアイデアが生まれました。味付けのバリエーションなどを考えながら、販路開拓中です」と意気込みたっぷりに、現在の取り組みについて教えてくれました。


加工品の製造やお弁当づくりが行われている自宅隣接の調理場。


お手製の竹かごには、おなじみの「よっちゃんなんばん」と新商品「切り干し醗酵国産メンマ 竹之芯」。


茅葺き屋根の下で、奥様の道代さんと。会話に笑いが絶えない素敵なご夫婦です。

お問い合わせ

よっちゃん農場

大崎市岩出山上野目字曲坂45 TEL.0229-72-3718

http://nanban.jp/

◎あ・ら・伊達な道の駅、カフェTWASEMON、大崎市観光物産センター「DOSO土蔵」などで販売

みやぎの食のために、今できること。賛同企業の取り組み。

全国を視野に販路拡大を目指す東北発の食ブランド

みやぎ生協・株式会社東北協同事業開発

 2015年に震災復興と東北地方の経済活性化(主に販路拡大)を目的に「古今東北」ブランドを立ち上げ、販売をスタートしました。「古今東北」商品は、東北のポテンシャルが秘められた商品ばかりです。その想いを「良し」とするリピーターが増えることで、作り手の収入が安定し、雇用や収量の拡大につながります。そのような取り組みを若い層にも認知してもらえるように宮城学院女子大学と「連携協力に関する協定」を締結しました。今後も「古今東北」は作り手の皆さんを応援していきます。

キリングループ
登録済み開発商品数は212品目に(2020年12月現在)

地域や業種を超えてパートナーシップを結ぶ新たな場を

キリングループ

 キリングループは東日本大震災の発災以降、速やかにキリン絆プロジェクトを立ち上げ、復興の応援を続けてきました。2019年には、支援先の方々に加え、東北応援の志を共にするパートナーの皆さんも加えて、新たに『東北絆テーブル』を立ち上げ、東北の今、そして未来を応援しています。2021年には、この『東北絆テーブル』を法人化し、活動をさらに進化させます。キリングループは、この『テーブル』を囲む仲間と共に、東北の魅力を、全国そして世界へ発信していきます。

みやぎ生協
東北の人々が集い、語らうテーブル(場)を表現したロゴデザイン

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