「打ち上げ、スルーします」
最近、特に若い世代の間で流行っている表現です。「参加しません」「欠席」と言わないで「スルーします」と。それが大人の皆さんにも伝播し「悪いけど今度の会、私スルーするわ」と気品漂う高齢女性が電話口で話すのを耳にしたことがあります。
「スルー」とは何か? 英語の through に間違いない...
綴(つづ)り、発音とも難しい語に属します。主な意味は「~を通って」「~を抜けて」です。たとえば、go through a tunnel と言うと、「トンネルを通り抜ける」。何となく日本語の「するり」と似ていませんか?
「新年会スルー」というのは「会を通り抜ける」→「案内・知らせを受け流す」→「欠席する」ということでしょう。
さて、Drive-thru(ドライブスルー)という表示をファーストフード店などで見かけますが、この thru は through を省略した形で、カジュアルな場面などで使われます。書籍や仕事上の文書ではほとんど使用されません。
ひと昔までは、手を交差させて「パス」と言っていましたが、最近はこの「スルー」に取って代わられた感があります。
さて、皆さんは「ブレイクスルー」というカタカナ語をご存知でしょうか。これは breakthrough という長い英単語で「(難関の)突破口、打開策、(貴重な)新発見」などを意味します。break + through で、文字通り「(限界や困難などを)打ち破る」から由来します。
最後に、この through とよく似た語を。
though です。「ゾー」のような発音で「~だけれども」「~にもかかわらず」といった意味を表します。
Though he is young, he is very dependable.
「若いが頼みになる人だ」
大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)