コラム:Go To トラベル

 政府の観光支援事業「Go To トラベル」を巡って、さまざまな意見が飛び交っています。先週17日には東京都の対象除外が決まり、東北の知事や市長からは「見直しは当然」との声が相次ぎ、地方によっては実施自体を「時期尚早」とする発言も見られました。

 「観光」については、わが石巻は過酷な状況に置かれています。4月、恒例だった豪華客船来航が中止となったのを皮切りに、内外の観光客が途絶え、宿泊施設や飲食店をはじめ関連する多くの業種の方々が大打撃を受けてきました。

 「首都圏をはじめ各地域からぜひ石巻に!」と思う一方で、「感染が広がったら」という不安が頭をよぎります。読者の皆さんも同じような思いでしょう。

 さて、本欄ではその是非を論じるのではなく、このキャンペーンの名称「Go To トラベル」について一言述べてみたいと思います。

 " Go To ~" は今では子どもでも知っている英語です。「トラベル」" travel "(旅行、旅行する)もそうでしょう。でも、各種メディアでこの言葉が毎日のように流されると、" Go to travel " で「旅行に行く」と小中学生の頭にすり込まれるのではないかと、英語教育に携わってきた私などは不安に思ってしまうのです。

 英語で「旅行に行く」は通常 " go on a trip / journey " です。または " go traveling " などと表します。私の知る限り " go to travel " とはほとんど言いません。travel は「A地点からB地点に移動する」という意味だし、to の後には目的地が来るのが普通です。

 現に、ネット上では「これは和製英語で英文法として完全に誤りである」とする書き込みも見受けられます。「キャンペーン用語に目くじらを立てるんじゃない。英語教師の悪い癖だ」という声がどこからか聞こえてきますが、やはり気になることではあるのです。

 皆さんはどうお考えでしょう?

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)