「大統領」は英語の「 President (プレジデント)」を日本語に訳したものと言われています。 president はラテン語の pre (前に)+ sidere (座る)に由来し、「人々の前に座る=議長をする、司会をする」という意味です。米国では1787年の憲法起草時に「アメリカ合衆国大統領」という職名として President という語が初めて採用されました。
1853(嘉永6)年、ペリーはフィルモア大統領の親書を携えて浦賀に来航しました。ご存じのように、大統領は選挙によって選ばれますが、日本には選挙で民主的に選ばれた権力者がいなかったこともあり、ぴったり当てはまる日本語が見つかりませんでした。
肩書として用いられる時には「 the President 」と P を大文字に、また呼び掛けには Mr. President と言います。
共和制の国々ではトップの人間を President と呼びます。フランス大統領のエマニュエル・マクロン( Emanuel Macron )などはその一例です。
制度の違いがこのようなところにも表れているのですね。 Mr. President などと気軽に呼べるのは仰々しくなくて、ある意味ではうらやましい限りです。
言葉の由来の「人々の前に座る」というラテン語からすれば、大統領は威厳と共にいつも人々に寄り添った存在であることが見て取れます。「大統領」は身近な存在なのですね。
大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)