コラム: gift と present

 今年も Christmas がやってきます。日本には元々ないものですが、今や国民的行事になってきました。贈り物をやったり取ったりする習慣は日本にもありましたが、それは静かなやりとりで、 Christmas のように人と人の間に「神」が存在するものではなかったように思われます。

 英語には「贈り物」を表す言葉は二つあります。 gift と present です。これについて考察してみましょう。

 まず gift 。これは「与える」を意味する動詞 give の名詞形とでも言いうるものです。アメリカの短編作家オー・ヘンリー( O.Henry )の代表作に「 The Gift Of the Magi 」というのがあり、「賢者の贈り物」として日本でも広く知られています。

 新約聖書の、東方の聖者がキリストの誕生を祝って貢ぎ物を持ってきたエピソードを下敷きに、贈り物をめぐる行き違いを描いたものです。貧しい夫婦がお互いを思いやり、最も大切なものを犠牲にして贈り物をし合う物語です。一見無駄に見える贈り物が、実は最も賢明な愛の行為であったと結ばれています。

 そう言えば天分のことを「天賦の才」とも言いますよね。 gift はこれに近い言葉です。

 present は「現在」という意味も表します。「今、目の前に差し出す」という点で gift と一脈通じるものがあります。

 今年も本コラムを読んでいただき、ありがとうございます。どうか良き年をお迎えください。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)