俳句(3/15掲載)

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【石母田 星人 選】


凍星を睨み返して震災忌   石巻市二子/小松道男

【評】俳句は抒情(じょじょう)詩。抒情は、対象物に触れ感情の高まる時と静まる時に起こる。抒情を直接言わないで表現の裏に潜ませて書くのが俳句。「睨(にら)み返して」に潜むのは怒りの抒情。感情を抑えてきた我慢の日々。怒りがひょっこり顔を出して、こうして詩になった。


寒明けて宙を返すやインパルス   石巻市丸井戸/水上孝子

【評】寒明けの大空を飛行するブルーインパルス。一糸乱れぬ様子が分かる「宙を返す」の表現が巧み。


天上へ潔しかな揚雲雀   東松島市あおい/木皿ゆきこ

【評】急逝した友へとあった。鳴きながら真っすぐ舞いあがってゆくヒバリ。友人は高潔な人だった。


耀きて命沸き立つ春の海   石巻市門脇/佐々木一夫

胸に刻む万里の波濤震災日   石巻市元倉/小山英智

花咲かせ皆を弔う日和山   石巻市新館/高橋豊

里山に笛吹童子春を告げ   石巻市向陽町/大渡清

さりさりと粉雪呑むや井戸の闇   東松島市矢本/田舎里美

枯木星老眼によく沁み入りぬ   石巻市駅前北通り/小野正雄

限界へアスリート今風光る   石巻市小船越/堀込光子

薄氷や煙たなびく凪の朝   東松島市赤井/志田正次

枯蘆原鳥飛び込んで行ったきり   石巻市桃生町/西條弘子

風花や異国のやうな森に入る   石巻市中里/川下光子

春光や旅立つ君の眼の強き   石巻市流留/和泉すみ子

片言の言葉をうける犬ふぐり   石巻市桃生町/佐藤俊幸

スタンプのなきパスポート西行忌   松島町磯崎/佐々木清司

政宗もこらえながらに伊予蜜柑   多賀城市八幡/佐藤久嘉

廃屋の社名透かして蔦枯るる   石巻市流留/大槻洋子

何気なく春めく山を見てうたふ   石巻市小船越/芳賀正利

湯治湯の客もまばらに斑雪   石巻市湊/斎田流雲

方形の苔土立たせ臥竜梅   石巻市開北/ゆき

散髪のあとの襟足冴返る   石巻市広渕/鹿野勝幸

煮凝に熱き湯を差す浜育ち   石巻市蛇田/石の森市朗

佐保姫も花柄たもと振る明日   石巻市渡波町/小林照子

春寒しマルコポーロといふ紅茶   東松島市矢本/菅原京子