俳句(5/10掲載)

  • 投稿日:
  • by
  • カテゴリ:

【石母田 星人 選】


病む妻に治りの兆し山笑ふ   石巻市新館/高橋豊

【評】「治りの兆し」を感じて少し安心した作者。窓の外を見ると、山々が芽吹きの色に染まっていた。回復への期待と、明るい春が一気にやって来た。


こひのぼり重さなき影およぎをり   東松島市あおい/大江和子

【評】子どもの健やかなる成長を願うこいのぼり。この句、青空を背景に泳ぐ姿ではなく、大地に映った影を描写したところに独自性が見える。中七の「重さなき」からは、何にも縛られない元気な姿が浮かぶ。


老ゆる街うごかぬ日々の飛燕かな   石巻市丸井戸/水上孝子

【評】「老ゆる街うごかぬ日々の」は作者の心象。その静止した空間を切り裂いて飛ぶツバメが印象的。


三陸の海みて暮らす佛の坐   石巻市蛇田/石の森市朗

薄き陽や覇者のごときに仏の座   東松島市矢本/田舎里美

手のひらに命の重さ落椿   石巻市門脇/佐々木一夫

種牛の像に黒黒春日かな   多賀城市八幡/佐藤久嘉

春の星余韻を連れて歩きけり   石巻市二子/小松道男

啄木忌暫し里山仰ぎ見る   石巻市元倉/小山英智

風光る海越え届く旅葉書   松島町磯崎/佐々木清司

放棄畑万にも及ぶ草若葉   石巻市桃生町/佐藤俊幸

震災と日和の山や花明かり   石巻市湊/斎田流雲

風強き大河上空燕飛ぶ   石巻市小船越/芳賀正利

石段の孤島海猫とびはじむ   石巻市流留/大槻洋子

道端に小さな澱み花筏   石巻市流留/和泉すみ子

野辺送る山路や落花とめどなく   石巻市桃生町/西條弘子

海中にひじき漂ふ浦の昼   石巻市中里/川下光子

春愁や爪弾くボサノバ サウダージ   東松島市赤井/志田正次

春愁や細かき文字の契約書   石巻市小船越/堀込光子

不意と出て妻は庭先草むしり   石巻市広渕/鹿野勝幸

通院日木蓮の白際立ちて   東松島市矢本/菅原京子

春風を自転車に積み買物に   石巻市駅前北通り/津田調作

ルンルンとデイの身支度猫の恋   東松島市野蒜ケ丘/山崎清美

静けさにどっぷりつかる春の朝   塩釜市新浜町/佐々木夏子

太陽に誘われフワーッとしゃぼん玉   石巻市渡波町/小林照子