俳句(7/19掲載)

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【石母田 星人 選】


岳下りるゆとりの道に額の花   多賀城市八幡/佐藤久嘉

【評】たくさんの額の花に迎えられて一安心。読む者にも広く緩やかになったゆとりの道が見えてくる。


マンションに積木の灯り星祭   松島町磯崎/佐々木清司

【評】晴天ならば今日の夕刻、西空には月と金星が見え、東空には、わし座の彦星と、こと座の織り姫が見える。七夕まつりは、あの二星の天上の恋物語だ。地上へ目を移すと人間のともす四角い灯り。その一つ一つのぬくもりが、星の物語と呼応して響き合う。


梅雨明や売場を走る掃除ロボ   石巻市蛇田/石の森市朗

【評】「走る」に注目。この動詞で無機質なロボに人格が備わる。梅雨明けの明るさを楽しんでいる。


紫陽花や釉薬重ね窯の中   石巻市新館/高橋豊

梅雨出水怒濤となりて山動く   東松島市あおい/大江和子

竹林の枝葉を揺らす風は初夏   石巻市小船越/芳賀正利

吹かれ寄る風の匂ひの竹落葉   石巻市桃生町/西條弘子

白日傘都会の匂ひ纏ひけり   石巻市流留/和泉すみ子

秘境駅旅のノートに青しぐれ   石巻市向陽町/大渡清

一輪の手折りしバラの雫かな   石巻市中里/川下光子

オリーブのつぼみへ朝の遠回り   石巻市流留/大槻洋子

珈琲の湯気の向こうに迎え梅雨   東松島市赤井/志田正次

思い馳せ日和の城に梅雨の雷   石巻市湊/斎田流雲

一升餅背負いて笑う梅雨晴間   石巻市渡波/伊藤奶奶

はたた神しっかりしろというように   東松島市野蒜ケ丘/山崎清美

獲れたての何もかけずに夏料理   石巻市桃生町/佐藤俊幸

小猫抱く路地の陰りの梅雨寒し   石巻市元倉/小山英智

磯香る殻の風情や海鞘の味   東松島市矢本/田舎里美

痩せさんま腸まで食べてほろ苦し   石巻市渡波町/小林照子

夕影やニラのするどき芽の伸びる   石巻市駅前北通り/小野正雄

飛び込んで燕の内覧ホバリング   石巻市小船越/堀込光子

初飛行つばめ集まり祝い舞   石巻市二子/小松道男

蛍舞ふ流れの淀の清らかさ   石巻市水押/阿部磨

磯浜でひじき刈りをる老夫婦   女川町旭が丘/阿部重夫

稽古終えしだれ桜の寺参道   石巻市桃生町/西條和江