コラム: クレオパトラ

 映画「クレオパトラ」(1963年公開)を見ました。20世紀フォックス社の製作でしたが、初期予算の数十倍に膨れ上がった巨額の製作費などにより、重大な経営危機に見舞われました。

 莫大な予算超過とセットの作り直し、および主演女優エリザベス・テイラーの重病による撮影中断や、共演したリチャード・バートンとの不倫スキャンダルが過熱し、脚本の変更や撮り直しを余儀なくされました。

 オードリー・ヘプバーンも主演女優候補でしたが、最終的にテイラーに決まりました。撮影中断の際には再び、ヘプバーンが代役候補に挙がりましたが、重病を克服したテイラーが最後まで主役を務めました。

 テイラーの素晴らしさはその人物にあると思います。マスク、声、一挙手一投足...。どれも魅力的なものです。これはテイラー独特のものです。

 「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、世界の歴史は変わっていただろう」。フランスの哲学者パスカルの著書「パンセ」に登場する有名な言葉で、「ささいな出来事や些細な条件の違いが、後にとてつもなく大きな結果(歴史など)を生み出すこと」の例えとして使われます。

 共演のリチャード・バートンで忘れられないのは Under Milkwood (アンダー・ミルクウッド/ミルクウッドの下で)の朗読です。ウェールズの詩人ディラン・トマスが書いたラジオドラマ・放送詩劇です。

 ある架空の海辺の村に住む、少し変わった人々の「ある1日」を描いた物語です。人々の夢や日常の生活が、詩的で美しい言葉でつづられています。

大津幸一さん(大津イングリッシュ・スタジオ主宰)