俳句(8/16掲載)

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【石母田 星人 選】


沢水のせせらぎ聴こゆ木下闇   石巻市新館/高橋豊

【評】うっそうと茂る夏の樹々。その暗さの奥から沢水の音が聴こえてきた。聴覚で涼を感じた作者。


草刈機陽の猛りをもからめとる   東松島市矢本/田舎里美

【評】草刈機が「陽の猛り」を刈った。草と一緒に刈られるものもあったのだ。刈る対象は草だけという常識からの脱出がこうして新たな発想を生んだ。この句は、草刈りを終えた後の清々しさをも表している。


はるかなる海の青さや沖縄忌   石巻市駅前北通り/小野正雄

【評】沖縄の海の青には感動する。あの青さが重い歴史を抱えていることも、決して忘れてはならない。「ひめゆり平和祈念資料館」での作句なのだろう。


平和あることのうれしさ終戦日   石巻市広渕/鹿野勝幸

戦語る翁よ梅雨の明けにけり   石巻市桃生町/西條弘子

八月来つつがなきこと祈るのみ   東松島市矢本/菅原京子

顔に汗深き夢みる園児かな   石巻市小船越/芳賀正利

悠久の川の流れと夕焼と   石巻市蛇田/石の森市朗

潮満ちて波間に眩し大夕焼   石巻市元倉/小山英智

秋田犬に日傘の顔をのぞかるる   石巻市流留/大槻洋子

ひからかさいつものかほのあらはるる   石巻市丸井戸/水上孝子

人消えて自販機通り夏の月   松島町磯崎/佐々木清司

震災の話をそらしサングラス   東松島市野蒜ケ丘/山崎清美

世の憂さを全部呑み込む蝸牛   石巻市のぞみ野/阿部佐代子

山肌に爪跡深く夏あらし   石巻市門脇/佐々木一夫

羽広げ尾を振り雨の夏つばめ   石巻市小船越/堀込光子

夏の空仁王のごとき大鳥居   石巻市向陽町/大渡清

磁器碗に水琴窟の音夏来る   石巻市開北/ゆき

あの娘だれひろがりてゆく踊りの輪   石巻市流留/和泉すみ子

墓参りそっちはどうと麦茶つぐ   石巻市渡波町/小林照子

家並みをすっぽりつつむ夏の霧   塩釜市新浜町/佐々木夏子

夏落葉ゆっくりゆっくり下る坂   石巻市湊/斎田流雲

寄り道の畑はいつも青芒   石巻市桃生町/佐藤俊幸

柔らかに青葉の風が頬なでる   石巻市中里/須藤清雄

きゅうりもみ去年まで母今年我   石巻市前谷地/砂金静枝