河北新報特集紙面2021

2022年3月30日 河北新報掲載 
復興の現場に立った中学生記者が伝え継いでいくために。

復興の現場に立った中学生記者が伝え継いでいくために。

秀光中学校

秀光中学校

秀光中学校

 秀光中の10人は、昨年10月2日に岩沼市を訪問。下野郷地区の「千年希望の丘」で、語り部の渡邉良子さんのガイドによる視察を行いました。「岩沼みんなの家」では、運営団体の代表理事、谷地沼富勝さんに、農業を通じた地域交流について取材。さらに、仙台国際空港を見学し、施設営業部の木村昭仁さんと管理部の高山東志江さんから、空港施設の被災から再開までの歩みを聞きました。
 取材後、3チームに分かれて原稿制作に取り組み、各々の意見をまとめて記事が完成。伝承新聞発行後の2月18日に、その成果を在校生に向けて発表しました。中学生記者は宮城野校舎にある講堂のステージに立ち、スクリーンにスライド資料を投影しながら説明。その模様をビデオカメラで中継し、各教室のモニターで在校生たちが視聴しました。最後に伝承新聞を掲げて記念撮影。その顔は誰もが、達成感の笑顔にあふれていました。

秀光中学校
千年希望の丘で津波到達の高さを実感

秀光中学校
空港の災害対策について熱心に取材

秀光中学校
講堂のステージ上で成果の発表

秀光中学校
教室で発表を視聴する在校生たち

秀光中学校

中学生記者 
菊地 怜香さん(3年)
 発表用の資料を作ったことで再度取材を振り返ることができ、語り部の渡邉さんが伝えたいメッセージの理解がより深まったと感じています。この取材は、自分の命を第一に考えて避難することの大切さを学んだ機会になりました。

秀光中学校

発表会参加者 
永井 凛太朗さん(3年)
 被災した方に話を聞きたくてもなかなか難しいと感じているので、中学生記者が現地で話を聞いて体験したこの取り組みは、とても貴重なものになったのだと思いました。そこで何を学び、これから何をすべきかを考えた発表の内容も聞けて良かったです。

仙台市立宮城野中学校

仙台市立宮城野中学校

仙台市立宮城野中学校

 昨年10月17日、宮城野中2年生9人が向かったのは宮城県山元町立山元中学校。やまもと語りべの会 渡辺修次会長の案内で、避難所となった旧山下中校舎を見学しました。震災遺構中浜小学校では、同会メンバーで元校長の井上剛さんが語る被災時のエピソードに耳を傾けました。名産のホッキガイ漁が盛んな磯浜漁港では、宮城県漁業協同組合仙南支所の岩佐敏運営委員長の元を訪ね、漁業再開までの苦労や今後の展望について聞きました。
 渡辺会長らの言葉をつぶさに書きとめ、震災遺構を真剣な眼差しで見つめていた9人は、現地の情景を織り込みながらそれぞれの感想で結ぶ記事を書き上げました。そして、3月11日に校内で発表会を開催。こちらも、発表の模様を中継し、在校生がリモート環境で視聴しました。発表を終えた生徒たちの表情は、中学生記者としての責務を遂げた充足感に満ちていました。

仙台市立宮城野中学校
被災時の中浜小について語る井上さん

仙台市立宮城野中学校
ホッキガイ漁の現状について聞き入った

仙台市立宮城野中学校
リモート中継による発表会を実施

仙台市立宮城野中学校
他のチームの発表を聞く中学生記者たち

仙台市立宮城野中学校

中学生記者 
今野 雄弥さん(2年)
 この取材の中で、日頃の対策の重要性、災害発生時に的確な判断をするための心構え、漁業の復興はどのように行われてきたのかなど、たくさんの事を学びました。これを自分の中だけで終わらせず、周りの人にも伝えていきたいと思っています。

仙台市立宮城野中学校

発表会参加者 
植村 柚香さん(2年)
 発表を聞いて、非常時には仲間と協力することが大切だと気づかされました。いざという時、周りの人々との助け合いが、命を守ることにつながると分かりました。私も大きな災害時には、仲間と協力しながら避難をしたいと思います。

尚絅学院中学校

尚絅学院中学校

尚絅学院中学校

 昨年10月23日、尚絅学院中2年生9人の中学生記者は宮城県女川町を訪れ、女川いのちの石碑プロジェクト実行委員会の鈴木智博さんにインタビューを行いました。女川町まちなか交流館では、みなとまちセラミカ工房代表の阿部鳴美さんの指導でスペインタイルの彩色にもチャレンジしました。女川みらい創造株式会社の代表取締役社長を務める阿部喜英さんの話も聞くことができ、震災後の街づくりに関して詳しく知ることができました。
 女川町のキーパーソンたちに、熱心に聞き取りを行う姿が印象的だった尚絅学院中の中学生記者。そんな一生懸命取り組んだ取材活動や女川町における復興の現状を伝える発表会を3月5日に実施。校舎に隣接する礼拝堂には中学生全員と保護者が集まり、中学生記者たちの話に耳を傾けました。すべての発表が終わった時、その大きな成果に対して、会場から盛大な拍手が送られました。

尚絅学院中学校
石碑を建てる意義を語る鈴木さん

尚絅学院中学校
スペインタイルの彩色に挑戦

尚絅学院中学校
礼拝堂に集まった中学生全員と保護者

尚絅学院中学校
シーパルピア女川の街づくりに関して発表

尚絅学院中学校

中学生記者 
天野 友里恵さん(2年)
 震災当時、海から遠い地域に住んでいたので、この取材では被災地に足を運んで初めて知ることがたくさんありました。発表会ではカラフルで明るい女川のイメージを伝えられるよう、色遣いや臨場感を工夫し、資料を作成しました。

尚絅学院中学校

発表会参加者 
馬場 泰樹さん(2年)
 被災地にただ足を運ぶだけでは分からない、石碑や刻まれたメッセージに込められた意味を知ることができて良かったです。津波だけでなく、土砂崩れや川の氾濫などにも気を付けようと防災意識が高まりました。

「震災伝承新聞」は、宮城県内約160の中学校へ配布したほか、 東北の震災伝承施設、宮城県外の災害に関する研究を行う大学や団体、東京都・池袋「宮城ふるさとプラザ」、愛媛県今治市の菊間中学校などにも配布しました。
震災伝承新聞の送付をご希望の学校、団体、施設等は事務局までお問い合わせください。

[お問い合わせ]
今できることプロジェクト事務局(河北新報社営業部)
tel 022-211-1318(平日10:00〜17:00)