河北新報特集紙面2021

2022年3月30日 河北新報掲載 
復興の現場に立った中学生記者が伝え継いでいくために。



今できることプロジェクト

秀光中学校

今できることプロジェクト
市川 奈那夏 さん(3年)
 今回私は、地元野菜の販売をしたり、ランチ営業をしたりする施設「岩沼みんなの家」を取材しました。施設の運営法人代表理事、谷地沼富勝さんは震災のときの避難所でのさまざまな経験を踏まえ、多くの人たちに災害について知ってほしいという思いで、私たちの取材を受けてくれました。震災後、被災地で支援先を探していたIT企業担当者に「将来について地域の人たちと話し合う場所がほしい」と申し出たそうです。谷地沼さんの話を聞いたとき、自分の思いを形にすることがすごいと思いました。つらい震災経験を発信することの大切さも学びました。
今できることプロジェクト
大場 直路 さん(3年)
 私が今回、被災地に行って学んだことは地震と津波の威力です。建物は流されてしまっていて、マンホールも地面の液状化現象などで浮き出ていました。テレビなどの映像でしか見ていなかった自然災害のすさまじさを実感できました。震災に対する考え方も変化しました。「まずは自分の命を守ろう」と思いました。日頃の備えも大切だと思いました。仙台空港で取材した時に対策を聞いたところ、震災時に足りなかった毛布やおむつ、食料や水などの備蓄を強化したと話していました。地震が起きたときのことを想定し、自分でも備えをしようと思いました。
今できることプロジェクト
菅野 美月 さん(2年)
 私は東日本大震災当時3歳で、ほとんど記憶はありません。そのため、震災が起きたとき何をするべきか学ぼうと思い、プロジェクトに参加しました。「岩沼みんなの家」の谷地沼富勝さんらが震災時、どのように行動したのかを取材しました。消防団員は行方不明者の捜索、水道業者はライフラインの修復など、各自ができることに取り組んだそうです。地域コミュニティーがあったからこそできたことで、人と人とのつながりの大切さを感じました。不安や怖さでいっぱいの中、行動するのは難しいと思います。震災に遭ったときは復興への一歩を踏み出せる人になりたいです。
今できることプロジェクト
菊地 怜香 さん(3年)
 私はこのプロジェクトを通じて、たくさんの人たちの協力がなければ復興はできないことを知りました。「千年希望の丘」の植樹活動に参加したボランティアは4万3000人に上るそうです。私はボランティア活動をあまりしたことがないのですが、今回学んだことを生かし、人の役に立てるようボランティア活動を積極的に行いたいと思いました。ボランティアはできなくても、震災のことを知って応援したいという気持ちがあるだけでも十分復興につながると思います。機会があったら「希望の丘」に行き、震災のことをもっと詳しく知ってほしいです。
今できることプロジェクト
京増(きょうそう) 瑠価 さん(3年)
 岩沼では沿岸部に大規模な植樹をしたり、高さ10メートルを超える丘を造成するなどして、津波の威力を緩和する取り組みを行っています。「みんなの家」は震災の出来事を多くの人々に伝え、これからどうするか考えるためにつくられました。そこで私は自分自身で何ができるのか考え、二次被害を避けることが大事だと実感しました。また災害が起こる前から家族などと安否確認ができるよう、連絡方法と待ち合わせ場所を決め、友人や同僚とも互いの安否を確認し合うようにしておくとよいと思いました。私は今回のインタビューを通じて、情報共有をすることが大事だと学びました。
今できることプロジェクト
国本 鈇烈(ふれつ) さん(3年)
 私は、今回の「今できることプロジェクト」を通して、震災を風化させないことの大切さを知りました。このプロジェクトに参加する以前は、震災のことを忘れていました。しかし、「千年希望の丘」などの震災の傷跡が残っている場所に行くと、まだまだ震災のつらい思いは残っていることが分かりました。けれども、それだけではなく、復興のために頑張っている人たちがいることも分かりました。その懸命な姿を見て「私に何ができるのだろう」と自問した結果、「震災を記憶に残すことだ」と気付きました。記憶に残すことによって、震災からの教訓も生かせるのだと思いました。
今できることプロジェクト
鈴木 新也さん (3年)
 岩沼市と名取市にまたがる沿岸部に位置する仙台空港は、東日本大震災の被害を大きく受けました。震災時、仙台空港は3メートルを超える津波に襲われ、1700人が空港ターミナルビルで孤立しました。空港にいた人が津波に巻き込まれて犠牲になることはありませんでしたが、空港にとどまった人たちの命をどうやって守るかが課題であることに気付いたそうです。停電で暖房は効かず、上下水道は利用できません。空港の周りは浸水していて、救助のボートが来たのは翌日でした。「犠牲者が出なかったのは、小さな奇跡の積み重ねだ」と空港の担当者は話していました。
今できることプロジェクト
千葉 ひなた さん(2年)
 東日本大震災を体験し、復興のために頑張っている人たちの話を聞き、自然の威力のすごさや防災訓練の重要性を感じました。「千年希望の丘」では自然の力で津波の威力を弱めようと植樹が行われています。また、「岩沼みんなの家」では近所の人たちとのつながりの大切さや防災訓練が自分の身を守るため、いかに大事かを考えさせられました。訓練は訓練でしかありませんが、実際に災害が起きたとき自分の命を守るためとても重要だと思います。仙台空港では自分のやれることを無理せずやるということを学びました。自分にやれることはいろいろあると思いました。
今できることプロジェクト
花田 稟果 さん(1年)
 今回の取材を通して、読者の皆さんに伝えたいことは、「自分自身を一番大事にすること」です。語り部の渡邉良子さんの話を聞き、震災では人を助けて自分の命を失ってしまった方がいることを学びました。だからこそ自分自身の命を一番大切にしなければならないと考えることができました。皆さんも一度、被災地に足を運んでみてください。震災の悲惨さや、復興について何か感じると思います。震災では、生きたくても生きられなかった方々が大勢います。私は希望を忘れず、幸せに暮らせていることに感謝しながら、日々を大切に過ごしていきたいです。
今できることプロジェクト
渡辺 沙羅 さん(1年)
 「岩沼みんなの家」運営法人代表理事の谷地沼富勝さんは、岩沼に活気が戻るよう「みんなの家」をつくったと話していました。震災直後は一人一人が、自分にできることをやっていたそうです。地域の協力や支えで復興できたのだと思います。この新聞を多くの人に読んでもらい、東日本大震災を経験してない人にも教訓を伝えていきたいです。今回のプロジェクトに参加して、被災地が復興に近づいていることが分かりました。地震はいつ起きるか分からないので、私たちにも人ごとではありません。いつ起きていいように日頃から備えていくべきだと改めて思いました。

2022年3月30日現在