河北新報特集紙面2025

2026年1月15日 河北新報掲載 
被災地取材レポート 次世代継承の現場を訪れ、学びを受け継ぐ

被災地取材レポート 次世代継承の現場を訪れ、学びを受け継ぐ被災地取材レポート 次世代継承の現場を訪れ、学びを受け継ぐ

語り継ぐ意義を同世代の語り部と共有

 現在80人の中高生が語り部として活動する「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館」。階上中学校や気仙沼向洋高校などの12人のガイドで施設を見学しました。壁や天井が崩落、漂着した被災物とともに机や椅子が散乱する教室の惨状に、言葉も出ない5人。4階まで達した津波の爪痕を目のあたりにする度に驚いた様子でした。大津波警報が発せられ、生徒や教師たちがどのような避難行動をとったのか、臨場感たっぷりに説明する同世代の語りに引き込まれる中学生たち。聞き漏らすまいと耳を傾け、熱心にメモを取っていました。指定避難場所の高台を襲った津波で60人が犠牲となった杉ノ下地区では、遺族会メンバーで語り部として活動する小野寺敬子さんに、実父ほか地区全体で93人を失った悲しみを語っていただきました。

震災津波の破壊力を目の前に言葉を失う中学生たち
震災津波の破壊力を目の前に言葉を失う中学生たち

 「リアス・アーク美術館」では、震災後、2年間にわたって気仙沼市・南三陸町の被害記録調査を行い、2013年4月から公開している常設展示「東日本大震災の記録と津波の災害史」を企画した館長の山内宏泰さんが一行を案内。山内さんは、三陸沿岸には深刻な被害が生じる津波がおよそ40年ごとに繰り返されている事実を示しながら、「決して過去の話だと切り捨てず、大人になった君たちが親や子、町を守るために今こそ学び、備えてください」と中学生たちに訴えかけました。

 さらに、震災伝承施設になっている阿部長商店創業者の元自宅「命のらせん階段」、震災犠牲者の追悼と記憶の継承を願う「気仙沼市復興祈念公園」も訪問し、この地における復興の未来にも思いを馳せました。

 取材の成果発表会をツアー後の11月27日に実施。教訓を全校生徒で共有しました。

語り部ガイドの説明を聞きながら真剣な表情で取材
語り部ガイドの説明を聞きながら真剣な表情で取材

校内発表会
校内発表会

聖ドミニコ学院中
聖ドミニコ学院中学校

武山 虎太郎さん(3年)

 中学生がガイドした東日本大震災遺構・伝承館、杉ノ下での小野寺敬子さんのお話、リアス・アーク美術館での体験を通じ、命の尊さ、防災意識、正確な情報を見抜く大切さを痛感しました。まず自分の命を守り、いざという時に人を助ける決意を新たにしました。気仙沼市復興祈念公園では、地域の復興と海とのつながりの重要性も心に留めました。

聖ドミニコ学院中
気仙沼市立階上中学校

三浦 卯楽さん(2年)

 プロジェクトに参加させていただき、もっと震災について知らなければならないことに気付かされました。聖ドミニコ学院中の方から「どんな思いで話をしているのか」という質問をいただきましたが、私は絶対に震災を風化させたくない、知らないからこそ伝えなければ、という思いで活動しています。この経験を今後の語り部活動に生かしていきたいです。

今回のツアーに参加した皆さんの「声」

聖ドミニコ学院中
飛山 昊嬉さん(2年)
 東日本大震災は自分が生まれる前に発生しましたが、今回は得がたい機会だったと思います。旧気仙沼向洋高校の震災遺構を見学した時には驚きの連続で言葉が出ませんでした。仙台で暮らす自分は、多くの方の命を一瞬にして奪った震災について、もっと学ぶ必要があると心から感じました。
聖ドミニコ学院中
大友 咲希さん(1年)
 東日本大震災は私が生まれる前に発生しました。当時住んでいた家は2mの津波で全壊しました。当時の話を両親から聞いたことはありません。今回プロジェクトに参加し、気仙沼を襲う津波の映像を見て、両親もとても大変な思いをしたのだと改めて実感しました。今生活ができているのは当たり前ではないので、感謝を忘れてはいけないと思いました。
聖ドミニコ学院中
及川 昊大さん(1年)
 私たちが暮らす東北で起こった東日本大震災を伝承しなければならないことに気付かされました。多くの命が奪われたことを語り継ぐことで絶対に風化させてはいけません。この経験を自分の中だけに留めず、後世に伝えていくべきだと考えました。また機会があれば気仙沼に行きたいと思います。
聖ドミニコ学院中
千葉 莉菜さん(1年)
 私は震災後に生まれですが、消防士の父から東日本大震災の話を詳しく聞いていました。震災の恐ろしさ、震災当時のことなど、たくさんのことを気仙沼ではお話しいただきました。今回のプロジェクトによって、たくさんの新たな学びができました。この経験を今後に生かしていきます。

気仙沼ツアーの全容は、 2025年12月27日掲載の紙面をご覧ください。