【水戸一志 選/評】
◎新年を迎える準備を感慨深く詠んだ一句。掛軸の絵柄は例年の鶴亀だが、令和となって最初の新年であることを思えば、向き合い方が違う。新しく国民のシンボルとなられた天皇、皇后両陛下のお姿を重ね、「末永く」と念じたことだろう。
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◎ 掛軸に令和ことほぐ鶴と亀 (東松島市矢本・畑山講也)
イノシシが都会にかぶれ山を捨て (東松島市矢本・奥田和衛)
電話鳴るすべて詐欺だと聞いている (石巻市向陽町・佐藤功)
金華サバ私と同じ脂乗り (東松島市矢本・遠藤恵子)
押し迫りあれもこれもと気が焦る (石巻市桃生町・西條和江)
金持ちの自慢話に寄るネズミ (石巻市大街道・岩出幹夫)
荷を下ろし家が一番旅行会 (石巻市蛇田・佐藤久子)
慎重にくしゃみするにも身を構え (石巻市泉町・丹野江湖)