俳句(1/7掲載)

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【石母田星人 選】


初御空龍駆け昇る夢二つ   石巻市渡波町/小林照子

【評】初々しい気持ちで見る新年の空は、清らかで荘厳。その空に誓う作者。下五の「夢二つ」に作者の意欲が見える。夢を目指して龍がごとく駆け昇ろう。


海割つて鯨跳ねたる金華山   石巻市吉野町/伊藤春夫

【評】動物の季語では最大の鯨のジャンプ。海上に全身をあらわす離水は迫力満点。さらに着水の豪快な水しぶき。この句の中からしぶきが飛んできて、新年早々ずぶぬれになりそうだ。郷土の海の生命讃歌。


葉牡丹の足され玄関賑はひぬ   石巻市広渕/鹿野勝幸

【評】低温の予想が出て玄関に避難した鉢植えの葉牡丹。多くの花で埋め尽くされた玄関はまるで花園。


さざ波の寄する砂浜初日の出   東松島市矢本/雫石昭一

子の髪は冬の朝日の匂ひかな   石巻市恵み野/森吉子

鳥けもの落葉の褥深うして   石巻市相野谷/山崎正子

花柊星の降るとはこんな夜   石巻市桃生町/西條弘子

あかときの墨絵の街や師走来る   石巻市中里/佐藤いさを

冬蝶の影絵となりて吹かれゆく   石巻市中里/川下光子

牡蠣まつり豊かな海に育てられ   東松島市あおい/大江和子

一粒の幸の重さや冬ざるる   石巻市丸井戸/水上孝子

息きらし一駅歩く冬椿   石巻市小船越/芳賀正利

冬温し少し早める置時計   松島町磯崎/佐々木清司

それとなくでも確実に冬に入る   東松島市矢本/菅原京子

暗闇にダビデの星の凍りつく   石巻市駅前北通り/小野正雄

ミサイルの飛び交ふ地球雪蛍   石巻市蛇田/石の森市朗

十二月八日ある国小六月   石巻市開北/ゆき

夕焼けにほんのり染まる忘年会   石巻市桃生町/佐藤俊幸

神主も蝶ネクタイの音楽祭   多賀城市八幡/佐藤久嘉

まどろみの体くすぐる冬日向   石巻市門脇/佐々木一夫

新聞を捲る音のみ冬日向   石巻市中里/鈴木登喜子

老農婦一本遣るよと大根引く   石巻市新館/高橋豊

ささやかな幸せくれる柚子湯かな   石巻市向陽町/成田恵津美

赤き実の待つ庭先や尉鶲   石巻市小船越/堀込光子

お年玉孫の数だけ夢ありて   石巻市流留/和泉すみ子