河北新報特集紙面2013

2014年4月24日 河北新報掲載

いっしょにアクション!今できることプロジェクト2013

「今できることプロジェクト」2013年度の活動は、企業と市民がいっしょになって、3つの柱となるプロジェクトを行いました。
「情報発信型支援」「観光型支援」「ボランティア型支援」
来てほしい、支援してほしい地域・団体を紙上で募集するところから始まり、訪問先の決定、参加者の募集を経て各支援のアクションを実行しました。
そして2013年度末、4つめのプロジェクトとして、被災地を担う子どもたちを応援する「こども未来応援教室」を石巻にて開催しました。
各プロジェクトを通して、参加者の皆さまをはじめ、多くの方にご協力いただきました。あらためて感謝いたします。

みんなのアクションから、もっとつながる、もっと広がる。

いっしょに一歩踏みこんで、いっしょに行動してきた、2013年度。

「今できることプロジェクト」は、プロジェクト参加者の皆さま、賛同企業の皆さまに多くの力をいただき、具体的なアクションをいくつも起こしてきました。しかし、アクションの一つひとつが最終地点ではありません。そのアクションから、さらに周りの人につながったり、別のアクションに広がったり、もっと大きな力に育っていくように。そんな思いで、続けてきました。

情報発信の力を再認識 被災地の学生として、できることを。

仙台市泉区
大学3年生
長島心一さん(20)

東北学院大学災害ボランティアステーションの代表を務めています。気仙沼市や宮城県七ケ浜町などで仮設住宅の住民と草刈りをしたり、足湯ボランティアをしたりと、さまざまな活動に取り組んでいます。
被災地のボランティアは減っています。仲間を増やすためには、情報を発信し、関心を持ってもらわなければいけません。私たちの団体もフェイスブックを開設しているのですが、ホームページを更新した時にリンクを表示する程度で、読みたいと思ってもらえる内容にはできていません。
何とかしたいと考えていた時に「今できることプロジェクト」の情報発信型支援を知りました。セミナーとツアーに参加し、第三者に読まれることを意識した書き方や目を引く写真の撮り方、使い方について考えるようになりました。
ある復興支援の物産展について、自分のフェイスブックで投稿した時のことです。以前であれば、「こんな企画です」と簡単な紹介で終わっていたところを、会期や場所を付け加え、「行ってみて」と書き添えました。友人たちからのコメントも多く、発信すれば反応があることをあらためて感じました。
今年は学びを生かし、フェイスブックやホームページなどを活用しながら、団体の活動も積極的に発信していきます。被災地で活動する学生だからこそキャッチできることがあります。きちんと外に伝えることが、私たちの役割の一つだと思っています。

長島さんが代表を務める団体のボランティア活動の様子。他大学の学生と一緒にほたての箱詰め作業をした=2013年9月、気仙沼市唐桑

長島さんのFacebookから

復興支援インターンの一環で、復興屋台村や気仙沼復興商店街を見学した=2014年2月、気仙沼市

活動1 情報発信型支援

●セミナー/2013年12月16日(月)・21日(土)
●バスツアー/2014年1月19日(日)

身近な人に、遠くの人に、感じたこと、伝えたいことを発信。

「情報発信型支援」とは、被災地・被災者の今を、現地にまだ訪れていない人や訪れることができない人にも伝え、震災の風化を防ぐことにつなげようとする活動です。震災から3年という時期を前に、さまざまな支援のあり方を探り、その実行を進めようと、賛同企業・市民の皆さんとともに実践しました。
被災地訪問に先立ってセミナーを開催し、参加者の皆さんには情報発信の大切さ、フェイスブックなどによる具体的な発信の仕方などを勉強していただきました。続いてバスツアーでは実際に被災地の名取市閖上を訪れ、その場で情報を収集・発信してみようという実践活動を行いました。
訪れて様子を見ただけではわからないことがあります。現地の人に話を聞いてみないとわからないこともあります。真剣にメモをとる姿も多くみられました。そのメモを元に、自分の言葉で情報発信し、多くの人に伝えることで1人が3人へ、3人が10人へと、情報と思いが広がることを実感しました。また実際に情報を求めている人がいることもあらためて感じることができました。

活動2 観光型支援

●バスツアー/2014年2月1日(土)

訪れてみることが、支援になる。見て、感じて、確かめることが第一歩。

「観光型支援」とは、実際に被災地を訪ね、現地を自分の目で確かめ、現地の人に直接話を聞いて、被災地の現状や取り組み、どんなことが課題になっているのか、などを把握しよう、そして学んだことをより多くの人に伝えてみようという活動です。賛同企業・市民の参加者の皆さんとともに実践しました。
訪れた金華山は、震災により建物と参道のがけ崩れなど大きな被害を受け、今もまだ修復途中の状態でした。定期船の運航中止や減便もあり、観光客は激減してしまいました。実際に出かけて自分の目で確かめてみると、漠然とイメージしていた姿とまるで違っていることを体感できました。
現地の方々は、知られていない被災の実情を見てもらい確かめてもらいたいと感じているとともに、何度でも訪れてほしい、気軽に観光を楽しむ気持ちで訪ねてほしいと、願っています。
今後も、震災が風化してしまわないように、金華山に限らず被災地を訪ねることで支援を実践しましょう。現地の方の話を聞いてみることで、地元の人とつながることができます。

活動3 ボランティア型支援

●バスツアー/2014年2月22日(土)

みんなで畑仕事。今後、自分でできる 何かにつながるきっかけに。

被災地では震災の風化や人員不足などの影響で、ボランティア数が減ってきています。実際はまだまだ、いろいろなボランティアを必要としている被災地があります。被災地を訪れてみるとともに、ボランティア活動にも目を向けてみようと、賛同企業・市民の参加者の皆さんとともに実践しました。
ボランティア受入先は、震災で大きな被害を受けた塩釜市浦戸諸島で菜の花畑の再生を柱とする活動に取り組むNPO法人。日頃、整地や畑作業のボランティアを募集していますが、冬場は申し込みが少ない状況でした。このため、浦戸諸島のひとつ野々島の菜の花畑での作業を手伝わせていただきました。
作業は小道の除雪のほか、畝を残して数本の長い溝を掘るという畑仕事。ボランティア作業自体は短時間でしたが、参加者は、家族で楽しく参加できたり、震災前の風景を取り戻すお手伝いに少しでも関わることができてうれしい、またぜひ訪れたい、と話をしていました。自分で何かできることを考え、行動する、何かにつながっていく、ひとつのきっかけになった活動でした。

活動4 被災地を担うこどもたちを応援 こども未来応援教室

●2014年3月23日(日)
●会場/石巻専修大学

明日を担う子どもたちを応援するワクワク授業。

「こども未来応援教室」のプログラムは、自分たちが住む地域の将来やこれからの復興を担う子どもたちに、教育という観点からの支援として、プロジェクト賛同企業が思いをこめて授業をひらく「社会科学習」。そしていま子どもたちの関心が高いシゴトについて、実際のプロの方に授業をしてもらい、子どもたちにそのシゴトを体感してもらう「シゴトワークショップ」。この日、教室は大勢の子どもたちの元気な笑顔であふれていました。
作家石井光太氏による講演会「被災地で見た人間らしさと光」を同時開催し、それぞれがそれぞれの思いを持って一歩踏み出すきっかけとなる力強いメッセージをいただきました。

「今できることプロジェクト」は賛同企業56社の大きな支援に支えられています。

「今できることプロジェクト」2013年度活動を展開するにあたり、56社の企業の協力を得ました。これらの企業は、日頃の事業活動においても地域への貢献や、CSR活動への取り組みについて優れた実績があり、被災地支援・復興支援についても、高い関心を示しています。これら意識の高い企業の協力なくしては、「今できることプロジェクト」の活動は実現できませんでした。あらためて賛同企業の皆さまに感謝申し上げます。

◎企業の独自の活動について「今できることプロジェクト」特設HP賛同企業のできることでも紹介しています。

「今できることプロジェクト」2013年度活動は、この紙面レポートでいったん終了となります。ご支援、ご協力ありがとうございました。
新しい2014年度活動については、あらためてお知らせいたします。特設HPを、引き続きご覧ください。

時間が経つにつれ、被災地の状況は変わります。さらに思いを強くして、これからもプロジェクトは続きます。

今回の「今できること」の紙面をPDFで見る