河北新報特集紙面2020

2021年3月27日 復興の今を知る中学生記者がその学びを未来へ。

復興の今を知る中学生記者がその学びを未来へ。

五橋中学校

今できることプロジェクト

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 五橋中の生徒会メンバー10人は、昨年10月24日に石巻市で取材を実施。石巻市大川小学校を訪問し、大川伝承の会の共同代表・佐藤敏郎さんから話を聞いたほか、「雄勝ローズファクトリーガーデン」と北上町十三浜の漁業生産組合「浜人(はまんと)」を訪ね、現地の視察や漁業体験とともにインタビューを行いました。
 11月13日に行ったワークショップでプロジェクトメンバーから記事の書き方を学び、チームごとに分かれて原稿を作成。何度も推敲を重ねて完成した伝承新聞が発行された後、震災10年の節目となった今年3月11日に、参加メンバーによる発表会を全校生徒の前で行いました。中学生記者が被災地で得た学びを自分たちの言葉で伝えると、集まった生徒はもちろんのこと校長先生も震災当時のことをあらためて思い出し、震災を次世代に繋げていくことの必要性を学ぶ発表会となりました。

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大川小で佐藤敏郎さんへ取材
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文章のまとめ方などを質問
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大勢の前で緊張しながら発表
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全校生徒の視線が発表者に

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中学生記者伊本 怜生さん(2年)

 語り部の皆さんは被災して大変な中、悲しむだけでなく後世に語り継ぐという姿勢がすごいと思いました。最近、天災が増えているので家族とハザードマップを確認しており、災害に対する自分の意識が変わりました。

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発表会参加者松坂 瑠栞さん(2年)

 発表を聞いて、自分の目で震災の被害の大きさ、恐ろしさを認識しなければいけないと感じました。修学旅行などでこのような取り組みがもっと増えてもいいのではないかと思いました。

東北学院中学校

今できることプロジェクト

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 昨年10月31日、南三陸町で取材を行った東北学院中の15人。戸倉中で三浦貴裕さんに話を聞いた後、「海の見える命の森」づくりを手がける2人にインタビューし、植樹と石窯のピザ作りにもチャレンジしました。入谷地区の宿泊研修施設「いりやど」では、震災当時、阿部博之さんが行った救助活動について話を聞きました。
 何度も書き直しを繰り返したという記事がたくさんの人に読まれ、その手応えを感じられてきた3月17日に、校内でその成果を発表。保護者や高校生徒会メンバー、卒業生など、東北学院にゆかりの深い人たちが集まりました。中学生記者が3グループに分かれ、取材した方々のåいを汲んだシートをもとにプレゼン形式で発表をしました。発表を聞いたさまざまな世代の参加者からは、震災を風化させないための取り組みなどについて意見が交わされる場となりました。

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戸倉中を見学する三浦さんと中学生
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11月13日に行われたワークショップ
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取材で得られた学びや教訓を紹介
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先輩たちに見守られながらの発表

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中学生記者熊谷 虎汰郎さん(3年)

 自分で感じたものを人に分かりやすく伝えることが思った以上に難しく、良い経験になりました。戸倉中の取材から「もし自分がこの場所にいたら」と想像し、日頃の災害への備えが重要だと思いました。

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発表会参加者千葉 俊輔さん(東北学院高2年)

 震災については、テレビや新聞などで知っていましたが、実際に被災された方から話を聞いた中学生の発表は心に響きました。もっと、自分も震災について学ばなければいけないと思うきっかけになりました。

宮城学院中学校

今できることプロジェクト

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 宮城学院中の17人は昨年10月17日、名取市閖上(ゆりあげ)地区へ向かい、伝承施設「閖上の記憶」を訪ねました。「かわまちてらす閖上」では、震災以前、地元で親しまれていたカツ丼の味わいを堪能。笹かまぼこの老舗「ささ圭」にも足を運び、津波被害と事業再開までの道のりを聞いた後、笹かまぼこの手焼きにも挑戦しました。
 11月5日のワークショップでは、記事の作り方を学んだほか、中学生たちが書いた文章をプロジェクトメンバーが添削。以後も原稿の出し戻しを繰り返しながら完成まで苦心を重ね、粘り強く頑張りました。3月13日には、中学校の全校生徒が中高講堂に集まり、この活動を報告する発表会を開催。中学生記者は、被災地の現状を知らない同世代に少しでも理解してもらえるよう取材時の模様やその時学んだ教訓を伝え、参加者した生徒に伝承の大事さを伝えることとなりました。

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ささ圭の事業再開エピソードを取材
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掲載する写真選びも真剣そのもの
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記事ごとに担当者が壇上で発表
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豊富な取材写真を用いた説明も好評

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中学生記者五十嵐 凛さん(3年)

 この取材の経験から2月13日に起きた地震の際も、冷静に報道を確認し、万一の津波にも備えました。発表を準備する中で、震災発生当時の経験をメンバーで共有しあえたことも貴重な機会になりました。

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発表会参加者中山 花埜さん(3年)

 震災当時、宮城におらず、被災していないのに現地へ行ったり被災者の話を聞いたりしていいのか迷っていました。発表を聞き、積極的に震災の事実や現状を知り、伝えていかなければならないと思いました。

※2021年3月27日現在

中学生たちが作り上げた「震災伝承新聞」は、こちらからご覧いただけます。

「震災伝承新聞」は、宮城県内約160の中学校へ配布したほか、 東北の震災伝承施設、宮城県外の災害に関する研究を行う大学や団体、東京都・池袋「宮城ふるさとプラザ」、兵庫県伊丹市の全中学生などにも配布しました。

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[お問い合わせ]
今できることプロジェクト事務局(河北新報社営業部)
tel 022-211-1318(平日10:00〜17:00)

今回参加した中学生記者全員の「声」はこちらからご覧いただけます。
今回の「今できること」の紙面をPDFで見る