河北新報特集紙面2019

2020年4月18日 一歩ずつ、思い描く明日へ。

一歩ずつ、思い描く明日へ。

プロジェクトは
これからも皆さんとともに進んでいきます。

今年度におけるプロジェクトの活動はこれでいったん完了となりますが、
今度も新たな支援や体験ツールなどを企画中です。
真の復興のために今、何ができるかをみなさまと一緒に考え、
その思いや学びを共有しながら、より人の輪を広げていきたいと考えています。
2020年度活動のスタートを切る際には、
また、河北新報紙面とホームページ、フェイスブックでお知らせいたします。
リアルタイムの情報は、フェイスブックの記事でお伝えしていきますので、
引き続きご覧いただけますようお願い致します。

集いの森を作り出す植樹活動を支援

 震災前は、海沿いに約120㌶もの広大な松林が生い茂っていた亘理町東部沿岸部。浜風と高潮の被害から内陸部の住宅や田畑を守ってきたこの海岸林を再生するため、2015年から「NPO法人わたりグリーンベルトプロジェクト」が植樹活動を続けてきました。今できることプロジェクトでは、同団体が押し進めている「おらほの森」づくりをお手伝いするボランティアバスツアーを11月2日に実施。49人の参加者が、清々しい秋晴れの下、植樹に汗を流しました。

 この日は、クロマツやアカマツ、コナラ、ミズナラ、シラカシなど300本の苗木を用意。草取りをしてきれいにした土壌へ等間隔に植えた後、参加者それぞれが木札に名前を書き入れて植樹した場所に差し、最後に「今できることプロジェクト」の記念プレートを設置して作業が完了しました。

豊かな秋の実りを 思い出とともに

 亘理名物「はらこ飯」と温かい豚汁を味わうランチタイムで英気を養った一行は、被災高齢者のコミュニティー再生と生きがいづくりを目的とする「おらほの畑」で、農作業体験にチャレンジ。わたりグリーンベルトプロジェクトが栽培に力を入れている落花生を収穫しました。この日掘り出した〝おおまさり〟という品種は、一般的に食されている落花生のサイズより一回りも二回りも大きく、手に取って驚いた表情を見せる参加者も。さらに、別の畑でサツマイモの収穫も行い、それらをお土産に携え帰途へ。亘理町に緑があふれる未来を願いながら、このボランティアバスツアーは終了しました。

写真左/ごろごろと実った大きな落花生 写真右/マツ類は支柱を添えてしっかりと補強

現在は

海岸林再生のためにさらなる支援の手を

 今年の3月で、「おらほの森」づくりにおける第一段階の植樹が完了。今後は、枯れた木の植え替えや補植など、森の保育管理へ注力していくそうです。事務局の東聖史さんは、「公的な助成も縮小傾向にある中、今後はより一層、皆さんからの協力が必要になります」と、活動継続への支援を切望しています。また、亘理町「里と海をつなぐまちフェニックスプラン」推進協議会のメンバーとして、「Enjoy WATARI(エンジョイわたり)」サイト内で、植樹管理作業と落花生収穫の2つの体験プログラムを提供中です。個人や少人数での申し込みも可能となっているため、こちらにもぜひ参加してほしいとのことでした。


今できることプロジェクトの活動記念プレート

▶Enjoy WATARI➡ https://www.enjoywatari.com/ 

スクリーンに甦る約60年前の街並み

 復興が進むとともに大きな変化が訪れた女川町では、地域コミュニティーの再編を求める声が高まっています。そんな地域の素晴らしさを再確認する機会づくりとして、11月16日に町民の方を招待した「懐かしい女川に会える映画鑑賞会」を開催しました。

 会場となったのは、女川町役場庁舎内にある生涯学習センターホール。石巻市の「オカダプランニング」のスタッフが35㍉フィルムの映写機2台を設置し、1961年に製作された岩下志麻・津川雅彦主演のラブストーリー「あの波の果てまで 完結編」を壇上のスクリーンで上映しました。物語の中盤、旧女川駅や当時の商店街、船着き場の賑わいなどが映し出され、観客の視線を釘付けに。上映後、エキストラで出演したという町民の方は、「当時の記憶が鮮明によみがえりました」とうれしそうに感想を教えてくれました。

豊かな秋の実りを思い出とともに

 上映後、会場をシーパルピア女川内にある女川町まちなか交流館のホールへ移し、宮城を拠点に活動するシンガーソングライター伊東洋平さんと町内外の参加者で女川応援ソングづくりにチャレンジしました。伊東さんは五・七・五のリズムで女川を表現するフレーズを参加者たちから集め、その中から特に印象深いものを選出してホワイトボードに並べて歌詞を作成。そして、伊東さんがギターを手に取り、軽快な旋律にのせて歌詞を口ずさむと応援ソングが完成。全員で合唱練習した後、レコーディングを行いました。音響スタッフの「OK!」の合図が告げられると、会場は拍手でいっぱいに。「女川の空で」と名付けられたこの応援ソングは後日、CDとして参加者の元へ届けられました。

写真左/参加者から聞き取ったワードを書き出す伊東さん 写真右/最も歓声が多かった女川みなとまつりのワンシーン

現在は

より発展を続ける賑わいの中心地に

 この取り組みの後も女川町の関係者と密に連絡を取り合い、親交を深めているという伊東さん。「先日予定していた女川でのライブが、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため中止となってしまい、やむなく動画配信を行いました。それでも、コメント欄に現地の方々から見ているよ、頑張って!という応援の声が寄せられ、より絆の結びつきを強められたと感じています」と、感慨深く話します。女川町の未来に望むことを聞くと、「震災から10年という節目が近づいていますが、より発展的な復興を願いながら、古き良き女川も忘れずに継承していって欲しいと思っています」と語ってくれました。


シンガーソングライターの伊東さん

▶こちらから応援ソングを聞くことができます。 ➡ https://www.kahoku.co.jp/imadeki/2019/paper5.html

鮎川浜に誕生した注目のニュースポット

 3月14日に予定していた「鮎川浜の新しい魅力発見バスツアー」は、新型コロナウイルスの影響で中止となりました。そのため、3月31日の紙面では、新たな賑わいの発信地として期待が高まる「ホエールタウンおしか」を中心に、牡鹿エリアのニュースや見どころをレポートしました。

 鮎川港東側の広大な敷地が広がる「ホエールタウンおしか」は、3つの施設が連結。観光物産交流施設「cottu(こっつ)」では、観光インフォメーションセンターのほか、離島航路の発券所と待合所、飲食店や物産販売店の7店を利用することができます。「cottu」に隣接するのが、三陸復興国立公園・牡鹿半島エリアの自然やこの地域の人々の暮らしについて紹介する「牡鹿半島ビジターセンター」。そして、震災による津波で失われてしまった「おしかホエールランド」も整備が進んでいます。

観光振興を目指す躍進へのチャンスに

 施設を運営する鮎川まちづくり協会の役員で、地元で長く捕鯨文化を支えてきた外房捕鯨株式会社鮎川事務所の所長も務める大壁孝之さんには、商業捕鯨の再開について教えてもらいました。これにより、船上処理済みの新鮮でおいしいクジラ肉が手に入るようになり、希少な部位の扱いも可能になるそうです。また、すぐ目の前に金華山が浮かぶオーシャンビューが自慢の「島周の宿さか井」オーナー、遠藤秀喜さんは、ゆったり滞在を楽しみながら、田代島・網地島・金華山の3島を巡るクルージングの旅を提案。今年の夏には、「十八成(くぐなり)浜海水浴場」もオープンする予定で、「ホエールタウンおしか」を起点に、多彩なレジャーが楽しめるようになると、大いに期待を寄せています。

写真左/「cottu」には3つの施設が連絡しており、多彩な機能を内包  写真中/「外房捕鯨株式会社 鮎川事業所」所長の大壁孝之さん
写真右/「島周の宿 さか井」代表取締役の遠藤秀喜さん

現在は

オープンが待たれるおしかホエールランド

 工事は順調に進み、4月下旬のオープンが待ち望まれていた「おしかホエールランド」ですが、残念ながら新型コロナウイルス感染拡大の終息を待って、あらためて開館の日取りを発表するとのことでした。鮎川まちづくり協会スタッフの田中由美さんは、「協会にフレッシュな人材も2人加わり、皆さんをお迎えする体制をより整えております。これから行楽に絶好のシーズンが訪れますが、牡鹿エリアの周遊観光をお楽しみになる際には、休憩や連絡船のご利用などでぜひホエールタウンおしかにお立ち寄りいただければと思います」と、近況を教えてくれました。


鮎川まちづくり協会のスタッフ

 3月1日に予定していた「こども未来応援教室」も、残念ながら中止となりました。子どもたちが目指すべき将来像を思い描き、未来への期待を高めてもらうことを目的とした「社会科学習」を担当する予定だったプロジェクト賛同企業も、開催を心待ちにしていました。そんな3社からメッセージが届いています。

ソフトバンク

 今年度の教室では、先端の端末に触れてもらいながら、小型ロボット“Sphero mini(スフィロ ミニ)”を動かすプログラミングを学んでもらう予定でした。ロボットを思い通りに動かすためには、何度も失敗を繰り返しながら考えを重ね、プログラムの完成を目指します。同じように子どもたちには、日々の勉強のなかで障害にぶつかってもあきらめず、次にどうしたら良いか“考える力”を養って欲しいと願っています。


予定していた授業/楽しく学ぶ!Sphero mini(スフィロ ミニ)プログラミング教室

大和証券

 金融や株式について楽しく学べる授業を新たな講師を迎えて行う予定でしたが、皆さんにお会いできなくて残念に思います。大和証券では、国連が採択したSDGs(持続可能な開発目標)の達成を課題に掲げ、さまざまな社会貢献活動に取り組んでおり、質の高い教育をたくさんの子どもたちが受けられる環境づくりに賛同しております。今後も、経済や社会を知り、生きる力を身に付ける学びの創出に努めてまいります。


予定していた授業/「お金のひみつ −会社って、株式ってなあに?−」ワークショップ

宮城県自動車整備振興会

 今年は、宮城トヨタ自動車の協力を得て、実車によるエンジンやタイヤ点検、自動車が走行するための仕組みを学ぶ授業を行う予定でした。宮城県自動車整備振興会は、子どもたちに整備士の仕事について職場体験を通じて知ってもらう機会づくりを積極的に行っています。そして、自動車整備士の人材確保と育成を掲げながら、交通の安全と安心を守る整備点検の必要性を広く伝えていきたいと考えています。


予定していた授業/自動車整備士ってどんな仕事だろう!

今回の「今できること」の紙面をPDFで見る